Sarah Banet-Weiser, 2018, Empowered: Popular Feminism and Popular Misogyny, Duke University Pressの翻訳です。
歿後10年。あたらしい地平を切り開きつづけた作家が描いたものとはーー
敗戦後を描き、そして、東日本大震災の後を描きつづけた稀有な小説家。津島佑子文学はマイノリティの思想なのだ、と評する著者が、その作品を丁寧にひとつずつ読み解き、唯一無二の小説を完成させた作家に迫る。
本書が扱うのは、フェミニズム、ジェンダー、トランスナショナルという三つの視点から見た、1970〜80年代の写真をめぐる批評の歴史。中村公彦は、日系三世アーティスト、トミエ・アライの写真実践を通じて、日本軍のアジア侵略や米国の覇権主義という主題が、太平洋を越えて響き合う様を描く。久後香純は、雑誌『anan』とディスカバー・ジャパンの広告が作り上げた「女の一人旅」という文化装置を読み解き、その希望と限界ー白人女性モデルを至上とする人種的ヒエラルキーへの加担ーを鋭く指摘する。きりとりめでるは、富山妙子、富岡多惠子、宮迫千鶴という三人の女性による、写真と旅をめぐる思索を接木し、ウーマンリブ的連帯との複数的な距離を持つ彼女たちの批評の軌跡をたどる。
そして、本書最大の特色は、三者それぞれの書き下ろし論考に加え、各自が独自の視点で選んだ「再掲論文」を併載している点にある。上野千鶴子が1984年に『朝日ジャーナル』へ寄せたメディア論、富岡多惠子が『カメラ毎日』での連載に記した写真批評、富山妙子が自著の「あとがきにかえて」に残した旅と制作をめぐる言葉。そして、フェミニスト・アートを推進した最も初期の批評家の一人、ルーシー・R・リパードによる論考「包括的交流」の、待望の本邦初訳。過去に埋もれていた言葉の数々を、現在の批評的視座から掘り起こし、光を当て直す試みだ。
三人の批評家は、議論を戦わせしのぎを削るのではなく、互いの関心を共有し、協働することを選んだ。競争ではなく連帯によって編まれた本書は、写真という表現に本来備わるジャーナリズム性ー社会の表に出ない現実、歴史に埋もれた真実、時代の権力によってかき消された声が、意図せず記録されている力ーを、三様の批評的まなざしを通じて浮かび上がらせる。
過去の批評的実践を歴史化し、埋もれた仕事の功績に光を当てる本書は、写真文化・美術批評に関心を持つすべての読者にとって、新たな視座を開く一冊となるだろう。批評とは競争ではなく、協働によっても深められる、そのことを実践的に示した稀有な一冊でもある。
写真の潜在力と公共性|千葉由美子(T3 NEW TALENT 批評部門ディレクター)
Chapter 1
トミエ・アライの芸術における写真イメージの力|中村公彦
中村公彦セレクション
包括的交流─フェミニズムが1970年代アートに行った貢献|ルーシー・R・リパード
Chapter 2
ひとりが怖いなら死んじまえ ディスカバー・ジャパンと『anan』からみる文化装置としての女性一人旅|久後香純
久後香純セレクション
女性誌ニュージャーナリズムの同世代史|上野千鶴子
Chapter 3
写真のためにはなにも存在しない 富山妙子、富岡多惠子、宮迫千鶴による写真と旅をめぐって|きりとりめでる
きりとりめでるセレクション
あとがきにかえて|富山妙子
奢るなかれ現代の聖像製作者|富岡多惠子
世界をまなざす批判性|中村公彦
連帯する美術批評─批評の歴史化を目指して|久後香純
複数的な連帯との距離|きりとりめでる
▼フェミニズム理論の古典、待望の邦訳。
▼ラディカル・フェミニズムの理論的緊張、レズビアン・フェミニズムの存在論的批判、そして分析哲学の精密な概念操作が衝突する名著。
なぜ私たちは、差別や抑圧に満ちた社会を「当たり前の現実」として経験してしまうのか。
本書は、分析哲学の手法を用いてフェミニズム理論を刷新した哲学者マリリン・フライの代表作である。ラディカル・フェミニズムとレズビアン・フェミニズムの観点から、有名な「鳥かご」の比喩をはじめ、女性蔑視、異性愛規範、同性愛嫌悪の構造を鋭く分析し、抑圧を個人の偏見ではなく社会的・制度的な関係の総体として捉え直す。概念分析、認識論、言語哲学、社会哲学を横断しながら、「現実」がいかに政治的に構成されるのかを問いかける、フェミニスト哲学の古典。
まえがき
はじめに
第一章 抑圧
第二章 性差別
第三章 名前のない問題
第四章 危害の中に、危害の外に──我が物顔と愛
第五章 怒りについての覚書き
第六章 分離主義と権力についての省察
第七章 白人であることについて
──人種と人種至上主義のフェミニズム的理解へ向けて
第八章 レズビアン・フェミニズムとゲイの権利運動
──男性至上主義に関するもう一つの見方と、もう一つの分離主義
第九章 いることと見られること──現実の政治学
訳者あとがき
斎藤美奈子・北村紗衣・吉田恵里香、太鼓判!
いま最も社会が必要とする批評家、鮮烈なる第1作!
クィア/フェミニズムの視点で文学シーンを切り拓く、
新進気鋭の批評家・水上文による初の批評×エッセイ集!
「デビュー作でこれはヤバいです。多数派の価値観をゆさぶり倒す、批評の最前線です」 斎藤美奈子(文芸評論家)
「からだ、性、家族、アイデンティティなどを切り口に現代日本文学を批評する、読み応えたっぷりの本」 北村紗衣(研究者)
「世の中への冷静な怒りが痛快爽快。理性と優しさに裏打ちされた闘志が、読者の心の傷を癒してくれる」 吉田恵里香(脚本家)
=目次=
はじめに
狭間の沈黙
01 ほかならないこの身体で
私の身体を生きるためのブックガイド
女たちの声──現代日本文学における母娘について
母の娘──宇佐見りん『かか』について
02 異性愛規範を穿つ
クィアなフェミニストとして生きること
クィアな時間を考えるためのブックガイド
いかに「愛」を語るか──綿矢りさ作品における女性同性愛について
03 ここに楔として打ち込まねばならない
シスジェンダーとは何か?
クィアを死なせない文学──李琴峰『言霊の幸う国で』評
補論(1):「キャンセルカルチャー批判」批判
補論(2):文学の自由と暴力──笙野頼子批判
フェミニズムとトランスジェンダー──笙野頼子『水晶内制度』をめぐって
トランスジェンダーの物語をめぐるブックガイド
04 生きることに耐えて学ぶ
あなたを許さない──高瀬隼子作品について
シェイクスピアの妹など生まれはしない──初期金井美恵子作品をめぐって
我ら拷問者──松浦理英子作品とクィアな教育論
CNN ENGLISH EXPRESS 10月号
◆特集
米中間選挙、経済、医療 etc.
ニュースで学ぶ
[分野別]重要英単語
英語学習で重要な位置を占めるボキャブラリービルディング。CNNのニュースは幅広い分野を扱っているので、さまざまな語彙を学ぶのに最適なのはご存じの通りです。とはいえ、満遍なく語彙を習得していくのはなかなか難しく、学習していくうちに語彙の豊富な分野とそうでない分野ができていると感じることがあるのではないでしょうか。
今回の特集では、金融や経済、医療などぜひ押さえておきたい分野はもちろん、比較的ニュースで取り上げられない傾向がある日常的な分野などもピックアップします。今後増えると予想される、米中間選挙関連のニュースに使われるであろう単語も取り上げます。簡単そうで意外と知らない単語や言い回しも多く載っていますので、ぜひ語彙力増強にお役立てください。
◆Cinema Update
超話題作『オデュッセイア』
監督・キャスト インタビュー
『インセプション』や『オッペンハイマー』などで知られるクリストファー・ノーラン監督の最新作『オデュッセイア』。映画史上初となる全編IMAX撮影による本作が、9月11日の日本公開を控え、大きな話題を呼んでいます。西洋文学の原点とされる、古代ギリシャの詩人ホメロスによる英雄叙事詩『オデュッセイア』を基にした本作には、マット・デイモンやアン・ハサウェイら、名だたる俳優陣が出演しています。ここでは、ノーラン監督、マット・デイモン、トム・ホランド、アン・ハサウェイのインタビューをお届けします。
◆CNNニュース・セレクション
身を守るべきか、環境を守るべきか
猛暑のフランスで熱を帯びるエアコン設置論争
2026年夏、フランスは記録的な熱波に見舞われました。もともと真夏でも過ごしやすく一般家庭にはほとんどクーラーが普及していない上、その使用による地球環境への影響を懸念する声もあります。人々が暑さに苦しむ中、エアコン設置の是非は政治問題にまで発展しているといいます。
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・デビッド・ベッカムが「ハリウッドの殿堂」の仲間入り
・アメリカ人の約半数が「自分は無党派」と回答
・アメリカが建国250周年、各地で記念行事
・イーロン・マスク氏のSpaceXが時価総額でAmazon超え
・IOCが新制度を発表 五輪選手に1万ドル支給へ
など……旬なニュースが盛りだくさん!
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◆CNN News Focus
ブレグジットを決めた国民投票から10年
イギリスで広がるEU離脱への後悔と分断
2016年6月23日、イギリスは国民投票でEU(欧州連合)からの離脱=ブレグジットを選びました。加盟国の脱退というEU初の事態は多くのイギリス人にとっても予想外であり、同国では経済の停滞に加え、この10年で7人目となる首相が2026年7月に就任するなど政治的にも混乱が続いています。離脱を誤りだったとする人が半数を超える世論調査もある今、イギリス人は10年前の選択をどのように捉えているのでしょうか。CNNがある港町で取材しました。
◆スペシャル・インタビュー
俳優・活動家
エマ・ワトソン
2026年6月、違法な野生動物取引から絶滅危惧種を守ることを目的とした団体「United for Wildlife」が主催したフォーラムに、エマ・ワトソンが登壇しました。俳優としてだけでなく、環境保護やフェミニズムの分野でも発言・活動を続けてきたワトソンは、壇上で一編の詩を朗読し、インタビューでは自身の環境保護活動の原点となるエピソードや、ファッション業界が今後どのような影響を与えられるかについて語っています。その詩の朗読とインタビューの一部をお届けします。
◆In Session with CNN
つけ込まれる欧米人たちの「孤独」
国際ロマンス詐欺を手掛ける
ナイジェリアの「ヤフー・ボーイズ」
昨年、アメリカ国内だけで10億ドル近い金銭被害が出たとされるオンラインの「ロマンス詐欺」。出会い系サイトで偽のプロフィールを使い、寂しさゆえに人との親密なつながりを求める人々から大金をだまし取っている詐欺師たちの一大拠点となっているのが、ナイジェリアです。ジャーナリストのカルロス・バラガン氏は、自身の母親が被害に遭ったことをきっかけにナイジェリアへ渡り、その実態を取材しました。見えてきたのは、マフィアのような組織立った犯罪ではなく、貧困の中でスマホ片手に詐欺を働く数多くの若者たちと、大金を差し出してまで他者とのつながりを欲する欧米人の孤独でした。
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〈好評連載〉
・4年で48州制覇! Stateside Voices: South Dakota
・関正生の「丸暗記いらず」英文法ゼミ
・浅田浩志 この日本語、ネイティブなら何と言う?
・CNNで英会話 Talking News
〔概要〕
今回は、気候変動や環境破壊という側面から戦争の罪を問う、「気候と戦争」を特集します。また、街に出て運動する市民の姿に勇気づけられる「韓国の社会運動」、伝統的保守層との奇妙な結びつきを明らかにする「極右とフェミニズム」特集もあわせてご期待ください。世情を鑑みた珠玉の単発記事も複数、企画しております。
〔目次〕★知層 News In-Depth
進行するナクバの新局面ーーヨルダン川西岸地区の入植者暴力
田浪亜央江(広島市立大学)
誰のための再審法改正だったのか
笹倉香奈(甲南大学)
★特集1:気候と戦争
誰のための気候安全保障かーー構造的暴力を克服するケアと連帯
蓮井誠一郎(茨城大学)
計算されていないものを計算するーー軍隊がもたらす地球規模の気候への影響
紛争・環境監視機構(Conflict and Environment Observatory、イギリス)
〈解説〉軍拡と気候危機ーー交差する二つの脅威
深草亜悠美(FoE Japan)
戦火に隠れた環境破壊ーー「見えない汚染」と気候危機
香取啓介(朝日新聞)
★特集2:韓国の社会運動
韓国の新たな社会運動ーー「ヘル朝鮮」を終わらせる「広場」へ
横田伸子(関西学院大学)
民主と共和を街頭から更新するーー憲法から考える韓国の「デモの力」
加藤直樹(ノンフィクション作家)
★特集3:極右とフェミニズム
「ふつうの国」のジェンダーとは何かーー日本の軍事化とジェンダー平等規範
本山央子(お茶の水女子大学)
フェミニスト・セックス・ウォーズ
高井ゆと里(東京大学)
高市政権を支える女性たちとは
森田真奈子(東京新聞)
★単発
リアリズムの幻想ーー「トランプの傘」と平和への選択
豊下楢彦(政治学者)
被爆81年 核不拡散の現在
鈴木達治郎(長崎大学核兵器廃絶研究センター)
〈短期連載〉イスラエル 戦争経済とその崩壊(下)崩壊寸前のイスラエル経済
シャー・ヘヴァー(経済学者・在ドイツ)
「秩序ある共生」に脅かされる外国人の安心・安全
鈴木江理子(国士舘大学)
★連載
加害研究の戦後史 第6回 朝鮮BC級戦犯と戦後補償裁判
内海愛子(恵泉女学園大学名誉教授)
日本の公安警察2026 第13回 熊本日日スクープと公安の伝統的手法
青木 理(ジャーナリスト)
ルポ 世論工作ーー原発と情報統制 第6回 TOKIO つくられた「福島復興の顔」
野池元基
山椒のひとつぶ 第6回 「高山コラム」と消えない差別ーー(上)名前を知られる恐怖
辛淑玉(のりこえねっと共同代表)
再生可能エネルギーの底力 第4回 自然エネルギー100%大学
まさのあつこ(ジャーナリスト)
ユース・ポリティクス 第7回 北欧社会からのアイデア3全国生徒会
能條桃子(FIFTYS PROJECT)
歌舞伎町で。第16回 性売買から離れて、生きていくために
仁藤夢乃(Colabo代表)
台湾・麗しの島だより 番外編2誰の「事件」だったのかーー牡丹社事件、いくつもの記憶を抱きしめる
栖来ひかり(文筆家)
ウクライナ通信 第28回 死傷者45%増のドネツク州
尾崎孝史(写真家)
〈叛ー地政学〉への旅ーーいくつものフォルモーサへ 第5回 脱国家的共同体としてのディアスポラ
今福龍太(文化人類学者・批評家)
★書評 Independent Book Review
作られた「外国人」という境界線
指宿昭一(弁護士)
個と場と本 第27回 あきれても、あきらめない
二村知子(隆祥館書店)
編集部のイチオシ新刊
忘れられた未来へ 第4回 アブハジアの旧閣僚会議庁舎
星野 藍(写真家)
読者投稿
編集後記
1990年の刊行以来、フェミニズムとアニマルライツ運動の交点で決定的な役割を果たし、世界中に影響力を及ぼしつづける現代の古典。家父長制システムのもと自由を奪われ、性と生殖を管理され、やがて肉として消費される運命を強いられてきた女たち・生き物たちの声を聴く力に、私たちの未来がある。旧訳『肉食という性の政治学』を改題、最新版原典に依拠して大幅増補した〈人生を変える1冊〉!
エジプトのカイロにおいて敬虔運動と呼ばれる、モスクで行われるムスリム女性による勉強会における主体形成の在り方を詳細に描き出し、女性のイスラーム信仰を単に男性支配への従属とみなしてきたリベラル・フェミニストの議論や前提を喝破した画期的な民族誌。
語彙集
凡例
二〇一二年版への序文
はしがき
謝辞
第一章 自由の主体
第二章 敬虔運動の地勢図(トポグラフィー)
第三章 説得の教育
第四章 実定(ポジティヴ)倫理学と儀礼的慣習
第五章 エージェンシー・ジェンダー・身体化
エピローグ
訳者解説
原註
参考文献
索引
平安文学研究者出身の作家・奥山景布子が、「フェミニズム」「ジェンダー」「ホモソーシャル」「おひとりさま」「ルッキズム」など、現代を象徴するキーワードを切り口に「源氏物語」を読み解く。そこに浮かび上がってきたのは、作者・紫式部の女性たちへの連帯のまなざしだった。時空を超えて現代の読者に届くメッセージ──希望ある未来へとバトンを繋げる新解釈。著者初の古典エッセイ。
〈目次〉
はじめに 「サブカル」、そして「ジェンダー」「フェミニズム」
──紫式部の追究した「人間の真実」
第一講 「ホモソーシャル」な雨夜の品定め
──平安の「ミソジニー」空間
第二講 「ウィメンズ・スタディズ」を古典で
──「女の主観」で探る夕顔の本心
第三講 ほかの生き方が許されない「玉の輿」の不幸
──「シンデレラ・コンプレックス」からの解放
第四講 「サーガ」としての「源氏物語」
──光源氏に課せられた「宿命」と「ルール」
第五講 「境界上」にいる、破格な姫君・朧月夜
──「マージナル・レディ」の生き方
第六講 宮家の姫の「おひとりさま」問題
──桃園邸は平安の「シスターフッド」?
第七講 「教ふ」男の「マンスプレイニング」
──紫の上の孤独な「終活」
第八講 「都合の良い女」の自尊心
──花散里と「ルッキズム」
第九講 平安の「ステップファミリー」
──苦悩する母たちと娘の「婚活」
第十講 宇治十帖の世界と「男たちの絆」
──「欲望の三角形」が発動する時
第十一講 薫の「ピグマリオン・コンプレックス」
──女を「人形」扱いする男
第十二講 「自傷」から「再生」へ
──浮舟と「ナラティブ・セラピー」
おわりに 古典を現代に
〈著者プロフィール〉
奥山景布子(おくやまきょうこ)
1966年生まれ。小説家(主なジャンルは歴史・時代小説)。名古屋大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。主な研究対象は平安文学。高校教諭、大学講師などを経て、2007年、第87回オール讀物新人賞を受賞し作家デビュー。2018年に『葵の残葉』(文藝春秋)で第37回新田次郎文学賞、第8回本屋が選ぶ時代小説大賞をダブル受賞。古典芸能にも詳しく、落語や能楽をテーマにした小説のほか、朗読劇や歴史ミュージカルの台本なども手掛ける。また、「集英社みらい文庫」レーベルでは、児童向けの古典案内・人物伝記も精力的に執筆。著書多数。
女性リーダーたちはなぜ国家の戦争に組み込まれていったのか?
1970年代、カリフォルニア・リヴァーサイドの壮大で過酷な自然の中で暮らし、子育てと研究の日々を過ごしつつ、富岡多恵子、中上健次、白石かずこらとの交流や父三喜男の死を通して、ジェンダー批評を開拓していった水田宗子渾身のエッセイ!
第一章 カリフォルニアへの移住
第二章 東京へ帰る
第三章 リヴァーサイドの一軒家
第四章 日本からの友人たち
第五章 一軒家のフェミニズム
●表紙&グラビア+インタビュー:純烈
ムード歌謡グループの純烈がAERA表紙に初登場。リーダーの酒井一圭さんは、現在のグループの状態を「いろいろ削ぎ落とされていいバランス」と表現します。インタビューでは、波乱万丈の16年を振り返りつつ、ターニングポイントや純烈マインドを率直に語ってくれました。蜷川実花が撮り下ろした華やかなグラビアも必見です!
●【巻頭特集】アップルが人生を変えた/モノを超えた"相棒"の進化
今年で創業50周年を迎えたアップル。かつては一部のコアなファンが使うイメージでしたが、iPodやiPhoneの登場でユーザー層が拡大し、今や多くの人の生活に欠かせない存在となっています。著名人から一般の人たちまでアップルの製品の愛用者のストーリーを描きます。作家の岸田奈美さんは、ダウン症の弟がiPhoneを使いこなすことで家族とのコミュニケーションが豊かになったエピソードを紹介。お笑い芸人の古坂大魔王さんは「アップルがなければPPAPは生まれていない」と振り返ります。単なる道具を超えた“相棒”としての進化と未来を、多彩な証言からひもときます。
●中1英語クライシス
小学校での英語教科化から6年が経ち、中学校の現場で「英語嫌い」の生徒が目立つようになっているという課題をリポートします。英語教師の団体が行った調査によると、中学1年生の時点で約3分の1がすでに英語を「嫌い」と感じていることがわかりました。小学校で習得済みとされる約700の単語が定着していなかったり、中学校の教科書がbe動詞と一般動詞、さらには助動詞や疑問詞を序盤で一気に扱う構成になっていたりと、生徒が混乱する要因は少なくありません 。生徒や教師の悲鳴ともいえる声を紹介し、英語教育が抱える問題を浮き彫りにします。
●『現代の肖像』和田彩花
人物ルポルタージュ欄「現代の肖像」は、ハロプロのアイドルグループ「アンジュルム」の元リーダーで、現在は「詩と言葉のアーティスト」として活動する和田彩花さんを描きます。アイドル時代に抱いた違和感をきっかけに、フェミニズムやジェンダーについて学び、発信を続けてきたという和田さん。フランス留学や新バンド「LOLOET」の結成、うつ病の公表など、常に自分らしくあるために模索を続ける姿に迫ります 。
●THE ALFEE 連載「奇跡の軌跡」
THE ALFEEの歴史をひもとく本連載、今回は1983年後編です。バンドにとって初となった日本武道館公演、果たしてメンバーが語る思い出は…? さらにこの年は「紅白歌合戦」にも初出場。当時の貴重なエピソードとアルフィートークをお楽しみください!
ほかにも、
・経済効果100億円超 博多の屋台街
・成長の機会奪う「ホワハラ」職場 中途入社1年目の正社員の約7人に1人が経験
・毒親の介護 理不尽と葛藤 傷つけられ続けた子の老親介護の現実
・向井康二が撮る 白熱カメラレッスン feat.伊藤篤志(Boys be)
・土井善晴の娘・光 引き算で進化 わたしらしい活動を
・[トップの源流]ヨックモックホールディングス 藤縄武士社長
・[女性×働く]均等法世代の女性たち リスキリングと地方女子の未来
・[やさしくなりたい]ソーシャルインパクト フードロスを削減する「TABETE」
・巻頭コラム[eyes]内田 樹、ブレイディみかこ
・鈴木忠平[沖縄の英雄 島人たちの甲子園]
・あきやあさみの「愛せる服」と生きていく
・佐藤 優の実践ニュース塾
・武田砂鉄[今週のわだかまり]
・田内 学の経済のミカタ
・ジェーン・スーの先日、お目に掛かりまして
・沖 昌之の今週の猫しゃあしゃあ
・松崎ケイリーン[日本のいいもの かわいいもの]
などの記事を掲載しています。ぜひご覧ください!
この困窮は、だれのせい?
かつて「世界の工場」と呼ばれたイギリスーー栄華の陰で、拡大する貧困に大勢が喘いでいた。
個人に、社会に、国家に何ができ、なぜそうすべきなのか?
「市民的道徳性(シティズンシップ)」を手がかりに現代へと至る福祉国家の知的水脈をたどる。
・19世紀イギリスーー繁栄の陰で無数の人が貧困に喘いでいた。
・個人は、社会は、国家は何ができ、何故そうすべきなのか。
・初期フェミニズムや優生学との影響関係についても詳解。
ふたたび資本主義の問題が叫ばれている今日、福祉国家の知的源流に立ち返り検討する。T. H. グリーンやボザンケ夫妻らを中心とする19 〜 20 世紀イギリスで花開いたリベラリズムに光を当てることで、彼らが思い描いた、誰もが「市民的道徳性(シティズンシップ)」を涵養・発揮できる社会のあり方を展望する。
序章 貧困が奪うものーーリベラリズムの社会思想史
第1章 新救貧法と国教会改革ーー一九世紀リベラリズムの展開
1 はじめに
2 救貧法の展開と古典的自由主義
3 社会的リベラリズムの萌芽ーーリベラル・アングリカニズムの宗教思想
4 おわりに
第2章 トマス・ヒル・グリーンの社会的リベラリズムーー宗教・倫理・政治
1 はじめに
2 リベラル・アングリカニズムの継承
3 クリスチャン・シティズンシップの倫理学
4 権利論ーーグリーンの政治哲学(一)
5 国家論ーーグリーンの政治哲学(二)
6 おわりに
第3章 「貧民」から「市民」へーーボザンケ夫妻の国家論と救貧論
1 はじめに
2 国家とシティズンシップ
3 チャリティとシティズンシップ
4 おわりに
第4章 社会改革と市民の権利ーーホブスンとホブハウスのニューリベラリズム
1 はじめに
2 社会主義、帝国主義、リベラリズム
3 ホブスンの分配論ーー生産・所有・福祉における「社会」の発見
4 ホブハウスのシティズンシップ論ーーリベラリズムと社会学
5 おわりに
第5章 女性の貧困とシティズンシップーーバトラーとラスボーンのフェミニズム
1 はじめに
2 ジョゼフィン・バトラーとヴィクトリアン・フェミニズム
3 エレノア・ラスボーンと「新しいフェミニズム」
4 おわりに
第6章 リベラリズムと優生学ーーシティズンシップの境界
1 はじめに
2 世紀転換期のイギリス優生学と社会的リベラリズム
3 C・P・ブラッカーと「リベラルな優生学」
4 おわりに
終章 戦後イギリス福祉国家とシティズンシップのゆくえ
1 はじめに
2 ベヴァリッジのリベラリズム
3 「豊かな社会」の到来とシティズンシップ論の喪失
4 シティズンシップ論の再興と転倒
5 私たちのシティズンシップーー新しい社会福祉思想に向けて
参考文献/あとがき/索引
フェミニズムの「わからなさ」に向き合う
SNSではデマやヘイトスピーチが溢れ、新しい戦争の足音は耳を澄ますまでもなく私たちの生活ににじり寄っている。対話すらままならないこの社会で日々わだかまりを抱えながら、それでも一人のフェミニストとして生きるとはどういうことなのか。時に寝そべりながら、時に這いずりながら社会構造の歪みを問うてきた著者が、“地味”で“目立たない”女性の労働/貧困問題をその根底から語り尽くす。
イスラーム研究の第一人者がフェミニズムを学ぶと、西洋中心主義の欺瞞が見えてきた。
本書では、男性から女性への敬意に基づくタリバンの女性観を「タリバン・フェミニズム」と名付け、西洋発祥のフェミニズム理論に真っ向から対決を挑む。
第1部「フェミニズム」では、西洋中心のフェミニズム史を概観。第2部「タリバン・フェミニズム」では、タリバンの思想と本当の女性観をわかりやすく解説する。日本でもブームになっているフェミニズムだが、全く異なる視点から見つめると、タリバンなど第三世界の伝統を仮想敵に仕立ててきたフェミニズム理論の、偏りと脆さが浮き彫りになっていく。
タリバンは女性教育を禁じていない。「他人の男女」を隔離する納得の理由とは?目から鱗が落ちる挑戦の書。
★作品社公式noteで「はじめに」全文公開中→「ぼそぼそ声 試し読み」で検索!
「カッコ悪いフェミニストがここにいる」
「弱さ」と共にある、これからの思想のかたちを描き話題を呼んだ名著に、書き下ろし「新しい「ぼそぼそ」たちへ」を加えた、私たちのためのフェミニズム宣言書。
就活・婚活、非正規雇用、貧困、ハラスメント、#MeToo……
現在の社会が見ないようにしてきた問題を、さらには、それと闘うはずのフェミニズム理論や社会運動からすらこぼれ落ちてきたものを拾い集めて、つぶやき続けるーー〈私〉が、そして〈あなた〉が「なかったこと」にされないために。
「弱さ」と共にある、これからのフェミニズムのかたち。
【目次】
はじめに ぼそぼそ声のフェミニズム
●1 〈私〉から出発し、女性の貧困を見据えること
1 ないものとされてきた女性たち
2 教える/教わる「女性の問題」
3 シューカツを巡る〈大人〉の欲望のまなざし
4 取り散らかった「私の部屋」から出発する
●2 女性を分かつもの
5 労働の「他女」/アカデミックなフェミニズムの「他女」として叫ぶこと
6 “偽装”婚活迷走レポート
7 「愚かさ」「弱さ」の尊重
●3 新しい「運動」へ
8 「自立」に風穴を開けるために
9 「気持ち悪い」男・「気持ち悪い」出来事
10 真空地帯としての社会運動
11 「私も」(MeToo)を支えるもの
●4 新しい「ぼそぼそ」たちへ
12 「ぼそぼそ声」と「フェミニズム」
あとがき
増補新版へのあとがき
知の定説に挑み続けるフェミニズム。
何が見えなくされてきたのか? 誰が負担し、誰が利益を得るのか? フェミニズムは名前のない不正義を明らかにし、交差的に作用する権力構造を喝破する。いまを問い直し、未来を変えていく冒険を、この一冊から始めよう。
【「はじめに」より】
フェミニズムの歴史は一世紀を超えるが、その必要性は現在においてむしろ高まっている。二一世紀初頭、世界各地でフェミニズムが広がる一方、日本では早くからジェンダー・バックラッシュが台頭し、政策や教育が後退を余儀なくされた。ポストフェミニズムは「平等は達成済み」と語り、新自由主義は「個人の努力」で成功できると説く。しかし、「#MeToo」が可視化した日常的なジェンダー暴力や、オンライン空間におけるトランスジェンダーおよび諸マイノリティへの攻撃が示すのは、ジェンダーという秩序(そしてそれを構成する複数の差別軸)がいまなお人々の生を規定し、不正義を生み出し続けている現実である。影響は賃金や雇用の機会、ケア負担の偏在、政治代表や司法救済へのアクセス、医療・教育の現場、さらにはメディア表象やアルゴリズムの偏りにまで及ぶ。しかもその深刻度は、階級・国籍・人種・障害・セクシュアリティなどの交差によって不均等に増幅される。いま、人々は再びフェミニズムに、この状況を読み解く言葉と変革の力を求めている。