●本書は不思議な二重性を持つ本である。ウィニコット理論に通じている人にはその応用問題として、新たに入門する人には、現実のビビッドな問題にウィニコットがどう切り込んでいくのかの切り口として読める。そしてそれが融合している不思議な本なのである。さまざまな臨床上のヒントに富んだ論文集。
●目次
「ウィニコット著作集」日本語版にあたって/まえがき/謝辞
序 章 精神分析と科学は友達か親戚か
第1部 健康と病気
第1章 健康な個人という概念 第2章 創造的に生きる 第3章 私の総計 第4章 偽りの自己の概念 第5章 抑うつの真価 第6章 攻撃、罪、そして償い 第7章 希望のサインとしての非行 第8章 精神療法の種類 第9章 治療:癒すこと
第2部 家族
第10章 母親の社会への貢献 第11章 家族の中の子ども 第12章 子どもが学ぶこと
第3部 社会について考える
第13章 思考と無意識 第14章 精神分析の研究をなおざりにした代価 第15章 フェミニズムというもの 第16章 ピルと月 第17章 戦争目的の論議 第18章 ベルリンの壁 第19章 自由 第20章 君主制の位置
訳者あとがき/索引
『著者紹介 D.W.Winnicott (1896-1971)』
ウィニコットは医者としての経歴を小児科医として始め、小児科学の身体的側面に関心をもち続けながら、それ以上に児童心理学の研究に打ち込みました。人間の発達の理解に対する彼の貢献は、母親や赤ちゃんや幼児についての広範囲な臨床的仕事に基づいたもので、国際的に知られ評価 されています。ウィニコットはケンブリッジのジーザスカレッジで医学を学び、戦後ロンドンのセント・バーソロミュー病院で働きました。セント・バーソロミュー病院での研修医時代を除いては、彼の病院勤務はすべて子ども病院でした。ウィニコットは40年以上児童精神医学や精神分析を実践し研究 し、そして英国精神分析学会の会長に選出されました。彼は精神分析や医学の雑誌に多くの論文を寄稿し、またこの分野のさまざまなグルー プ、つまり教師、助産婦、両親、ソーシャルワーカー、治安判事、医師、そしてまた精神分析家や心理学者といった専門家に、広く子どもの発達について講演しました。よく知られている著書には、 「小児医学から精神分析へ」「子ども」「家族と外的世界」そして「遊ぶことと現実」などがあります。
いまや政治家も、学者も、官僚も、マスコミも、こぞってフェミニズムに媚びている。しかし本書の著者は、フェミニストの主張が屁理屈にすぎず、実際には多くの女性を苦境に陥れているという実態を明らかにする。
“開発”のなかの破壊に苦しむ南の女性たち、その声を真に受け止め、新たな地平に立つとき、フェミニズムは、はじめてグローバルになる。女性、環境、持続可能な開発をめぐる論争に関する最先端のレポート。
フェミニズム用語を収録した辞典。アルファベット順配列。巻末に、見出し語和英索引、見出し語項目別索引がある。
権力はいかに言説のかたちをとって身体・精神・欲望を形成するのか。女と男の弁別が身体の自然に根ざすとする本質論的前提を根底的にくつがえしセクシュアリティ研究の方向を決定づけるフェミニズム・現代思想の最重要書。
誤解や無知によってせっかく与えられている本当の快楽を味わう事なく過ごしてしまうのは、もったいないことだと思います。本書は、性の初歩的な疑問、性のテクニック、現実の悩み、男女の性愛の違いなどに明快に応えております。巷に氾濫する珍説、俗説、医学的説、伝説、錯覚の類いまで網羅し、正しい性知識を身に付けるように配慮しました。
内なる声に動かされて女性たちはいかに格闘し、自らの表現手段を獲得したか。本書は主に、18世紀から19世紀にかけてのやや古い時代に、ドイツの女性たちの書き著したものについての論を収めた。
“読む”行為に潜む性差に焦点をあて、男性性、女性性の囚われを解き明し、女同士が物語を共有・交換することで自己を“語る”方策を探る。
いま、なぜ『青鞜』か。「新しい女」を生んだ『青鞜』とはどんな雑誌だったのか。創刊から約90年、女性たちを取り巻く状況はどう変わり、何が変わらないのか。女性問題を論じた先駆としてのみならず、近代女性文学の成果として、多角的に発掘・再評価する本邦初の試み。23人の気鋭による決定版評論集。
反射し拡散し、新たに焦点を結ぶ三つの言葉と三つの主題。「近代国民国家と暴力」にまつわるフェミニズム論争の万華鏡。
どう生きるべきかとまどう男たち。女性解放が進む一方、女性よりも稼ぐこと、強いことを当然とする意識から男性は解放されているだろうか。
本書は、著者がネパールへ行ったときの2週間の旅行記。著者にとっては普段の生活とは離れた非日常の体験をまとめようとして書き出したものだったが、書き進めていくうちに、いつも家族のことが気になる著者の生活にもふれて、女の本音の部分にまで話を進めたものとなった。
本書は、日本列島の汚染をつかむ努力に重点をおいたものとなっている。世界的にみても、ダイオキシンは最も留意すべき「環境ホルモン」物質の一つであるが、とりわけ日本では、深刻さにおいて突出しており、この問題をぬきにして日本の環境問題は語れない。
いままで人権は人間社会に限定してのみ論じられてきた。人権は人間社会においては、普遍的価値をもつものとされてきた。しかし、歴史的条件や体制的状況のありようにおいては、人権という価値は抽象化され、変質される可能性がある。このことを十分に念頭においた上で、人間社会において人権という価値を普遍的なものとして認めることができる。しかし、本書で論じるのは、この確認を前提とした上で、人間を含めた自然のなかにおける人間の地位の相対性、したがって、自然のなかでの人間の権利の相対化という問題である。
近代日本の思想モラルの本質を問う。
1980年代初めまでの欧米中心のフェミニズムの成果に基づいて女性運動の史実、人物、思想、著作の解説をした事典。女性に関わる歴史、政治経済、文化、セクシュアリティ、ジェンダー、身体などをめぐる概念の大きな変化に伴い、1991年刊の前版に、バックラッシュ、ポストモダン・フェミニズム、ポストコロニアル・フェミニズム、アンジェラ・デイビス、ダナ・ハラウェイ、トリン・T・ミンハ、エンパワーメントなどの項目を追加した新版。配列はアルファベット順。重要事項・フェミニズム運動、フェミニストたち、書名・新聞名・作品名、団体名の四つに分類した重要語項目別索引と見出し語和英索引付き。