最近よく見かける「LGBT」という言葉。メディアなどでも取り上げられ、この言葉からレズビアン、ゲイの当事者を思い浮かべる人も増えている。しかし、それはセクシュアルマイノリティのほんの一握りの姿に過ぎない。バイセクシュアルやトランスジェンダーについてはほとんど言及されず、それらの言葉ではくくることができない性のかたちがあることも見逃されている。「LGBT」を手掛かりとして、多様な性のありかたを知る方法を学ぶための一冊。
ジェンダーやセクシュアリティの規範性やカテゴリーの境界線を問い直す概念としての「クィア」は、LGBTブームのはるか以前から、映画文化を通じて日本に流入し、その地平を広げてきた。作品や表象のなかで、不可視化され、無視され、隠蔽されてきたものは何か。それらを「クィアなもの」としていかに再発見できるか。あつかう地域や新旧問わず、幅広い作品を様々な方法論で論じた本書は、クィアとシネマをめぐる思考と実践のアーカイヴである。
「LGBT」「多様性」理解のその先へ──
これからの時代のジェンダー/セクシュアリティを考えるための新教養、超入門編
女性や性的マイノリティは歴史の中でいかに闘い、どのような困難に直面したのか。想定されていなかった様々な“差異”に出会った時、そこに新たな連帯の可能性の領野が広がる──
あらゆる境界線を疑い、多様な性/生の在り方を問い直す
第1章 アメリカ独立宣言とリベラル・フェミニズム
第2章 1960 年代のアメリカと性革命
第3章 ラディカル・フェミニズムとレズビアン・フェミニズムの勃興
第4章 病気としての同性愛から抵抗へ
第5章 アイデンティティとプライド
第6章 エイズの流行
第7章 エイズ・アクティビズム
第8章 クィア・スタディーズの理論とその背景
第9章 同性婚と軍隊
第10章 性別を越境する
クィア・スタディーズの現在地を知るためのシリーズ 第2巻
同性婚がゴールとされることで隠蔽されるものは何か。結婚制度の政治性をあぶりだし、異性愛主義的家族規範を問いなおす試み。
シリーズ:クィア・スタディーズをひらく(全3巻)
クィア・スタディーズをひらく 1 アイデンティティ, コミュニティ, スペース(既刊)
クィア・スタディーズをひらく 3 健康/病、障害(ディスアビリティ)、身体
はじめに
第1章 国勢調査と同性カップル世帯 [釜野さおり]
排除と可視化のはざまで
はじめに
1 海外の人口センサスにおける同性カップル世帯
2 日本の国勢調査と同性カップル世帯
3 同性カップルは国勢調査にどう答えるかー聞き取り調査から
4 同性カップル世帯の扱いをめぐって
おわりにークィア方法論の視点から
Column 人権を守るのは誰か [谷口洋幸]
第2章 ようこそ、ゲイ ・ フレンドリーな街へ [清水晶子]
スペースとセクシュアル ・ マイノリティ
1 プライバシー・イン・パブリック
2 ヘテロ・スペースのクィアな占拠
3 エキゾチック・ゲイ・タウン
4 スペースなき多様性
Column アジアにおけるクィア・スタディーズの発展とその背景ー台湾の事例から [福永玄弥]
第3章 女性同士の《結婚》 [赤枝香奈子]
はじめに
1 結婚の重層性
2 雑誌記事に見る女性同士の結婚
3 法律婚としての同性婚を求める動き
おわりに
第4章 忘れられた欲望と生存 [志田哲之]
同性婚がおきざりにするもの
はじめに
1 性的少数者の誕生と社会運動のはじまり
2 家族への道と「日々の社会的実験」
3 「性の多様性」の欺瞞ー欲望とラディカリズムの忘却
おわりにー連帯の不可能性と模索
Column セックスワークとクィア [宮田りりぃ]
第5章 結婚制度の政治性と同性婚 [菊地夏野]
同性婚によって正当化される結婚制度
はじめに
1 同性婚・同性パートナーシップをめぐる現状
2 同性愛者解放運動の理論的位置づけ
3 結婚制度の政治性と構造
4 新自由主義による結婚の変質と同性婚の関連性
5 可視化と隠蔽
おわりに
第6章 天皇制とジェンダー/セクシュアリティ [堀江有里]
国家のイデオロギー装置とクィアな読解可能性
はじめにー時の支配と天皇制
1 皇位継承とジェンダー役割
2 国民統合のイデオロギー装置の構築
3 〈レズビアン存在=反天皇制〉の理念的可能性
おわりにー今後の課題
Column クィアコミュニティと性暴力 [岡田実穂]
第7章 家族の物語からのクィアな逸脱 [長山智香子]
角田光代『八日目の蝉』にみる時間と空間
はじめに
1 作品の概要
2 ラブホテルで作られる母子の絆
3 がらんどうの空間と身体
4 過去想起と妊娠、ジグザグな時間
おわりに
Column セクシュアル・マイノリティと地域 [宇佐美翔子]
トラウマ的な出来事を経験した人びとにとって、文学や文化は生きのびるための表現となりうるのかーー
多和田葉子、李琴峰、古谷田奈月、森井良、林京子、大江健三郎、岩城けい、小野正嗣といった現代作家の作品を丁寧に読み解き、物語を受けとるという営みとは何か、小説と読者が出会うとはどういうことか、それにクィア・フェミニズム批評はどうかかわるのか、自身の経験とときに重ね合わせながら文学や文化の力を見出していく。気鋭の研究者による、トラウマという語ることがむずかしい経験を語るために物語があるのだということを、そして何より新たな対話の可能性を信じるすべての人におくる、画期的な文学論。
製作60周年ーー
スリルと興奮の脱走劇を完全映画化した不朽の名作が
4Kニューマスター+吹替“完全”初収録でよみがえる!
大戦中にドイツ軍の捕虜になったポール・ブリックヒルの実録小説を、『OK牧場の決斗』『荒野の七人』の名匠ジョン・スタージェス監督が映画化。
●オリジナルネガより4Kレストアされたニューマスター版
●一部セリフが欠落していた日本語吹替音声(フジテレビ「ゴールデン洋画劇場」版)を完全復元し初収録
●別バージョンの日本語吹替音声(テレビ東京「木曜洋画劇場」版)を初収録
●2 種類の音声解説(1キャスト&スタッフ/22007 年版キャスト)を収録予定
●オリジナル劇場予告編収録(2 分 40 秒)
※収録内容は変更となる場合がございます。
製作60周年ーー
スリルと興奮の脱走劇を完全映画化した不朽の名作が
4Kニューマスター+吹替“完全”初収録でよみがえる!
コレクターズ仕様の本編ディスク+特典映像満載のSPECIALディスクの 2 枚組愛蔵BOX
大戦中にドイツ軍の捕虜になったポール・ブリックヒルの実録小説を、『OK牧場の決斗』『荒野の七人』の名匠ジョン・スタージェス監督が映画化。
●オリジナルネガより4Kレストアされたニューマスター版
●一部セリフが欠落していた日本語吹替音声(フジテレビ「ゴールデン洋画劇場」版)を完全復元し初収録
●別バージョンの日本語吹替音声(テレビ東京「木曜洋画劇場」版)を初収録
●2 種類の音声解説(1キャスト&スタッフ/22007年版キャスト)を収録
●オリジナル劇場予告編収録(2分40秒)
●特製アウターケース仕様
●初公開も含む特典映像(190 分)を収録した SPECIAL ディスクとのセット仕様
※収録内容は変更となる場合がございます。
フェミニスト聖書学を伸延しキリスト教の再構築を目指す。
“みんな”でいたくない“みんな”のために
「LGBT」に分類して整理したら、終わりじゃない。
「わからない」と「わかる」、「マイノリティ」と「マジョリティ」を
行き来しながら対話する、繊細で痛快なクィアの本。
ときに反抗的で、しなやかな態度は明日への希望にーー。
性、恋愛、結婚、家族、子孫、幸福、身体、未来ーー
バラバラのままつながった壮大な「その他」たちが、
すべての「普通」と「規範」を問い直す。
「『普通』や『みんな』という言葉に己を託したり託さなかったり、託せたり託せなかったりする読者のみなさんを、風通しのよい、というよりは強風吹きすさぶ場所へと連れて行ってしまおうというのが私たちの企みです。どうぞ、遠くまで吹き飛ばされてください」(森山至貴「はじめに」より)
「ワクワクだけでも足りません。ヒヤヒヤするかもしれませんし、何か責められたような気分でイライラしたり、何様だコイツ、という思いでムカムカするかもしれません。逆に、全然言い足りてないぞ、と思うこともあるかもしれません。そのくらいのほうが普通じゃないかと思います。そのくらいでないと、私たちも語った甲斐がありません」(能町みね子「おわりに」より)
「奇妙な」「風変わりな」といった意味をもつクィア(Queer)。性的マイノリティたちが、自分たちを指し示す言葉として用いてきた。
民俗学の視点で、LGBTと呼ばれる人びとの日常的な営みを捉える七つの論考集。
◇第一部 民俗学史からクィアを考える
第一章 日本民俗学クィア研究史(辻本侑生)
第二章 南方熊楠と岩田準一の「男色談義」(辻 晶子)
コラム1 『異態習俗考』--クィア民俗学の古典(島村恭則)
◇第二部 「いま・ここ」からクィアを見通す
第三章 大阪「LGBTの駆け込み寺」の実践(三上真央)
第四章 ゲイバレーボールチームの現代民俗学(辻本侑生)
第五章 長崎のマダムナンシー(大田由紀)
◇第三部 クィア民俗学の展開
第六章 性的マイノリティは差別を「笑い話」に変えるのか?(辻本侑生)
第七章 異類/婚姻/境界/類縁(廣田龍平)
コラム2 ディープ・フォークロアとクィア・アート(島村恭則)
◇第一部 民俗学史からクィアを考える
第一章 日本民俗学クィア研究史(辻本侑生)
一 知られざるクィア研究の系譜
二 北野博美ー日本民俗学におけるクィア研究の先駆者
三 鹿児島「男色」研究史
四 「男巫女」研究史
五 クィアの現代民俗学に向けて
第二章 南方熊楠と岩田準一の「男色談義」(辻 晶子)
一 南方熊楠と岩田準一の性民俗研究
二 「男色談議」の研究史
三 男色研究の発表媒体
四 民俗学と男色研究
五 「男色談議」のその後
コラム1 『異態習俗考』--クィア民俗学の古典(島村恭則)
◇第二部 「いま・ここ」からクィアを見通す
第三章 大阪「LGBTの駆け込み寺」の実践(三上真央)
一 性善寺と調査者(私)の関係
二 性善寺に集う人々
三 セクシュアリティを見つめる場
第四章 ゲイバレーボールチームの現代民俗学(辻本侑生)
一 性的マイノリティとスポーツサークル
二 スポーツサークルと民俗学
三 雑誌『薔薇族』にみるスポーツサークル
四 スポーツサークルから捉えるゲイコミュニティ
第五章 長崎のマダムナンシー(大田由紀)
一 マダム南支
二 華僑二世として長崎で生きる
三 落地生根
◇第三部 クィア民俗学の展開
第六章 性的マイノリティは差別を「笑い話」に変えるのか?(辻本侑生)
一 差別と笑い話
二 ハッシュタグと社会変革
三 事例分析
四 インターネット空間の多声性
第七章 異類/婚姻/境界/類縁(廣田龍平)
一 MCUのロキ、北欧神話のロキ
二 異類婚姻譚の概念をクィアにする
三 民間説話のクィア・リーディングによってできること
コラム2 ディープ・フォークロアとクィア・アート(島村恭則)
台湾は本当に「LGBTユートピア」なのか?
22人のマイノリティの語りに向き合い読み解かれる、
揺れ動く台湾の実相と、いくつもの〈性/生〉の「現在地」
「台湾のホモナショナリズムとは、共同体としての異性愛規範は維持しつつ、台湾をアジアにおいて例外的に「同性愛に寛容」な場とし、(…)国家・文化的な優位性を特徴付ける形で、同性愛者を国家に内包する言説」であると同時に「「台湾という存在自体」を維持することに寄与している」--(本書「おわりに」より)
序章 「台湾=LGBTユートピア」像の広がり
第1章 ホモナショナリズムはどのように語られてきたか
第2章 反婚視座をめぐるアンビバレンス
第3章 ナショナルプライドをめぐるアンビバレンス
第4章 「われわれ台湾」vs.「かれら中国」で見えなくなること
第5章 国際同性婚における「一國四制」と理想的移民像
終章 名もなき運動や声と共に
あとがき
本書は、1920年代から現在に至るまで百年にわたる国際政治経済史を背景に据えながら、この40年、散々語り尽くされてきたように思われるネオリベラリズムの起源と発展に関して、理論的にも歴史的にも新たな光を当てる試みである。
ネオリベラリズムというとき、その焦点はアメリカのシカゴ学派に置かれるが、本書は、ジュネーヴ学派という、これまで顧みられなかった思想家群像に注目している。
とりわけ重要なのは、ネオリベラル理論の核心が制度設計に置かれていたということである。それは、ハプスブルク帝国の灰塵を揺籃とした、その出自に刻印されていた。すなわち、帝国後の世界にふたたび秩序をもたらすことが目的の思想運動だったのである。その際、脱植民地化と民主化の波といかに対峙するかがこの運動には重要だった。
本書が提示するのは、1920年代ウィーンのミーゼス・サークルに始まり、1980年代にWTOの創設で絶頂を迎える、三世代にまたがる思想家たちの物語である。国民国家(インぺリウム)と世界経済(ドミニウム)を融合させる連邦を夢見た者たちの勝利ではなく、敗北の軌跡。
序章 世界の諸秩序について考える
第1章 壁の世界
第2章 数字の世界
第3章 諸連邦の世界
第4章 諸権利の世界
第5章 諸人種の世界
第6章 諸憲法の世界
第7章 シグナルの世界
終章 単一の国民の存在しない人びとの世界
謝辞/訳者あとがき
索引/注記
失敗や敗北のほうが、成功や勝利よりもはるかに創造的で驚異的だ! 『ファインディング・ニモ』『シュレック』といった傑作アニメから前衛アートまでを縦横に読み解き、資本主義と異性愛規範に支配された現代における「成功」の神話を解体する。バトラー以降のクイア理論を代表する批評家ハルバースタム、待望の初邦訳。
導 入 低俗理論
第一章 反乱のアニメ化と反乱するアニメーション
第二章 「この野郎、俺のファルスはどこだ?」--忘却、敗北、堂々巡り
第三章 失敗のクィアアート
第四章 シャドウ・フェミニズムーークィアな否定性とラディカルな受動性
第五章 「私のなかの殺人者は、あなたのなかの殺人者」--同性愛とファシズム
第六章 失敗を活性化するーーエンディング、逃れること、生き延びること
謝 辞
原 注
訳 注
訳者解題
参考文献
索 引
男性アイドルを好きなレズビアン、女性アイドルを愛するゲイ、BLと当事者性をめぐる探索、実在のアイドルで遊ぶ物語、フィクションにおけるトランス嫌悪、ボーイッシュな女性アイドルのかっこよさ…。H.O.T.のデビューから始まる第1世代、東方神起がアイドル文化を本格化した第2世代、EXOに代表される第3世代、BTSやBLACKPINKが牽引する第4世代。世界とアジアと韓国のK-POP受容を読み解きながら、性別二元論ではなくクィアの視点でK-POPの魅力を語る画期的論集。
女の子にもなりたくないし、男の子にもなりたくない。
私はただ、自分自身でいたい。
クィア、ノンバイナリーのコミック作家マイア・コベイブの自叙伝。
自身の生い立ち。幼少期から思春期で過ごした環境、そして、青年期にかけてクィアをテーマにした音楽や漫画、ファンタジー作品と出会い、自身の性のあり方に向き合い出すことで、生まれた、気づき、葛藤、戸惑いを丁寧に描く。
ひとりの人間の、ありのままの記録。
2020年 アメリカ図書館協会 アレックス賞受賞
2020年 ストーンウォール図書賞名誉賞(ノンフィクション部門)受賞
復讐を誓った青年の心の旅を雄大な映像で綴った
スティーヴ・マックィーン主演の傑作ウエスタン!
●オリジナルネガからのフルHDスキャンによるニューマスター版で初Blu-ray化
●吹替音声はDVD版に加え、TV放映版(「ゴールデン洋画劇場」版)を初収録 ※DVD未収録
※TV放映版吹替音声は、放送時にカットされた部分を追加収録したノーカット版です。
●脚本家C・コートニー・ジョイナー(『クラス・オブ・1999』)らによる音声解説を初収録 ※DVD未収録
スティーヴ・マックィーンが絶頂期に主演した異色のウエスタン。復讐に取りつかれた若者の成長劇が多彩な人間模様を交えて描かれる。
製作・監督は『西部開拓史』『勇気ある追跡』など西部劇の演出にも定評のあるヘンリー・ハサウェイ。
音楽は9度のオスカーに輝いた名匠アルフレッド・ニューマン、原案・脚本を『裏窓』『知りすぎていた男』など
50年代のヒッチコック作品を支えたジョン・マイケル・ヘイズが手がけ、助演陣にはカール・マルデン、ブライアン・キース、スザンヌ・プレシェット、マーティン・ランドーらの演技派が集結。
※収録内容は変更となる場合がございます。
「社会にはびこる不寛容、不正義、ままならなさ。それらをつぶさに反映し、生きる身体の記録」--少年アヤ推薦!
「精神障害」の「性的マイノリティ/クィア」に立ちはだかる日常の壁。トラウマ、パートナーとの関係、そして就労・社会保障……。ぐったり寝ながら、逃げながら、「生活」と「社会」改善をめざしてつづられた、真剣で、たまに笑える日々の記録。
性的マイノリティ・メンタルヘルスの問題から社会をみるコミックエッセイ&インタビュー
まえがき
第1部 元気がない、生産性もない
第2部 精神障害と就労
第3部 寝たきりからの回復
あとがき
「わたしたちのセクシュアリティ」と 自己変容の企み
レヴィナスはなにを規範とし、なにを不在にしたのか、そこにはなにが可能的に蠢いていたのか、そのテクストがいまクィアに/へ開かれていく。ジェンダークィアを生きる新進気鋭の著者によるまったく新しいレヴィナス論。
村上靖彦氏、藤高和輝氏推薦
麻薬中毒者リーは、「触れあい」を求めて近づいた青年アラートンとともに究極のドラッグを探して、南米へと旅に出る…笑いに満ちた語り、ときに漂う喪失感。デビュー直後に執筆されながらも長らく封印され、発表後には大いに物議をかもした、せつない恋愛を描く自伝的小説。三十七年ぶりの改訳版(旧邦題「おかま」)。
日本の同性カップルが「難民認定」された国で、
わたしが手にしたたくさんの問い、そして言葉。
日本と違って20年前から同性婚ができて、「LGBTQ先進国」と言われるカナダ。先住民や有色人種への差別が残り、パレスチナ解放をめぐって揺れ動いてもいるカナダ。二度の滞在をもとに、そしてバックラッシュが強まる日本の政治的状況を踏まえながら、その今を記録した著者初のエッセイ集。
“わたしたちはここにいる、わたしたちはクィアだーーでも、どうしたら伝わるだろう? 目の前に存在しているにもかかわらずしばしば「見えない」存在にされてしまう/「見えない」存在であることを強いられてしまう時、確かに「ここにいる」と、どうしたら伝わるのだろう。わずかな時間ではあるもののカナダに滞在している間、そして日本に帰ってきてからずっと、わたしは「見える/見えない」存在について考えているような気がする。”(本文より)
この旅行記は、ひとりのクィアの経験を綴ったにすぎない。それでも、そのひとりの経験になんとか「言葉」を与え、分かち合うことを通じて、見えてくるものがあるはずだ。
プロローグ
第1部 トロント・プライド
1 正義を今、求めてるーー2023年のトランス・マーチ
2 自分の権利のためにマーチする必要があるか?--2023年のダイク・マーチ
第2部 カナダ再訪
1 再びカナダについて
2 トロント・スケッチ
3 ウィニペグ旅行⑴ーー赤いドレスとブリュワリー
4 ウィニペグ旅行⑵ーー人権ミュージアム
5 クィアのカップルセラピー
6 クィアのホームパーティー
7 クィアと空間の政治⑴ーーパレスチナ連帯キャンプ
8 クィアと空間の政治⑵ーー「ラファに手を出すな」集会
9 ここにも、そこにも、どこにでも
エピローグ