約50年、貝類と環境との関係を調べることをライフ・ワークにしてきた研究者の、その研究成果と現場で経験してきたさまざまな情報が詰まった渾身の力作研究書である。本書はアサリだけでなく、東京湾の環境や漁業、ノリやハマグリなどについても触れつつ、過去から歴史をたどるように書かれている。
第1章では、東京湾の開発に翻弄されるアサリ漁業とノリ養殖業の変遷を詳細に解説。第2章では、アサリが大量死する原因である青潮の発生機構や出水による淡水や浮泥の影響について。第3章では、東京湾のハマグリについて。第4章では、アサリを捕食する生物や寄生生物、迷惑生物などについて。第5章では、冬季にアサリが大量死する原因を餌不足、波浪による海底面の浸食から説明。第6章では、アサリの成長に関する因子として海水の流れの重要性を指摘。第7章では、アサリの生き残りを妨げる要因への対抗策とその方策を網羅的に紹介。第8章では、東京湾の環境がどのように変化してはているか、生態系の位置づけも加えて、私たちが何をすべきかを示唆する。
全国各地でアサリの生産が激減し、それぞれの地域に適合した方策をどう取るべきか、その最適な増殖手法は何であるかを、基本的な理論と先人の経験と知恵を通して理解するための絶好な教科書となっている。
20世紀前半のヨーロッパ激動の時代を生き、現代思想に大きな影響を与えた著書を数多く残したドイツの思想家ベンヤミン。ドイツ青年主義、ユダヤ神秘主義、シュルレアリスムなどを根底に持ち、右か左かという出来合いの選択を拒否した先進的でアクチュアルな思想と生涯に、長年フランクフルト学派を研究してきた著者が肉薄。
まえがき
プロローグーー巨大な「否」
第一章 ベルリンの幼年時代
1 豊かさの記憶/記憶のなかの豊かさ
2 ユダヤ人としての運命
第二章 精神の反抗
1 青年運動
2 灼熱の炎としての精神ーー経験の拒否
第三章 言語と神学への沈潜
1 言語神秘主義の継承
2 ロマン主義とメシアニズム
第四章 法,神話,希望
1 新しき天使ーー言語論の究極
2 決断できぬ者たちのために
第五章 アレゴリーとメランコリー
1 バロック論
2 メランコリカーの旅
第六章 ベンヤミンの方法
1 多様な交際ーー危険な関係?
2 収集と引用
3 破壊・中断・覚醒
4 類似性と記憶
第七章 評論家ベンヤミンーーヴァイマールの坩堝のなかで
1 壊滅的批評
2 救済批評
第八章 亡命とパサージュ
1 亡命と「研究所」
2 パサージューー十九世紀の根源の歴史
3 アウラ
4 歴史の天使
終わりに
ベンヤミン略年譜
岩波現代文庫版あとがき
人名索引
契約の基本、契約書のつくり方から、手形・小切手の知識、債権回収のノウハウまで営業マンのリーガルマインドを強化する知識をコンパクトにわかりやすく解説。
グループ経営、グローバル展開を行う企業の資金管理効率化、ガバナンスの高度化を実現するキャッシュ・マネジメントの仕組みを詳説。CMSの開発・運用に携わってきた著者が、企業財務責任者へのインタビュー調査結果を基にCMSの運用事例や課題を解き明かす。
ある日、異世界転移をしかけていた女子高生の身代わりとなり古代ローマ風の国へ転移してしまったユーリ。
元の世界に帰れないと知り、この世界で生きていくと決意するものの、ユーリが持っているスキルは役立たずだと思われている「雑学」ひとつだけ……。戦うことも、魔法を使うことも、高度な知識を持っているわけでもない彼女は、冒険者ギルドの倉庫係として倉庫整理に励むことに。しかしこの倉庫、とんでもなくゴチャゴチャカオスな状態で……!?
持ち前の明るさと前向きさで数々の困難を乗り越えていくユーリの異世界お仕事改革物語、開幕!
中国人を使う、中国人に使われる、新たな時代の幕開け!松下電器(中国)有限公司の元取締役が、自ら体験した異文化ストレス、それにどう対処したかの事例を満載。
業務システム開発の定番書がアップデート。オムニチャネル(EC・020)にも対応!データベースの設計(マスタデータ/業務データ)はもちろん、業務(受発注・仕入出荷・売上支払ほか)の内容・流れもわかる!
月次決算のスケジュール、決算プロセスの構築・見直し、分析・報告の仕方、月次資金の管理、月次決算報告の具体例など、月次決算の実務を一からしっかり理解できる1冊。
「融資にちょっと慣れてきたかな」という担当者に贈る、融資の達人からの50の金言集。
交渉の場に法務部門は同席すべきか?シナリオにこそ時間をかけるべし、契約書がない場合の交渉とは、弁護士を起用するときの交渉…「特殊な訓練や経験を積まなくても、交渉は誰にでもできる」をコンセプトに、法務担当者の立場からの交渉への関わり方を、企業法務に30年携わる著者が伝授。交渉を面白く行うためのアイデア。
取引先のリスク管理は、「取引先の与信調査」、「債権保全」、「債権管理」、「債権回収」の各段階の管理が重要である。本書では、取引先との間に発生したトラブルの解決方法について、具体的にわかりやすく解説。
室町時代に成立した、インド・中国・日本の三国にわたる説話集である『三国伝記』。
この作品が生まれた室町前期、とくに応永・永享期という北山文化と東山文化の狭間の時代の文化的状況はどのようなものだったのか。
作品としての『三国伝記』を再評価し、同時に、周辺作品や同時代資料から窺えるこの時代の人々の国際感覚や、彼らの置かれていた宗教的環境、社会的状況や文化的状況などを照らし出し、『三国伝記』という作品が生まれた室町前期という時代を捉え直す。
[序言]本書の見取り図ー『三国伝記』から読み解く時代と作品 小助川元太
1 『三国伝記』から見る室町前期
『三国伝記』に見る室町前期の唐招提寺縁起 橋本正俊
夢窓派の応永期 川本慎自
【コラム】足利直冬の上洛・没落と石塔・桃井・山名・斯波ー『三国伝記』が描いたもの・描かなかったもの 谷口雄太
【コラム】六角満高の近江国支配 新谷和之
2 『三国伝記』の宗教的環境
『三国伝記』生成の前夜ー琵琶湖東の宗教的環境の一端〈倍山と常陸・出羽・濃尾〉 牧野和夫
『三国伝記』巻第十二「仏舎利勝利事」と『釈尊御舎利儀記』 高橋悠介
『三国伝記』における「霊地」考 柏原康人
【コラム】室町殿の外出と寺院 細川武稔
3 『三国伝記』という「作品」を読みなおす
“三国伝記〞という編述 竹村信治
『三国伝記』と禅律僧ー「行」を志向する説話集 小林直樹
三国伝記と韓朋賦ー変文と説話㈢ 黒田彰
【コラム】連環する中世 鈴木元
【コラム】馬鳴・龍樹をめぐる因縁とその諸相ー『三国伝記』巻一第七を端緒として 本井牧子
4 『三国伝記』とその周辺
『三国伝記』における韓湘説話の主題 三田明弘
『壒嚢鈔』と『三国伝記』-斑足王説話の比較を中心に 小助川元太
素材としての説話ー『三国伝記』と『沙石集』 加美甲多
【コラム】『三国伝記』が伝える室町期の三国志受容 田中尚子
【コラム】室町時代における『太平記』の享受ー『応仁記』を中心に 小秋元段
建物の老朽化や支援方法の変化、入居者の高齢化などを背景に、知的障害者施設には従来とは異なる住まい方への対応が求められている。本書では、利用者の多様な障害特性を見据えた柔軟な計画のあり方や、将来的な環境変化に対応するための可変的なディテール設計のポイントについて、増改築や改修の実例に沿って解説する。
はじめに
序章:支援と建築
1:建築も支援の一つ
2:建築計画と利用者の特性
3:竣工後の対応
4:地域との関係
第1章:部門別/特性別・計画のポイント
1:住まいの種類
2:部門別・計画のポイント
共同生活援助・グループホーム
施設入所支援
生活介護・デイサービス
障害児入所支援
障害児通所支援
3:特性別・計画のポイント
高齢知的障害者の住まい
重症心身障害の住まい
第2章:改修・増改築のポイント
1:経年施設の課題
2:改修・増改築のポイント
3:住みながらの改修
第3章:住まいのディテール
1:内部建具
2:外部建具
3:床
4:壁
5:天井
6:失便処理装置
7:トイレ
8:浴室
9:洗面・手洗い
10:役に立つ工夫
11:屋外
第4章:計画実現のためのポイント
1:防犯・防災への建築対応
2:コスト・補助金
第5章:自宅で暮らすための改修ポイント
1:個性に合わせてつくる個人の住まい
2:自宅で暮らすときの課題
3:暮らしやすくするための建築からの提案
おわりに
動乱の日本を平和へとみちびいた海舟の生涯を描く。