虐待された子どもたちは心だけでなく、脳の発達にも障害が生じるという。そのために例えば自閉症児と極めて似た症状や問題行動に苦しむ子どももいる。著者は多くの重篤な被虐待児の治療にかかわる中、このような精神医学的知見に達した。これは子ども虐待と発達障害の関係を探るという今日的な緊急課題でもある。この分野の世界的な研究者で臨床医である杉山登志郎先生が臨床例や研究から分かりやすく紹介する。
幼い頃から自分の身体に違和感をもっていた著者は,27歳のとき「男性」として生きることをやめ,やがて「女性」として暮らすようになった.今,さまざまな困難を抱える人々の声を聴き,見過ごされがちな問題を可視化するために発言を続ける.誰もが自分らしくのびやかに暮らせる「寛容な社会」を創るための熱いメッセージ.
はじめに──いくつものボーダーを越えて
第1章 「私の戸籍は男性です」──政治家になった
1 顔を見せて訴えなければ
2 手探りの選挙活動
3 変わってゆく街の空気
第2章 私は誰?──性を見つめて
1 仲良しは女の子
2 第二次性徴
3 孤独感と罪悪感の中で
4 サラリーマン時代
5 「もうごまかせない」
第3章 性を移行する──居場所を探して
1 初めて仲間に出会う
2 性を移行する
3 「女性」としての暮らし
4 社会保障制度が使えない
5 司法への絶望
第4章 性別変更に道を拓く──「性同一性障害者特例法」の成立をめぐって
1 議員立法の知らせ
2 国会のルール
3 特例法の成立
4 なお残る課題
第5章 ちいさな声、声にならない声──当事者のニーズを掘り起こす
1 「常識」を疑うことから
2 一万五六〇〇人の「外国人」
3 七〇〇人の「オストメイト」
4 ひとり親家庭の実態
5 要約筆記と手話
6 失語症会話パートナーの養成
7 バラバラの「点字ブロック」
8 政策決定の現場で
第6章 沈黙から発言へ──「変える」方法
1 沈黙は「存在しない」こと
2 自己肯定感をもつ
3 確実に声をとどけるために
4 権利意識の危うさ
5 嫌がらせに負けない方法
第7章 「フツウ」って何だろう──寛容な社会とは
1 ボーダーライン、この恣意的なもの
2 性的少数者のいま
3 「フツウ」って何だろう
あとがき
◆もっと詳しく知りたい人のために
書いた記憶のないノート、買った覚えのないパーカー、街を歩けば「先日はどうも」と知らない人から声が掛かる…(T_T)脳内に13人の人格が存在する「ぼく」が彼らとこの世をサバイブする、本当のはなし。
「林ちゃん、なにか護身術習えば?」そう提案されるがままに、私はパルコの屋上にいる「蹴り男」に会いに行く。「空に飛び蹴り」気になる人ができたかも。新学期、クラス替えした教室で、私は原田幹雄に出会う。クラスでひと際目立つ原田の存在が、私を悩ませる。「怒る泣く笑う女子」学校を舞台に、10代特有の初期衝動を描く連作5編。
日本で生まれるこどもの32人に1人は出生前にー196℃の液体窒素タンクで凍結保存されていた。生殖医療の驚きの最新事情!卵子と精子はネット通販の時代に!卵子と精子をめぐる、世にも不思議な物語。
こころが病気になるんじゃない。どんな臓器も病気になる。脳に病気が起きるとこころの具合が悪く感じられるだけなのです。「こころの悩み」を解きほぐす、わかりやすい精神医学の話。
戸籍上の性を変更することが認められる特例法が二〇〇四年から施行され、日本でも性同一性障害が社会的に認知されるようになった。しかし、いまだ誤解や偏見もあり、当事者を取り巻く環境は厳しい。
本書は性同一性障害とは何かを理解し、治療や性別変更の手順、また、現実社会で生活していくために、当事者やまわりはどうすればよいか、をQ&A形式でやさしく解説。
性同一性障害って何?
性同一性障害の治療
性同一性障害と生活・仕事
性同一性障害と法律・社会
終わりに
資料1 性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン(第三版)
資料2 性同一性障害のための医療機関等リスト
資料3 性同一性障害/トランスセクシュアル/トランスジェンダーの自助支援グループ
[Qの例]
性同一性障害は病気なのですか?
だれに相談すればいいのですか?
ホルモン療法ってどういうものなのですか?
性別適合手術ってどうゆうものなのですか?
職場に性同一性障害をもつ人がいたら、どう扱うべきでしょうか?
どのような手続きで性別を変更するのですか?
オチンチンがある子はなぜ男の子なのか?性同一性障害の当事者であり、研究者である著者が最新の研究成果をもとに“性別”をめぐるさまざまな問題を目からウロコの納得分析。最も分かりやすいトランスジェンダー学入門。
心と体の性はいつ、どのように決まるのか!?男と女はどれくらい違っていて、どれくらい似かよっているのか。男女の違いは、どのように生まれるのか。ヒトの性は、男と女の2つに分かれるものではなく、インターセクシュアルや性同一性障害の人など、現実の性の幅は広くて、そこに至る道筋、受精卵から私たち1人ひとりへの旅路、その複雑さを実感。
「ドイツ、フランス、そして日本で花開いた精神病理学の遺産を、著者は現代に引き継ごうとしている。入門書でありながら精神病理学の未来を見据えた意欲的な本である。」 ── 木村 敏(京都大学名誉教授)
精神病理学は、ときに難解とか抽象的といったイメージをもたれることがある。けれども本当は、統合失調症、うつ病、認知症、自閉症などの精神障害を「わかりたい」と思う全ての人にとって、大きな助けとなる実践的な営みである。もっとたくさんの人たちに、精神病理学が積み上げてきた叡智を知り、役立ててほしい。本書は、そんな強い思いのもと生まれた入門書である。だれでも読み通すことができるように、次のような工夫が施されている。
・各章を精神障害ごとに分け、冒頭で『DSM-5』対応の最新の基礎知識を概説し、全体の見取り図として学説史などを紹介。
・精神病理学の代表的な考え方ーー記述精神病理学・現象学的精神病理学・力動精神医学ごとに節を設け、それぞれの主要な学説を網羅。
・かならず症例を提示し、具体的・実践的に解説。
・わからない言葉があれば索引ですぐに確認可能。索引は文中の重要語をひろくカバーし、事典のようにも使える。
このように、精神障害のことをよく知らない読者でも、「自分がいまどこにいるのか」を見失うことなく読み進めていける構成をとり、そして、実践に役立てられるかたちで精神病理学のことが「わかる」記述を徹底した。自信をもって「入門書の決定版」として薦められる、著者渾身の書き下ろし。
天才バカボンで発達障害?神聖かまってちゃんでいじめPTSD?クレイジーケンバンドで自殺予防?人気精神科医たちがポップス=大衆音楽をモチーフに精神疾患や心模様を縦横無尽に語り倒します!
精子はその昔、バイ菌だった。相性は遺伝子で決まる?などなど。フェロモンと遺伝子に関する最新の知見が解き明かす、男女のふるまいの秘密。あなたの行動はここまで動物的だった。
苦情を言う「お客の心理」を知れ。1600件の経験に学ぶ「トラブル早期解決法」。学校、医療、性同一性障害への対処。
学校では絶対に教えてくれない性(セクシュアリティ)のはなし。
身体は女なのに頭脳は男、またはその反対。胎児期の性決定メカニズムの狂いから生じる「性同一性障害」は人知れぬ心の傷を「彼」や「彼女」に与えてきた。その悩みを解消すべく立ち上がったのが、埼玉医大総合医科センターの特別チームだった。原科孝雄教授を中心とした医師団の手術を追いつつ、悩みを持つ多くの実例も検証し、「男」と「女」の原点のドキュメントがいまここにまとまった。これは、性の分かれ道に立ちつくす、すべての人びとに贈る性転換医療最前線からの希望に満ちた迫真のレポートである。
生まれてこなければよかった…元女の子だった僕と、元男の子だった私は苦しみ続けました。いじめに遭い、グレ、自殺未遂。永久に独りぼっちだと諦めていたけど、生きていてよかった、と今では思えるんです。だから、あなたもSearch(サーチ・捜すこと)、どうか人生を諦めないで。願いは届きます…。
家族全員が耳が聞こえないという環境に生まれ、いわれない同情、イジメ、偏見を向けられながらも、持ち前のファイトで乗り切り、さらに、男から女に生まれ変わった一人のろう者が明かす、壮絶だが、思わず笑ってしまう青春模様。
性も「十人十色」。性同一性障害と同性愛の人びとが協同してつくった初めての本。