“法”が構築する「主体」の政治は何を排除しているのか。フェミニズムの最新知見によってアーレントをはじめとする西洋政治思想史を批判的に検討、従軍“慰安婦”問題などアクチュアルな課題にも斬りこみ、「法の力」の根源的問い直しから新しい社会の構想へと至る画期的論考。
さまざまな場で起動する「男子基準」、性別(間の/内に)ステレオタイプな分化を促すシステム、知に潜むジェンダー・バイアス、機会と選択の壁ー教育と研究の場はいかに変わりうるか。性や家族を問い直す知への逆風や、制度化と格差のジレンマに地道に向き合う実践と省察。
「国家」と「わたし」の関係はどうあるべきか。過去のシティズンシップ(「市民権」)論、主にリベラリズムの議論を批判的に再検討しながら、「平等で自由な人格」がよりよく尊重されるための新たな理念を構想する。いかなる者の視点をも排除しない可能性を秘めたフェミニズム・シティズンシップ論につづき、誰かに依存せざるを得ない存在であるわたしたちにとって不可欠の「ケア関係」に着目した章を増補。本書は、「シティズンシップ」論入門として最適であると同時に、社会科学の新局面をひらく挑戦の書である。
元NHK職員が、原告が、弁護団が、そして研究者が綴る10年目の真実。日本社会が「歴史と責任」に向き合えないのは何故なのだろうか。
ファンタジー・SF・ジェンダー
きらめく都市空間の隅々に仕掛けられた、さまざまな魔法の網! それが罠、妄想と知っても潔く捨てられない……。一発逆転の「幸せ」を夢見て積み重ねられる現代の「シンデレラ・ストーリー」。今を生きるファンタジーやSF、アニメなど様々な時空を横断しつつ、混沌とした時代の欲望の形を模索するーー。
社会理論としてのフェミニズムは,今まで何を成し遂げ,何が課題として残っているのか。グローバリゼーションと「第二の近代」という大きな社会変動に対応する方法とは。フレイザーの「第二波フェミニズム」批判への応答も必読。第一人者が描く次の一歩。
序 論
第1章 この50年,何が変わり,何が変わらなかったのか
第2章 フェミニズムを社会変動の中に置く
──第二波フェミニズムを生み出したのはどのような社会状況だったのか
第3章 グローバリゼーションは何をもたらしたか
第4章 グローバリゼーションと第二波フェミニズム
第5章 フェミニズム・ケア・福祉国家
第6章 追われる国の政治的分断とフェミニズム
第7章 これからのフェミニズムの方向を考える
戦前のアナキズム思想やフェミニズム、プロレタリア文学、戦後の大江健三郎や井伏鱒二、井上ひさしの作品を「暴力をめぐる記録/記憶」として読み解き、「歴史」「戦前・戦後」などの時間の視点からそれらの作品や思想に介入して、批判的に検証する文学研究。
序 章 時間に/で介入する
1 文学と想像的世界の二重性
2 暴力に潜む時間ーー津村記久子『君は永遠にそいつらより若い』
3 距離をとりつつ、取り憑かれるーー歴史の射程
4 本書の構成
第1部 運動/性/階級のポリティクス
第1章 フェミニズムとアナキズムの出合いーー伊藤野枝とエマ・ゴールドマン
1 女性の分断は何に寄与するのか?
2 フェミニズム批判のレトリックーーエマ・ゴールドマンと伊藤野枝
3 男たちのアナキズム
第2章 プロレタリアの「未来」と女性解放の夢ーー性と階級のポリティクス
1 無産階級運動と女性の要求
2 運動への献身と「貞操」をめぐるレトリック
3 “個人的なことは政治的なことである”
4 「女人芸術」の「プチブル的作品」が描くもの
第3章 残滓としての身体/他者ーー平林たい子「施療室にて」と「文芸戦線」
1 闘争主体としての「母」
2 純化されるイデオロギーと残滓としての身体
3 同室の女たちと「私」
第2部 暴力を描く地点
第4章 強制労働の記憶/記録ーー松田解子「地底の人々」
1 春川鉄男「日本人労働者」評と帝国主義をめぐるナラティブ
2 暴力の位相ーー松田解子「地底の人々」の初出と世界文化社版から
3 「中国人労働者」たちの蜂起と連帯
第5章 歴史の所在/動員されるホモエロティシズムーー大江健三郎『われらの時代』にみる戦争の痕跡
1 「停滞」する世界の表象
2 ホモソーシャル/ホモセクシュアルな欲望
3 歴史の免責と暴力の傷痕
第6章 「戦時」をめぐる歴史的時間の編成ーー井伏鱒二「黒い雨」
1 「庶民」の表象と「異常な戦時」
2 去勢された家長と敗戦
3 「喪失」と「回復」をめぐる遠近法
終 章 未来を語る/語らないことーー井上ひさし『父と暮せば』
1 『父と暮せば』の時間
2 記憶の回復/整序と再生産的未来
3 単線的時間の(不)可能性ーー大田洋子『夕凪の街と人と』を参照軸として
初出一覧
あとがき
現代人にとっては、あまりにも当たり前のことになってしまった避妊。それはいつ、なぜ、どのようにしてはじまったのでしょう。生殖をコントロールするのが「正しい」ことになってゆく過程で、私たちはなにを失い、なにを得たのでしょう。これは、産む、産まないをめぐる熱い闘いについての「歴史」であると同時に、「いま」の私たちの位置についても考えるための本です。
解放は女が創り出し、学ぶものである。フェミニズムの高揚を背景に活発な展開を見せるイギリスの女性教育の現状と問題点を報告。
特集テーマは「都市・建築・コスモロジー」である。敗戦の焼跡を彷徨しつつ、今日の東京を想像し得たものがいたであろうか。人間の想像力はいかに貧困なことか。しかし、今、東京という都市を動かしているデモンは何か。まさに想像を絶した異形の怪物が裏面の舞台を跳梁しているドラマがそこに展開されているのかも知れない。記号論の出番である。
ミス・コンテストの問題や、性の商品化をめぐる問題などにおいては、いったい何が差別なのか、したがった何がどうなれば平等だといえるのか、必ずしも明確ではない。「男性と女性が平等である社会とはどういう社会か?」という問いは、今や答えることのもっとも困難な問いになっているのである。本書は、この困難な問いをけっして放棄することなく、常に問い続けるという姿勢を貫きながら、…暫定的ではあるが、「平等な社会」について、一つの明確なイメージを浮かび上がらせようとするものである。
ヒロインたちの境遇を描き分けることで、近代夜明けの女の生き難さをくっきりと浮かび上がらせた女性作家・樋口一葉。〈性差の規範〉を超えゆこうとした表現の全体像を「女性の視点」でとらえた画期的論集。
「名作」の深層にひそむ罠、戦略、可能性。島崎藤村、太宰治、金子光晴ら男性作家の文学テクストに対峙しつつ、フェミニズム批評の成熟へむけて女性たちのことばを精緻に織り上げる。
未来社会に向かうグローバルな環境哲学像に挑戦した意欲的試み。
本書は、2部構成。第1部は、授業実践編で、それぞれ授業案とともに実際に授業をしての生徒の反応や、それを踏まえての教師の反省、提案もしている。第2部は、授業提案編で、ジェンダーの視点での授業のアイデアを考えている。