旧主信長が夢見た天下統一を秀吉はついに成し遂げる。だがその心には、老いて得た嫡子・鶴松の行く末への不安、いかな栄達もこの世かぎりという哀感が漂っていた。家中に石田三成ら武家官僚と他の武将たちとの軋轢が生じるなか、秀吉は自らを鼓舞し、明国討伐に着手する。豊臣家瓦解の源泉となった唐攻めを、苛烈にして臨場感豊かに描く第四巻。
「夢を見せてあげよう」-しかし、荒廃と困窮を止められぬ国。采王砥尚の言葉を信じ、華胥華朶の枝を抱く采麟の願いは叶うのか。「暖かいところへ行ってみたくはないか?」-泰王驍宗の命で漣国へと赴いた泰麟。雪に埋もれる戴国の麒麟が、そこに見たものは。峯王仲韃の大逆を煽動した月渓は、圧政に苦しむ民を平和に導いてくれるのだろうか。陽子が初めて心を通わせた楽俊は、いま。希う幸福への道程を描く短編集。
夢を持つことの大切さを優しくも力強い言葉で語りかける93編の詩。その詩一つ一つはエネルギーに満ちたあなたへのメッセージであり、生きる元気をくれる心のビタミンである。
“上の郷”(ペイ・ダン・オー)と呼ばれる山あいの村ロシニエールにはスイスで最も大きな木造建築物グラン・シャレがあります。そこは“二十世紀最後の巨匠”といわれた画家バルテュスの終の住処となりました。夫亡き後も、節子夫人は自然をこよなく愛し、和の心を慈しみ西洋と東洋の美しい融合の暮らしを続けています。バルテュスと過ごしたその宝石のような時間、“夢の刻”を綴った珠玉のエッセイ集。
プール・ヴィラ、ビーチフロント・コテージ、至福のスパー1泊100ドルの楽園、空室あります。リゾート写真家・増島実がバリとタイで見つけた超格安の夢ホテル55軒。
ヴィクトリアの結婚は、誰の目にも理想的な結婚に見えた。夫のザックはどんな女性をも虜にする容姿端麗な会社社長で、二人は愛し合って結ばれたと、ヴィクトリアは信じていたーこの結婚の裏に彼女の父とザックの会社の提携があり、さらに初夜の翌朝、夫が愛人のもとに駆けつけたと知るまでは。残酷な裏切りにヴィクトリアは深く傷つき、彼のもとを去った。お腹に赤ちゃんがいるとわかったのは、それからまもなくのことだった。やむなく妊娠をザックに告げると、なんと彼は自分の子と信じなかった!独りで育てようと心に決めるヴィクトリアだったが、この期に及んで、心の片隅でザックとの愛の夢を捨てきれずにいる自分が哀しかった…。
湯瀬直之進は、ようやく探し当てた妻の千勢から、好きだった男を殺した倉田佐之助を追って駿州沼里を出奔したことを知らされる。事の背景には藩を二分する勢力争いがあり、直之進も無関係ではない。直之進は江戸小日向東古川町の口入屋・米田屋に出入りするかたわら、事件の真相を探るため、佐之助の行方を追うが…。好評書き下ろし長編時代小説シリーズ第三弾。
時間を越えてよみがえる真の美。長らく謎とされてきた「幻の画家」「発禁の画家」橘小夢の画業の全貌をたどる、永久保存版。
現代によみがえった215年前の大冒険。小学生でも読める総ルビ付き。これまでなかった完全現代語訳。この物語は、天明4年(1784)に毛利正直が書いたもので、島津二十五代重豪公の開化政策に便乗する権力者を悪狐にたとえ、これを退治するという意図を込めた作品であり、中期江戸文学の中でも高く評価されている優れた文学作品である。
19世紀英国。スーザン・ハンプトンは生粋のレディ。25歳の誕生日を迎えたが、ギャンブル狂の父親のせいで社交界デビューもできず、結婚持参金もない。そのうえ家まで失うはめになり、伯母の屋敷へ身をよせるが、伯母はスーザンを使用人のようにあごで使おうとする。そんなハンプトン家から逃げ出すためスーザンは、自ら働きに出ることを決意。しかし、貴族未亡人のお付きの仕事を得てコッツウォルズへやってきた彼女をさらなる困難が待っていた。未亡人の気性は激しく、ドラゴンでさえおとなしく思えるほど。そして、もっと危険なのは同じく未亡人に仕えるハンサムな荘園管理人デイヴィッドだった。しゃくにさわるほど魅力的だけれど、身分がちがう彼から求愛されても、受けるわけにはいかず…。苦悩を抱えながらも、美しく強く生き抜く人々を丹念に描いたRITA賞受賞作。
夫婦とはなんだろう。去ってはや十年、浮かびくる「司馬さん」の顔、声から、夫婦と人の世の縁の不思議を思う。司馬遼太郎夫人みどりさんが懐かしく回想する、『司馬さんは夢の中』待望の続篇。
月九万円の赤貧暮らしからわずか二年で億単位の月商へ!通販ビジネスのカリスマが熱く放つ体験的夢実現セオリー。
「わたし」がフルサイズで存在したためしがいちどでもあったろうか。行為の身体的プロセスを忘却し、自己意識からはずすことで成り立つ日常。そのなかの存在の揺らめきを映像・音楽・モード・身体・顔・テクスチュアなど、表面にあらわれるさまざまな事象に現象学的にアプローチし、身近な視角からやさしく解き明かす哲学エッセイ。臨床哲学につながる感覚論をベースとした、鷲田哲学の根幹をなすアフォリズムにあふれる一冊。
名作「僧房夢」ほか、隠れた逸品の「松の家」まで、昭和の傑作が勢ぞろい。