フェミニズムとは、女の解放を意図しながら、「女」と位置付けられている者以外にフェミニズムを開いていくこと──最良の入門書であるとともに、男/女のカテゴリーを徹底的に解析する本書は、性差の虚構性を暴き、この身体から未来を展望する可能性を示す。齋藤純一氏との『思想』対談を付して文庫化。(解説=岡野八代)
はじめにーーいまフェミニズムを書くことについて
1 どこから来て、そしてどこまで来たのか
前=啓蒙主義の時代
錯綜性と矛盾の胚胎
初期の女性運動ーーセネカ・フォールズ大会の場合
第一波フェミニズムと「ドメスティック・イデオロギー」
第二波フェミニズムとマルクス主義
ジェンダー
ラディカル性と連帯意識
本質主義
精神分析に対する両面的なアプローチ
セクシュアリティ
2 どこへ行くのか
第1章 身体
1 身体的性差という虚構
2 〈女のエクリチュール/身体〉のアポーリア
3 形態論をめぐるフェミニズムの可能性
第2章 慣習
1 ジェンダー化され、ジェンダー化するハビトゥス
2 ホモソーシャルな公的領域
3 ポスト・ファミリーに向けて
第3章 グローバル化
1 境界によって分断される女
2 他者性の呪縛
3 グローバル化とフェミニズム
3 基本文献案内
あとがき
対談 親密圏と公共圏の〈あいだ〉--孤独と正義をめぐって……………齋藤純一・竹村和子
解説 未来からもたらされた、フェミニズム……………岡野八代
「女性ならではのリーダーシップ」……って、なんですか?
あなたを「解放への旅」に誘う、リーダーシップ開発のあたらしい教科書!
「女性らしい」思いやりや協調性への期待、多くの試練に直面する迷宮のようなキャリア……女性が歩むリーダーシップへの「旅」には、今なおさまざまな困難や偏見がつきまとう。
それらをもたらす抑圧的な社会構造とはどのようなものか。抑圧に抗い社会変革に向かうための「解放のサイクル」とは?
インターセクショナリティ、批判的意識、大学生の成長理論を基盤に、フェミニズムをはじめとする知見とリーダーシップ研究を接続し考察。多様なアイデンティティをもつ学生たちのナラティブを取り込みながら、あらゆる人にとってより公正で公平なリーダーシップを実現していく方法を、読者と一緒に考える。
例えば、女性の方が思いやりがある、世話好き、聴き上手……といった褒め言葉のようなもの。[…]その言葉の裏側を読んでみてください。そんなありがちな褒め言葉は、組織や集団において女性に無償の感情労働をさせているのです。またそれらは、ジェンダーとリーダーシップについて二元論的な考え方を補強するものです。女性は、思いやりがあり協調的、逆に男性は、もともとアサーティブで決断力があるからリーダーシップを発揮するために存在する、というように。本書の目的は、そういった前提を問い直していくことです。(第1章より)
●著者紹介
ジュリー・E・オーウェン(Julie E. Owen)
ジョージメイソン大学人文社会科学部統合的・実践的研究学環准教授。リーダーシップ・アイデンティティ発達と女性の成人発達、解放的リーダーシップ教育を実践、研究。女性とジェンダーや高等教育研究の教鞭も執り、公正なリーダーシップを実現しうる社会変革、アイデンティティと社会的権力が日常の実践に与える影響について声を上げ続ける。
●訳者紹介
和栗百恵
福岡女子大学国際文理学部・准教授。修士(教育学)。
スタンフォード大学大学院教育学研究科修了。国際開発協力の仕事を経て、大学で学生・社会人向けの体験的学習の実践と研究を重ね、リーダーシップ開発教育に出逢う。
泉谷道子
創価大学経営学部・准教授。愛媛大学留学生就職促進プログラム推進室・副室長。博士(心理学)。
河井 亨
立命館大学スポーツ健康科学部・准教授。博士(教育学)。
「生きづらさ」を乗り越えるために
「100分deフェミニズム」(2023年1月2日放送)が待望の書籍化! 『伊藤野枝集』『侍女の物語』から『心的外傷と回復』『男同士の絆』まで。豪華著者陣が名著の核心を読み解きながら、フェミニズムの真価を語りつくす。未放送のトピックも収載し、新たな取材も加えた決定版!
17世紀のメアリー・アステルの時代から最近の#MeToo運動まで、フェミニズムの流れを追いながら、先住民族、ブラックフェミニズム、LGBTQなどマイノリティの問題や、アジア・イスラム圏のフェミニズムなども広く取り上げ、オールカラーの写真と図解でわかりやすく解説、その歴史と全体像を捉える待望の一冊。
日本の何が問題なのか?
母娘問題、セクハラ、結婚・恋愛・子育て、団塊世代と大学闘争、性暴力などについて徹底的に語り合った7時間!
・日本の女が大変なワケ
・世代でくくると見えてくるもの
・結婚、恋愛、ナメんなよ!
・子どもを産むのは親のエゴイズム
・オヤジは再生産される!?
・性暴力は女性ではなく男性の問題
・私たちは山ほど洗脳されている!
<著者について>
上野千鶴子(うえの・ちづこ)
1948年富山県生まれ。社会学者。東京大学名誉教授。認定NPO法人ウィメンズアクショネットワーク(WAN)理事長。
専門学校、短大、大学、大学院、社会人教育などの高等教育機関で、40年間、教育と研究に従事。
著書に『家父長制と資本制』(岩波現代文庫)、『おひとりさまの老後』(文春文庫)、『女ぎらい』(朝日文庫)、『ケアの社会学』(太田出版)など多数。
田房永子(たぶさ・えいこ)
1978年東京都生まれ。漫画家、ライター。母からの過干渉に悩み、その確執と葛藤を描いたコミックエッセイ
『母がしんどい』(KADOKAWA/中経出版)がベストセラーに。主な著書に『ママだって、人間』(河出書房新社)、
『キレる私をやめたい?夫をグーで殴る妻をやめるまで?』(竹書房)、『「男の子の育て方」を真剣に考えてたら夫とのセックスが週3回になりました』(大和書房)など。
フェミニズムとは女性たちの尊厳や権利や安全を軽んじる文化を変革し、女性たちの生の可能性を広げようとするもの。そのためにフェミニズムは何を考え、何を主張し、何をしてきたのか。性と身体、性暴力、結婚、スポーツ、ケア、インターセクショナリティなど様々なトピックで学ぶ。
フェミニズムは今、何を議論すべきか。資本主義が変容した社会で起きている新たな課題とは。次の理論形成へ向けて、第一線の研究者が集結!
ベストセラー小説『82年生まれ、キム・ジヨン』の著者チョ・ナムジュによる傑作短編「家出」、シンガー・ソングライターのイ・ランによる初邦訳作「手違いゾンビ」、新世代のフェミニスト作家ユン・イヒョンの代表作「クンの旅」、性暴力をめぐり社会の現実を克明に暴くパク・ミンジョン「モルグ・ジオラマ」など、韓国文学の最前線をいち早く紹介!さらに、いま韓国で最も注目を集め、未来の文学を担う作家ファン・ジョンウンとチェ・ウニョンのふたりによる、本書のための書き下ろしエッセイを収録。他にも大注目の書き手たちによる書き下ろしと特別企画を加え、「文藝」の特集「韓国・フェミニズム・日本」がさらにパワーアップした、『完全版 韓国・フェミニズム・日本』としてここに誕生!
この本を読んでみてください。フェミニズムとはなんなのか、どんな運動をしてきたのか、わかるから。
現代を代表する思想家にして、ブラック・フェミニストのベル・フックスが新しい世代に向けてバトンを渡す、世界でロングセラーのフェミニズム入門書を復刊! 平易な語り口で、フェミニズムの定義、理解と前進のための批判、運動の変化と展望を説く。フェミニズムの歴史を知り、今に活かしたい新しい読者たちにとって最適の一冊。
はじめに フェミニズムを知ってほしい
1 フェミニズム わたしたちはどこにいるのか
2 コンシャスネス・レイジング たえまない意識の変革を
3 女の絆は今でも強い
4 批判的な意識のためのフェミニズム教育
5 私たちのからだ、私たち自身 リプロダクティブ・ライツ
6 内面の美、外見の美
7 フェミニズムの階級闘争
8 グローバル・フェミニズム
9 働く女性たち
10 人種とジェンダー
11 暴力をなくす
12 フェミズムの考える男らしさ
13 フェミニズムの育児
14 結婚とパートナー関係の解放
15 フェミニズムの性の政治学 互いの自由を尊重する
16 完全なる至福 レズビアンとフェミニズム
17 愛ふたたび フェミニズムの心
18 フェミニズムとスピリチュアリティ
19 未来を開くフェミニズム
訳者あとがき
私たちはまだ連帯できるーーほんとうの敵は資本主義だ
1%の富裕層ではなく、「99%の私たち」のために、性差別・人種主義・環境破壊のない社会を。いまや世界中に拡がる女性たちの運動とも共鳴しながら、研究の第一線でも活躍するジェンダー学者たちが、性の抑圧をもたらす現代資本主義の終焉を呼びかける。分断を正確に認識することで、私たちはまだ連帯できる。
「99%のためのフェミニズムは反資本主義をうたう不断のフェミニズムであるーー平等を勝ち取らないかぎり同等では満足せず、公正を勝ち取らないかぎり空虚な法的権利には満足せず、個人の自由がすべての人々の自由と共にあることが確証されないかぎり、私たちは決して既存の民主主義には満足しない」(本文より)。
◎目次
1 新たなフェミニズムの波がストライキを再構成する
2 リベラル・フェミニズムは崩壊した──私たちは前に進まなければならない
3 私たちには反資本主義のフェミニズムが必要だ──99%のためのフェミニズム
4 私たちは社会全体の危機のさなかを生きている──そしてその根源は資本主義にある
5 資本主義社会におけるジェンダー的抑圧は、社会的再生産が利益目的の生産に従属していることに根ざしている──私たちはその順番を正しくひっくり返したい
6 ジェンダーに基づく暴力には多くの形があり、そのすべては資本主義と複雑に絡みあっている──私たちはそれらすべてと闘うことを誓う
7 資本主義はセクシュアリティを規制しようとする──私たちはそれを解放したい
8 資本主義は人種主義的・植民地主義的暴力から生まれた──99%のためのフェミニズムは、反人種主義かつ反帝国主義である
9 資本による地球の破壊から脱するために闘う──99%のためのフェミニズムはエコ社会主義である
10 資本主義は本物の民主主義や平和と両立しない──私たちの答えはフェミニスト的な国際主義である
11 99%のためのフェミニズムはすべてのラディカルな運動に反資本主義の反乱を呼びかける
大注目のフェミニストが語り合う!
(目次)
第1章 フェミニズムに救われた
フェミニズムは生きるための心の杖だった
茶碗を洗いながら泣いていた母親の姿
良妻賢母の呪い
そもそもジェンダーって何? フェミニズムって何?
テレビは拡声器だった
30年前の予言がズバリ的中
第2章 結婚したい? したくない?
「女はパンを、男はパンツを」
配偶者控除はなくすべきか
稼いでいるから、ぶつかれる
一人の大黒柱ではなく、二本の柱で生きていく結婚
ジェンダーイコールな男子を一本釣り
資本主義社会での家事労働からの解放
自立して恋愛が必要なくなった
親から逃げるには結婚しかないのか
なぜ「男嫌い」にならなかったのか
血縁や結婚ではないつながり
昔は「女性は裏切るもの」と思ってた
フェミニズムと女友達
第3章 男女は見ている景色が違い過ぎる
ネット上での女叩き
パートナーにフェミニズムを説明するには
子どもへの性教育をどうする?
男性が弱音を吐くこと
男性にもフェミニストのロールモデルを
綺麗になりたい夫と剛毛でいたい妻
第4章 生きづらいのは私のせいじゃない
家族のあり方を問い直す
子どもを産み育てやすくするための政治
セクハラが女性のキャリア形成を阻む
夜職の女性たちへの職業差別
私たちの生きづらさは誰のせい?
女性議員が少なすぎる
生活が苦しいのは自己責任ではない
第5章 私たちの怒りは喉元まできている
学問ではないフェミニズムが響いた
#MeToo以降の最近のフェミニズム
一人一人に社会を変える力がある
投票率を上げる作戦
シングルイシュー政党を作る作戦
フェミニズムを前に進めるために
田嶋先生と二階堂ふみさんの対談が尊い
日本の女性が怒れるようになった(#私たちは寛大すぎる)
その歴史と意義が2時間でわかる、著者初の総合的な入門書。
学校で習った「男女雇用機会均等法」や「男女共同参画社会基本法」。これらは、真の男女平等を実現するものではなかった? フェミニズムはなぜ生まれ、何を変え、何を変えられなかったのか。その流れを「四つの波」に分けてコンパクトに解説する。女性参政権、性別役割の解放、#MeToo……。過去を知り、自分の経験を再定義する言葉を手に入れるために。日本におけるフェミニズムを切り開き続けてきた第一人者が、多くの経験知とともにフェミニズムがたどった道のりを語る。
いまよみがえる、マルクス主義×フェミニズム。広がった格差の中で女性への差別と暴力を構造的にとらえながら、ネオリベラリズムがもたらした女性搾取のための詭弁「セックスワーク論」を正面から批判し、資本主義と男性支配という現代の二つの支配的な社会システムの悪辣さを白日のもとにさらす。
非婚/未婚/既婚、正規労働/非正規労働、性差別的な売春か/セックスワークか、女性の保護か/男女平等かーー。差別に抗いながらもともに声を上げられない現実を、権力構造によるジェンダー分断、考え方や生き方、個人の関係性などの視点から読み解く。
はじめにーーオンナの呪いを解く
第1章 女は連帯できないのかーーフェミニズムとシスターフッド
1 呪いを解く知としてのフェミニズム
2 フェミニズムが見据えてきた「女同士」
3 シスターフッドの発見ーー分断のメカニズムへの抵抗として
第2章 対話、問い直し、フェミニズム
1 女性の活動への関心と縁
2 平場という関係とその困難
3 「対話」の工夫と調整
4 他者との対話、自己との対話
第3章 フェミニズムの「呪い」と女の欲望
1 フェミニストとしての自分を縛る「呪い」
2 ロック文化とフェミニズム
3 「エロ」はフェミニズムの敵なのか
4 「酒場女子」をめぐるモヤモヤ
5 フェミニズムか反フェミニズムかの二分法を超えて
おわりにーー他者と適度につながり続けるために
Sarah Banet-Weiser, 2018, Empowered: Popular Feminism and Popular Misogyny, Duke University Pressの翻訳です。
男女平等をうたいながら、性差別的な言葉や行為に満ちた学校空間。差別と抑圧を超え、自己を解放する力をもたらすために教育に何ができるのか? 性差別の再生産を止め、既存の権力関係に変化をもたらそうとする新しいフェミニズム教育論!
[目次]
序章
第1章 フェミニズムとフェミニズム教育
1 権力をめぐるフェミニズムの考え方
2 構造としての権力関係への対応の仕方
3 女性学の誕生とその教育実践
4 フェミニズト・ペダゴジーによる権力関係への対応と失敗
5 権力関係の構造を変えるには
第2章 ポストフェミニズムにおける女性の主体性
1 頭のなかの得体のしれない力
2 ポストフェミニズム
3 ポストフェミニズムと新自由主義の共鳴
4 ポストフェミニズムの主体性
5 「作者とは何か」
第3章 学校教育のなかの二重基準と二重意識
1 学校がもたらす二重基準
2 二重基準への対応
3 W・E・B・デュボイスの論じた黒人の「二重意識」
4 学校現場の女性たちの二重意識
5 ハラスメントの構造ーー二重基準のあらわれ、そして二重意識を生み出すもの
6 バックラッシュと性差別ーー変化への抵抗
7 どちらの自己を養うのか
第4章 性差別はそこにあるのに、私たちはみんな見えなくさせられている
1 男子は落ちこぼれていない
2 リベラル・フェミニズムの教育研究
3 「男とか女とかことさら取り立てない」という学校文化
4 フェミニズムの意識を持つ教師
5 女子生徒たちの「抵抗」とポストフェミニズムとのつながり
第5章 困難な「セーフ・スペース」づくり
1 意識化
2 「習慣」の力
3 セーフ・スペース
4 権力が聞きたいことを繰り返す
5 女の語りは疑われる
第6章 情動のフェミニズム教育
1 身体を通じたコミュニケーション
2 エロスと情動
3 情動が伝わる教室環境
4 予測不可能なことを教室にもたらす情動
5 情動のコミュニケーションを習慣化する
終章
女性にはどんな権利が必要?「女の仕事」はどう生まれた?多様で複雑なフェミニズムの論点を、多様で複雑なまま、でもわかりやすく伝えます。
性差別を撤廃するための知は、他者とともに考え、展開する実践の中で生み出される。では、そのような実践はどうすれば創り出せるのか? カナダのケベック州において、フェミニズム運動の流れを受け継ぎ誕生した2つのコミュニティの記録からは、意識化、実践、ネットワーク、インターセクショナリティがキーワードとして浮かび上がる。差別構造を変革していく実践の学習構造を分析した一冊。