経済学数百年の歴史の中で、理想となる「良き社会」と経済システムとの両立に苦慮した思想家たちースミス、マルサス、ハイエク、ブレア、高田保馬等ーの言説を、貧困・福祉という観点から再検討し、「富とは何か」「幸福とは何か」という古くて新しい課題を現代的視点から再検討した1冊。
境界を越えた対話のために。西洋の女性が殴られると家庭内暴力といわれるのに、第三世界の女性が殴られるとなぜ文化のせいにされるのか。
元NHK職員が、原告が、弁護団が、そして研究者が綴る10年目の真実。日本社会が「歴史と責任」に向き合えないのは何故なのだろうか。
黒人女性が受けた人種差別と性差別という二重の抑圧を告発し、中産階級の白人女性を偏重してきたフェミニズムに一石を投じる。「女性」が一枚岩でないこと、階級と人種をも考察すべきであることを指摘し、フェミニズムのその後の方向性に影響を与えた古典的名著。
謝辞
凡例
序章
第一章 性差別と黒人女性奴隷の経験
第二章 奴隷制廃止後もおとしめられつづけた黒人女性像
第三章 家父長制という帝国主義
第四章 人種差別とフェミニズムーー責任の問題
第五章 黒人女性とフェミニズム
訳注
監訳者あとがき
参考書目録
事項索引
人名索引
日本軍性奴隷制を裁く「女性国際戦犯法廷」の意義とアクティビスト松井やよりの思想性を振り返り、再評価する。「法廷」を経て今後より明確に把握されるべきマイノリティなどの視点をふまえながら、現代のフェミニスト・エシックスの可能的地平を切り開く。
低賃金労働力、セックスワーカー、家事労働者、嫁・妻・母として、そして国際社会に繋がる1人として、女たちは越境し続けるー自らの解放の糸を手探りで紡ぎながら。1970年代の経済大国化した日本からアジアへ向けた視線、そして21世紀、格差と貧困化が新たな分断を生む世界で、身を切るような挑戦から切り拓いてきた連帯の回路を読みなおす。
腐敗させて支配する。闇の支配者は、あなたのSEXを狙っている。
現代日本におけるジェンダー革命の端緒的展開という本書初版の予測は労働力人口動態と2002年までの女性労働力率動向にもとづいたものであるが、基本的に的中しつつある。2002年以降フェミニズムにたいするバックラッシュが強まり、予想よりも若干進度が遅れたが、労働力率の最新動向は2015年までの女性労働力率の脱M字化予測を確証しつつある。第二版では、女性労働力率の最新動向を付加し、補注を行った(「第二版はしがき」より)。
多彩なゲストを迎えてのガールス・トーク。これがオンナの生きる道。
二〇〇五年四月から三年間にわたって続けられた、一橋大学大学院先端課題研究六「人間-環境関係の理論と展望」の成果。第1部は、一橋大学で行なわれた著名な環境運動家のレスター・ブラウン氏とのシンポジウムの記録をもとにしている。第2部は、氏の著作にそって、より詳細に氏の自然環境問題の認識とそれにもとづく提案および政策について紹介・検討。第3部は、われわれがあらためて環境問題にどういう見方や姿勢で立ち向かったらいいのかを反省し、吟味することを目指す。第4部は、環境問題についての教育や学習の現状や課題ないし展望について展開する。
ポルノを、男だけではなく、女も楽しんでいる!--レディコミやBLの作品を読み、投稿にみる読者の実態や編集者へのインタビューも交えて、ポルノ=女性の商品化論が隠している女性の性的能動性を肯定し、ポルノを消費する主体としての存在を宣言する。
はじめに
第1章 フェミニズムとポルノグラフィ批判
1 ポルノ批判理論ーーポルノはなぜ問題か
2 ポルノ批判運動ーー批判運動とは何か
第2章 女性向けポルノグラフィの成立史
1 ポルノグラフィの成立と女性向けポルノグラフィの出現
2 女性向けポルノグラフィ成立の背景
第3章 女性向けポルノコミックの読者
1 女性向けポルノコミックの何を分析するか
2 女性向けポルノコミックの読者像
3 雑誌に何を求めるのか
4 好きな作品とイヤな作品
第4章 女性向けポルノと男性向けポルノ
1 ポルノグラフィへの共感のあり方を分析するために
2 「レディコミ」の表現技法の特徴ーー「エロ劇画」との比較分析
3 「ハードなBL」という視点を通してーーポルノコミックの四ジャンルの特徴
4 物語はなんのためにあるか
5 ポルノコミックと読者の読み
第5章 女性向けポルノはなぜマンガなのか
1 流通形態の問題?
2 レディコミの写真記事
3 写真で試みられた安全化の技法
4 ポルノリテラシーを身につける
第6章 ポルノグラフィのためにーーフェミニズムからフェミニズムへ
1 ポルノグラフィをどう考えるか
2 フェミニズムのために
あとがき
ジェンダー化された存在としての男性とその男性性が、当事者によって、さらに多様に再検討されている。解放運動としての自己省察=メンズ・リブ、DVやさまざまな暴力への取り組み、ゲイムーブメント、学問領域における展開まで、フェミニズムのインパクトを受けて切り拓かれた、実践的再定義の数々を紹介する。
社会構築主義のインパクト、多様性の承認。バックラッシュと新自由主義、「女性の貧困化」。社会理論がその方向性を見定めがたく彷徨する間に、ひとびとの身体・生命はグローバルな取引の激流に投げ出された。フェミニズムは近代リベラリズムの何を乗り越えるのか。ジェンダーの壁を越えた承認と再分配の理論構築へ、丹念に積み重ねられた論考を紹介。
フェミニズム運動史・思想史の原点である第一波のダイナミックな展開を膨大な資料を駆使して追求する。その全体像の解明。
フェミニズムとは性差別にもとづく搾取や抑圧の構造を問い、その変革を目指す思想のはずである。だが、いわゆる「第一世界」のフェミニズムは、「帝国」による植民地支配に起源する植民地主義を見落としたまま主張されてきた。植民地主義と性差別という複合的な抑圧のもとにある朝鮮女性たちが、真の人間性を求めて辿った苦闘の軌跡を描きながら、開かれたフェミニズムの可能性を問う。
文化的・社会的に構築されたセクシュアリティは、現在どこまで揺らいだか。排他的で抑圧的な異性愛規範を踏み破り、自らのセクシュアリティを選択する人、性暴力被害の当事者、性産業で働く人の声が制度や法を動かし始めた。これまで聞かれることのなかった多様な声を収録。