教育の多様性という理想が叫ばれながら、現実は根強いバイアスが再生産され刷り込まれている。家庭・学校・メディアで「与えられる性差」の何が問題か検証する。
ジェンダーの概念は我々の社会の見方を大きく変えてきた。今後、この概念は社会学をどのように変え、社会的・経済的な不平等の是正に対してどのような力を持ちうるのか。本書では最前線で活躍する社会学者たちが、社会問題や社会運動等の現実社会の動きや、他の学術領域の研究にも言及しつつ、社会理論や労働、移民やセクシュアリティの各分野でその変革の経路を辿りなおすとともに、今後の展望を描き出していく。
はしがき
第1章 「フェミニズムにおけるリベラリズム批判」の社会学的意義──「公私二元論批判」から「ケアの倫理」へ( 江原由美子)
1 「フェミニズムにおけるリベラリズム批判」という主題
2 現代的リベラリズムとは?
3 フェミニズムのリベラリズム批判の主要な論点
4 公私二元論批判
5 「女性に対する暴力」をめぐる問題
6 「ケアの倫理」
7 近代における国家・市場・家族──公私二元論批判からみえてくる近代社会
第2章 労働とジェンダー平等──女性労働研究の到達点を踏まえて(木本喜美子)
1 労働における男女間格差を問う
2 女性労働研究の課題と方法
3 性別職務分離の研究へ
4 日本における性別職務分離研究の模索
5 二一世紀日本における到達点と課題
第3章 移民研究とジェンダー研究の統合──ケアワークとしてのセックスワーク考 (青山 薫)
1 移民研究・ジェンダー研究・移民性労働
2 「移民の女性化」とその後
3 「性の商品化」から「連続体論」へ──二項対立を越える構造化論の応用
4 実証にみる「移民の女性化」から「セックスワーク研究」まで
5 クィア移民研究への道
6 性労働をケアワークに位置付ける
第4章 規範/達成としてのジェンダー──フェミニズムとエスノメソドロジー(須永将史)
1 ジェンダーをめぐる三つの問い
2 ジェンダー概念組織化の黎明期
3 フェミニズムによるジェンダー概念の組織化
4 エスノメソドロジーと性別の研究──ストーラーとガーフィンケルの性別地位
5 フェミニズムとエスノメソドロジー
第5章 セクシュアリティ研究のゆくえ──差異と平等のはざまで(河口和也)
1 輻奏するセクシュアリティ
2 セクシュアリティという固有の領域
3 セクシュアル・マイノリティ──アイデンティティとコミュニティ
4 カミングアウトのポリティクス
5 HIV/エイズをめぐる社会学
6 クィア・スタディーズ
あとがき
人名・事項索引
「KADOKAWA『あの子もトランスジェンダーになった』」
あの“焚書”ついに発刊
世界10か国翻訳
日本語版緊急発売
「今年最高の1冊」タイムズ紙(ロンドン)
「今年最高の1冊」エコノミスト誌
ニューヨーク・タイムズ紙ベストセラー
ドラマの選び方、時間軸やキャラクターの考え方などの基本的な要素を押さえたうえで、「ジェンダー」「LGBTQ」「都市」「権力」など、人文学・社会学の視点からテレビドラマを研究する方法を多くのドラマとともに案内する。テレビドラマ研究の好適な入門書。
翻訳された言葉には必ずわたし達の社会があらわれ、
そして翻訳されたものは社会に影響を与える。
翻訳小説の女性達は原文以上に「女らしい」言葉で訳されていることがあります。翻訳と社会とわたし達の密接な関係を読みとき、性差別をなくすための翻訳、社会に抗する翻訳の可能性を探る一冊。
「はじめに」より一部抜粋
翻訳には、それまでにあった古い考えにとらわれない、新しい言葉を生み出す可能性があります。そして、社会の中に存在しなかったり、埋もれたりしている概念を言葉によって「見える化」したり、それまでの偏った見方を変えたりする力があります。
【目次(一部)】
はじめに
『プラダを着た悪魔』の主人公はどんな話し方をする?
「ハリー・ポッター」のハーマイオニーには友だちがいない?
小説はフィクション、わたしたちはリアルな存在
[……]
第一章 小説の女たちはどう翻訳されてきたのか
日本語への翻訳とジェンダー
日本語の女ことばと男ことば
翻訳の中の女性はもっとも典型的な女ことばを話す?
翻訳小説の女性の話し方vs現実の女性の話し方
児童文学ではどうなる?
児童文学は保守的。児童文学の翻訳はもっと保守的。
翻訳者が再現しようとすること
汚いとされる表現にも意味がある
[……]
第二章 女たちのために自分たちで翻訳する
一九七〇・八〇年代に、自分でいる力をくれた翻訳があった
女性の健康のバイブル『Our Bodies, Ourselves』
わたしのからだは自分のもの。自分のからだをよく知ろう。
自分を大切に生きる権利は、みんなにある
『Our Bodies, Ourselves』の時代ー個人的なことは政治的なこと
『女のからだ』の時代ーウーマン・リブ
『からだ・私たち自身』の時代ーウーマン・リブからフェミニズムへ
フェミニスト翻訳の三つの具体的な方法
『女のからだ』のフェミニスト翻訳の方法
『からだ・私たち自身』のフェミニスト翻訳の方法
[……]
第三章 これからのために翻訳ができること
これから考えられる三つの変化
1一律の女らしさから、それぞれの個性へ
2ネガティブなイメージのない性器の名称へ
3「彼」と「彼女」だけでなく、インクルーシブな代名詞を
日常の中の素朴な疑問から性暴力被害者の自己責任論までーー「ジェンダー研究のゼミに所属している」学生たちが、そのことゆえに友人・知人から投げかけられたさまざまな「問い」に悩みつつ、それらに真っ正面から向き合った、真摯で誠実なQ&A集。
はじめにーージェンダーってなに?
第一章 これってどうなの? 素朴な疑問
1.男女平等をめざす世の中で女子校の意義ってなに?
2.「〇〇男子/〇〇女子」って言い方したらダメ?
3.男女平等は大事だけど、身体の違いもあるし仕事の向き不向きはあるんじゃない?
4.ジェンダーを勉強したら、イクメンにならないといけないんでしょ?
5.専業主婦になりたい人もいるよね?
6.男女平等っていうけど、女性も「女らしさ」を利用しているよね?
コラム1 女子力って……?
第二章 セクシュアル・マイノリティについてもっと知りたい!
7.テレビにはゲイや女装家、トランスジェンダーが出ているけれど、違いはなんなの?
8.「ホモ」、「レズ」って呼び方はダメなの?
9.子ども産めないのに、同性婚って必要あるの?
10.人を好きになったりセックスしたくなったりするのは誰でも自然なことだよね?
11.日本はLGBTに寛容な国だよね?
12.友達だと思ってたのに告られた……誰かに相談していい?
コラム2 多数派の人たちの幸せは?
第三章 フェミニズムって怖いもの?
13.フェミニズムって危険な思想なんでしょ?
14.どうしてフェミニストはCMみたいな些細なことに噛みつくの?
15.どうしてフェミニストは萌えキャラを目の敵にするの?
16.どうしてフェミニストはミスコンに反対するの?
17.フェミニストはなにかと女性差別というけど、伝統や文化も重んじるべきじゃない?
18.ジェンダー研究に関心をもっている人とフェミニストとは別なんでしょ?
コラム3 ジェンダー研究は女性の学問?
第四章 めざしているのは逆差別?
19.男だって大変なのに、女がすぐハラスメントと騒ぐのって逆差別では?
20.管理職の女性を30%にするって、女性だけを優遇する逆差別じゃない?
21.東大が女子学生だけに家賃補助をするのって逆差別じゃない?
22.女性専用車両って男性への差別じゃない?
23.女性はバリキャリか専業主婦か選べるのに、男性は働くしか選択肢がないのっておかしくない?
24.恋愛のハードルって男の方が高い。女ってだけでモテるんだから女はずるくない?
コラム4 なんでジェンダーのゼミにいるのに化粧してるの?
第五章性暴力についてもっと考えたい!
25.性欲って本能でしょ、そのせいで男性が女性を襲うのも仕方ないよね?
26.性暴力って被害にあう側にも落ち度があるんじゃない?
27.性暴力の被害者って女性だけだよね?
28.性行為しておいて後から「あれはレイプだった」っておかしくない?
29.性暴力ってある日突然見知らぬ人からレイプされることだよね?
コラム5 ジェンダーを勉強するとつらくなる?
読書案内
おわりに
伝えたいのは「違いがあってもいいんだよ」--
トランスジェンダー研究者による10年以上続く明治大学での講義、待望の書籍化!
本書は、2012年の開始以来、毎年300人以上の学生が受講する明治大学文学部の『ジェンダー論』の講義録を基に執筆されたジェンダー&セクシュアリティ論の入門書です。
自らの「性」と社会的な「性」のしくみについて真剣に考え、多様な「性の有り様」を知ることは、もはや、すべての人々にとって避けて通ることのできない今日的な課題と思われます。
LGBTQ+、同性婚、トランスジェンダー、ジェンダー・アイデンティティ…といった最近よく耳にする言葉についても分かりやすく解説していき、さらに性的マイノリティとして社会を生き抜いてきた著者が、実際に体験してきたこと、考えてきたことも多く反映された一冊となっています。
【主な内容】
◎性別二元社会の仕組みを知る
◎明治〜昭和戦前期の政治家や軍人が髭を蓄えていたわけ
◎「ジェンダーをする」という考え方
◎身体構造の性差にジェンダーが付与される
◎なぜ日本は「女子差別撤廃条約」を批准できなかったのか
◎いまだに存在する「見えない壁」や「ガラスの天井」
◎「ホモソーシャル」な関係を志向する男性たち
◎歴史的に見て特異な存在、専業主婦
◎「女性の乳房は大きいほどエロい」という認識はいつ生まれたのか
◎江戸時代の男は、うなじに興奮していた?
◎性規範の「サムライ(侍)ゼーション」
◎本当の足フェチは「足だけ」を求める
◎欧米には存在しない「痴漢」という概念
◎人の身体は女性が基本「イブ原理」
◎インターセックス(性分化疾患)とはなんなのか
◎ジェンダー・アイデンティティの正しい訳語は、性同一性
◎人間の「性」は三層構造をなしている
◎死語に近い「性同一性障害」という言葉を使い続ける日本
◎「LGBT」という言葉はいつ頃から使われるようになったのか
◎新しく生まれた言葉「SOGI」「SOGIE」
◎「LGBTは13人に1人」というのは本当か?
◎同性パートナーシップ制度の現状
◎トランスジェンダーとは何か
◎性別移行と生殖権
◎「Xジェンダー」とは何か
ほか
第1講 「性」を考えることの意味
第2講 ジェンダーを考える
第3講 セクシュアリティを考える
第4講 「性」の4要素論
第5講 「性」の多層構造論
第6講 「性」の多様性論
第7講 日本初のトランスジェンダーの大学教員として
いまだに不当な性差別や性暴力がはびこる現代社会。何が問題で、その解決には何が必要なのか。本書はその答えを追求し、徹底して論理的に考えます。人はなぜ、女か男かという性別にこだわるのか。その“分類”をいかに意味づけ、社会制度に組み込んでいるのか。“分類”する実践に着目する今までにないジェンダー論入門。
小学生の男女及び、その保護者に向けた性教育の指南書です。性に関する様々なトピックをマンガで展開し、わかりやすく解説します。
著者が早稲田大学の教養科目としておこなう授業をもとに、家族史からグローバル・ヒストリーまでをあつかう入門書。
歴史における家族、女性性や男性性の変容、男女二元化のプロセス、身体的性差の認識の変化といったジェンダー・イシューに、
歴史学がどのような問題意識をもってアプローチし解き明かしてきたかを、紐解いていく。
世界経済フォーラムが公表する男女平等度の指標で、日本はG7最下位、世界でも最低レベルが続く。根本原因を地域から探り、底上げできないかーー。フォーラムに準じた手法で、47都道府県ごとに分析し、政治、行政、教育、経済の4分野で強みや課題を可視化した。データや現場取材から誰もが生きやすい社会へのヒントを示す。
はじめにーー都道府県版ジェンダー・ギャップ指数が目指すこと……………三浦まり
第1章 ジェンダー・ギャップを可視化するーー世界の中の日本、そして地域へ
第2章 都道府県ごとの特徴を知ろうーー2024年版指数が映す「強みと課題」
第3章 日本国内の変化の兆しーー自治体、企業、若者、新聞社の挑戦
コラム 誰もが自分らしく歩める地域に……………赤間早也香
第4章 海外の現状ーー北欧と東アジアは今
おわりにーー地域から、この国のジェンダー平等実現を……………山脇絵里子
関連サイト紹介
「男の子」「女の子」にまつわる思い込みを
みんなでディスカッションしよう!
■水色のランドセルの女の子、ピンク色のランドセルの男の子
■お化粧ごっこが好きな男子、戦隊モノが好きな女子
■消防士の女性、保育士の男性
あなたはどう思いますか?
国内外のジェンダーに関する25の場面からディスカッションするポイントをまとめました。
ジェンダーが日常や社会のあらゆることに影響していることに気づき、
男子も! 女子も! だれもが生きやすい未来をつくるはじめの一歩を踏み出しましょう!
「男の子なんだから!」「女の子だから仕方ないね」と言われたときに、
「なんでだろう?」「どうしてだろう?」と思ったあなたは、もうジェンダーバイアスに気づいています!
【ダウンロードデータできる25のディスカッションシートつき】
・遊びやおもちゃからジェンダー・ステレオタイプについて考える
・男の子に向けられるジェンダー規範について考える
・学校の部活における性別役割分業について考える
・女子は文系、男子は理系というジェンダー・ステレオタイプについて考える
・男性は外で働き、女性は家で家事・育児という性別役割分業について考える
・早すぎる結婚の背景にあるジェンダー課題について考える/など
第46回サントリー学芸賞作(政治・経済部門)
歴史・文化・社会的に形成される男女の差異=ジェンダー。その差別は近年強い批判の対象だ。
本書は、実証経済学の研究から就業・教育・政治・解消後の可能性について、国際的視点から描く。
議員の女性枠導入=クオータ制が、質の低下より無能な男性議員排除に繋がる、女性への規範が弱い国ほど高学歴女性が出産するエビデンスなどを提示。旧来の慣習や制度について考える。
【書評掲載案内】
・毎日新聞(朝刊)12月16日/大竹文雄(大阪大特任教授・経済学)
・週刊現代 2023年12月23日号/石戸諭(ノンフィクションライター)
・朝日新聞(朝刊)11月25日/神林龍(武蔵大学教授・労働経済学)
・週刊文春 2023年11月23日号/吉川浩満(文筆家)
・週刊東洋経済 2023年11月11日号/原田泰(名古屋商科大学ビジネススクール教授)
・日本経済新聞(朝刊)2023年10月28日/児玉直美(明治学院大学教授)
・熊本日日新聞2023年9月14日
【目 次】
はじめに
序 章 ジェンダー格差の実証とは
第1章 経済発展と女性の労働参加
第2章 女性の労働参加は何をもたらすか
第3章 歴史に根づいた格差ー風土という地域差
第4章 助長する「思い込み」-典型的な女性像
第5章 女性を家庭に縛る規範とは
第6章 高学歴女性ほど結婚し出産するか
第7章 性・出産を決める権利をもつ意味
第8章 母親の育児負担ー制度はトップランナーの日本
終 章 なぜ男女の所得格差が続くのか
あとがき
「夫婦同姓は日本の伝統だから守るべき」。そう聞いたときに「その『伝統』っていつからなんだろう」という疑問を感じたことはないでしょうか。
本書では職業や結婚など日本の女性・ジェンダーに関わる12のトピックを古代から現代まで紐解き、各テーマの歴史的経緯をわかりやすく解説します。
日本の女性・ジェンダーの問題を知りたい方への入門書として、また、女性史を学びたいという歴史好きの方にもおすすめです。
chapter1 職業 chapter2 結婚 chapter3 出産 chapter4 教育 chapter5 同性愛 chapter6 宗教
chapter7 戦争 chapter8 ファッション chapter9 政治参画 chapter10 性売買 chapter11 文学 chapter12 芸術
コラム 夫婦別姓
思いやりを大事にする「良識的」な人が、差別をなくすことに後ろ向きである理由とはーー。
「ジェンダー平等」がSDGsの目標に掲げられる現在、大学では関連の授業に人気が集中し企業では研修が盛んに行われているテーマであるにもかかわらず、いまだ差別については「思いやりが大事」という心の問題として捉えられることが多い。なぜ差別は「思いやり」の問題に回収され、その先の議論に進めないのか?
女性差別と性的少数者差別をめぐる現状に目を向け、その構造を理解し、制度について考察。
「思いやり」から脱して社会を変えていくために、いま必要な一冊。
「あなたの人権意識、大丈夫?
“優しい"人こそ知っておきたい、差別に加担してしまわないためにーー。
価値観アップデートのための法制度入門!」--三浦まり氏(上智大学教授)、推薦!
◆目次◆
第1章 ジェンダー課題における「思いやり」の限界
第2章 LGBTQ課題における「思いやり」の落とし穴
第3章 「女性」vs.「トランスジェンダー」という虚構
第4章 ジェンダー課題における制度と実践
第5章 LGBTQ課題における制度と実践
◆著者略歴◆
神谷悠一(かみや ゆういち)
1985年岩手県生まれ。
早稲田大学教育学部卒、一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
LGBT法連合会事務局長、内閣府「ジェンダー統計の観点からの性別欄検討ワーキング・グループ」構成員、兵庫県明石市LGBTQ+/SOGIE施策アドバイザー。
これまでに一橋大学大学院社会学研究科客員准教授、自治研作業委員会「LGBTQ+/SOGIE自治体政策」座長を歴任。
著書に『LGBTとハラスメント』など。
ジェンダー平等の実現を目指すべきといわれる一方で、ジェンダーやフェミニズムは社会の頑迷な抵抗に遭いもする。その背景にどのような規範があり、権力作用がはたらいているのか。ジェンダーに関する差別や抑圧は、日常にどのように埋め込まれているのか。
本書では、規範や権力作用という視点を軸にして、ジェンダー/セックスや構築主義/本質主義などの基礎概念から、ジェンダー論の核心、ポジショナリティといった新たな概念、それらを個別の問題に当てはめて考えるのに必要な視点までを、豊富な具体例を用いて平易に説く。
また、「差別ではなく区別だ」「女性もほかの女性を差別することがある」「男も「男らしさの鎧」の重圧に耐えていて大変なのだ」などの、男性側が批判を封殺するのに用いるレトリックの欺瞞性や問題点も明らかにする。
女性に無力感を植え付ける男性の執拗な妨害などを「ジェンダーの権力作用」として捉えることで、ジェンダーの考え方に対する理解を促し、ジェンダー論を学ぶ「はじめの一歩」にとどまらず、二歩目、三歩目を力強く後押しする画期的な入門書。
【目次】
はじめにーージェンダー論に向き合うこと
第1章 ジェンダーを考えること(1)--ジェンダー論の前提
第2章 ジェンダーを考えること(2)--ジェンダーのポリティクス
第3章 制度か心かーーフェミニズムが問題にしてきたもの
第4章 差別/区別と自然化
第5章 男もつらいよ?--男たちの欺瞞のポリティクス
第6章 ジェンダーと社会的結合
第7章 ジェンダーと権力作用
おわりにーー見る前に跳べ
今の日本であなたの娘は輝けますか?
2019年12月、世界のリーダーに影響力を持つ「世界経済フォーラム」が発表した「ジェンダー・ギャップ指数」で、日本は前年度より順位を落とし153か国中121位だった。
政府が女性活躍政策を推進しても、諸外国の改善と比較する相対評価では、まったく追いついていけない。
長年ジェンダー問題について取材・執筆・実践に取り組んできた著者は「多くの人が、『日本は男女格差が大きい』と実感せずに暮らしていることが、日本が変わっていかない一番大きな原因」と指摘する。
本書では、2015年から2017年までの3年間で、女性活躍を最優先課題として本気で取り組んだ各国の女性リーダーの割合の変化を紹介、例えばカナダの閣僚の女性割合は30%から50%に、インドネシアの最高経営責任者は5%から30%に拡大している。
政府や経済界が本気で取り組めば、わずか3年間で女性リーダーをここまで増やすことが可能なのだ。
本書では、諸外国の取り組みを紹介しつつ「日本で男女格差が縮まらない理由」を考察、国内の成功例を挙げながら、次世代のためにできることを提案する。
【編集担当からのおすすめ情報】
長年ジェンダー問題に取り組んできた著者は、映像やCMのジェンダー分析も発信しています。日本でも大ヒットした韓国ドラマ『愛の不時着』やカナダで大ヒットしたドラマ『アウトブレイク』について、コンテンツの魅力とともに、主人公達の描かれ方の新しさについて鋭い分析をしています。ジェンダー炎上の最近例についても紹介しています。ビジネスピープルが知っておくべき新しい視点としてご注目ください。
第1章 日本のジェンダー・ギャップ指数は先進国で最下位
第2章 G20で世界のリーダーが重視する「ジェンダー平等」
第3章 「ジェンダー」を知っていますか
第4章 ジェンダー・ギャップと地域
第5章 無意識のジェンダー・バイアスを克服する
第6章 ジェンダーと経営
第7章 ジェンダー平等と家庭
第8章 ジェンダー平等を作るのはあなた