どう生きるべきかとまどう男たち。女性解放が進む一方、女性よりも稼ぐこと、強いことを当然とする意識から男性は解放されているだろうか。
フェミニズムとしての女性史研究は、性差を構築し内面化させる「近代」そのものを問い直す実践である。それは「近代」というストーリーを補強する制度的な知としての「歴史学」への鋭い問いでもある。その視座と方法をめぐる提起と議論、実践としての地域女性史研究、聞き書き、近代がもたらした排除と分断のプロセスの分析を紹介。問いかける側のリアリティをも揺るがしつつ紡がれた成果である。
メディアは、メッセージとともに既存の力関係も流通・補強しつつ、「意味をめぐる闘争」の場となるー発信の場からの排除や表現における差別は、構造的な歪みを可視化させ、「女性向け」商品は、受け手の能動的な読み替えで、新たな市場や回路も拓くー。カルチュラル・スタディーズや構築主義以降、メディアのジェンダー分析の新たな到達点も紹介。
妊娠や出産、育児は決して「自然の営み」ではない。育児負担の歪みがもたらす少子社会、出産の医療化の果ての産科医不足、テクノロジーが揺るがす生命観・家族観、生殖や再生産労働の商品化がひろげるグローバルな格差。フェミニズムの試金石でもありつづける〈母性〉=近代の性と生殖をめぐる危機の現在を見渡す論集。
若い女、中年の女、母親、主婦…孤立させられた女たちが声をあげたリブ。制度や意識の変化を経ても、性愛から老いまで、いまだ「名前のない問題」と向き合い生き抜く思想は終わらない。「女であること」と格闘し掴み取られて来たひとつひとつの価値を、手渡す/受け取るというセカンドステージへ。
“女神よりは、サイボーグになりたいー”人間、機械、物質、非物質のハイブリッド生命体としてのサイボーグ女性像が開示する脱性差時代の生体政治学。D・ハラウェイ「サイボーグ宣言」完全収録。
ラディカル・フェミニズムの成果を享受する一方で、そのイデオロギーには違和感を覚える女性たち。フェミニズムはもはや存在意義を失ったのか?「政治的なもの」から「ポップなもの」へ、「社会的なもの」から「個人的なもの」へと重心を移しながら、多様な声を包みこむ第三波フェミニズムと、女性たちの文化実践を結ぶ、今日的フェミニスト・カルチュラル・スタディーズ。
半世紀にわたり全国の女性の声を集め続けた情報誌『あごら』とその運動の軌跡。
半世紀にわたり全国の女性の声を集め続けた情報誌『あごら』とその運動の軌跡。
半世紀にわたり全国の女性の声を集め続けた情報誌『あごら』とその運動の軌跡。
道徳哲学を安楽死・同性愛・中絶・動物の権利・死刑制度等、さまざまな現実と引き合わせることにより鮮やかに描き出している。豊富で適切な実例により倫理学上の問題とは生々しい出来事に他ならないことが実感されるであろう。
セックスワーカーは男の「排泄の道具」なのか。
売春の是非を中村うさぎが風俗嬢から学者までと語り合い考える。
はじめに●なんとなく「風俗はダメでしょ」と思っているすべての人へ
PART1●なぜ彼女たちは風俗嬢として生きるのか?
風俗嬢ぶっちゃけ座談会
電マ大好きイケメンから、80歳のおじいちゃんまで。
風俗とは男にとってのディズニーランドだ!
現役風俗嬢アンケート 中塩智恵子
風俗嬢聞き書きメモ2000年〜2016年
対談 中塩智恵子×中村うさぎ
風俗嬢たちを蝕むイジメや性的虐待の過去。
売春には根深い社会の問題が潜んでいる
対談を終えて
男性優位社会の一番の被害者が
男性である限り、セックスワーカー差別は
なくならないのかもしれない
寄稿 中塩智恵子
レイプに中絶。風俗の犯罪化が
風俗嬢を危険に晒す
対談 神田つばき×中村うさぎ
女としての性的な価値が知りたい!
ママは39歳でAV女優
対談を終えて
母が女を取り戻すと、社会の制裁が下る!
寄稿 畑野とまと
セックスワーカーは女だけじゃない!
トランスジェンダー風俗嬢の現場レポート
PART2●セックスワークをなくせば女たちは救われるのか?
対談 坂爪慎吾×中村うさぎ
障碍者の「性」に向き合うことで
売春を福祉の言葉で書き換える
対談を終えて
この社会からこぼれ落ちた人々を
セックスワークが救う、という可能性
対談 開沼博×中村うさぎ
「漂白される社会」は、
本当に住みやすい社会と言えるのか?
対談を終えて
個人の「幸福」や「居場所」は
他人が口出しすることじゃない
PART3●性の売買は何故、「穢れ」と見做されるのか?
対談 伏見憲明×中村うさぎ
「性を売ること」へのタブー感は
どこから生まれているのだろう?
対談を終えて
フェミニズムのパターナリズム。
「性の解放者」が「性の抑圧者」になった
対談 佐藤優×中村うさぎ
売春をすると魂が毀損されるのか?
売春反対派にタブー視の理由を聞く
対談を終えて
個人の快・不快を社会的善悪に置き換えることの危険性
「終わりに」に代えて
支援者リスト
編著者プロフィール
環境共生、人間共生、多文化共生など、「共生」に関するさまざまな個別研究が広がるなかで、「共生学」という新たな学問の開拓に挑戦する。「他者との出会い」「グローバリゼーション」という基礎的概念から出発し、高齢者、食と健康、フェミニズムと地域史、性教育と学校、国際協力、宗教と科学技術をめぐる共創、災害復興とボランティア、死者、潜在的な他者、植物といった共生にまつわる諸課題への実践を包含・体系化し「共生のフィロソフィー」「共生のサイエンス」「共生のアート」として整序する。大阪大学大学院人間科学研究科が宣言する「共生学」とは何か。『共生学が創る世界』(2016年刊)発展編。
はじめに
序章 私たちが考える共生学
第1部 共生学とはなにか
第1章 共生の相互作用的基盤とはなにかー違和感、不快感と不断の交渉
第2章 「共生」の位相を巡る思想史ー小さな物語の横溢?大きな物語の欺瞞?
第2部 今を生きる
第3章 「地域共生社会」の再検討ー高齢者を起点とする多世代共生の実践
第4章 フィールド栄養学からみた食と健康ーインド・ヒマラヤ高地の遊牧民と難民を事例として
第5章 戦時性暴力と地域女性史ーフェミニズムが支えるスピークアウト
第6章 なぜ子供たちが知らないままでいることを望むのか?-学校で包括的性教育を実施することの困難とその解決に向けて
第3部 ともに生きる
第7章 国際的支援と住民の自助を再考するーケニア・スラムの無認可私立学校を事例として
第8章 共生社会に向けての共創ー宗教と科学技術による減災のアクションリサーチから
第9章 共生のグループ・ダイナミックスとその技法ー中越地震からの復興過程を通して
第4部 さまざまな共生のかたち
第10章 死者との共同体ー記憶の忘却と存在の喪失
第11章 消滅というリアリティに向き合うー非人間的な存在とのかかわりをとらえなおす
第12章 共に治すー人新世における人間と植物の共生をめぐって
補論 共生学はどこからきて、どこにむかうのか
おわりに
執筆者紹介
国際的な女性解放運動の一環として発展してきたフェミニズム批評は、現代のあらゆる文学批評の方法と連帯して確立された。もっとも定評あるフェミニズム批評のアンソロジー。
わずか20年間のうちに、驚くべき成果をあげたフェミニズム批評の歩みと〈現在〉、そして未来への指向を、その豊かな多様性をそこなうことなく紹介する“もっと良く理解するためのフェミニズム文学批評入門書”。