【2025年5月現在、新本が定価(2,400円+税)で購入可能】
「絶望もここでは王冠のように輝いていた。」(「蝕まれた虹」より)
この世のあらゆる不幸を味わい尽くし、精神病院での5年間の闘病生活から放たれた祈りの小説群。自らの狂気を見つめる目は緊迫感に満ち、聖痕のごとく、清らかに輝きつづけている。中上健次が「むごたらしいほど美しい小説」と絶讃した「髪の花」など8篇を収録。
同人誌仲間だった中上健次、勝目梓らと切磋琢磨する日々をおくり、中上初期の傑作「十九歳の地図」に登場する「かさぶただらけのマリア」のモデルとしても知られる異才、小林美代子。
精神病院の病棟で綴った処女作「幻境」では、自らの狂気を題材に独自の境地をつくりあげ、精神病院内の虐待の実態をえぐった中篇「髪の花」で群像新人文学賞を受賞、そのわずか2年後に自死して果てた。自宅の机の引出に残された遺稿「蝕まれた虹」では、鬼気迫る狂気の日常から不思議な聖性がこぼれ出し、まさにマリアのように、あらゆる不幸を幸福に変えてしまいそうな力がみなぎっている。
※七北数人氏を監修者に迎えた「シリーズ 日本語の醍醐味」は、“ハードカバーでゆったり、じっくり味わって読みたい日本文学”をコンセプトに、手に汗握るストーリーではなく、密度の濃い文章、描写力で読ませる作品、言葉自体の力を感じさせる作品を集成してゆきます。
蝕まれた虹
幻境
灰燼
さんま
女の指
老人と鉛の兵隊
髪の花
芥川龍之介「歯車」における狂気と私の狂気
解説/七北数人
「俺は藤田幽谷の孫、東湖の子だ。攘夷に生きることが義務なのだ。」
父・東湖の死の真相、密室殺人の罠、瀕死の兵を襲う〈化人〉
幕末の水戸藩士、天狗党の首領格・藤田小四郎の推理と生涯
『恋牡丹』『雪旅籠』でファンの心を掴んだ新鋭が贈る最新作
筑波山で蹶起した天狗党の首領格・藤田小四郎を主人公に描く歴史ミステリ。安政江戸地震で家屋の下敷きになったとされる、父・東湖の死の真相。小四郎自らが巻き込まれた蔵の中での不可能殺人。過酷な行軍だったとされる天狗党西上の際に、戦の晩に現れる殺人鬼〈化人〉の謎など、全四編。『恋牡丹』『雪旅籠』でファンを唸らせた、戸田義長最新作。
■目次
「天地揺らぐ」
「蔵の中」
「分かれ道」
「幾山河」
後書き
この間著者は、賞受賞、師匠で結社主宰であった母の急逝、これに伴う主宰継承など、激動の日々を過ごした。結社の作句信条の「自然を讃えること、日本語を磨くこと、伝統と現在性の調和」に根ざした一集となった。
1984年に作曲(Op.19)。吉松には「虹」の名のつく「虹シリーズ」が4作あり、1983年にやはり2台ピアノを中心にした編成のための《虹色プリズム1》が書かれている。「虹」という言葉には「旋法の七音=調性の復権」という意味が込められ、作曲者によれば本作は「大気中に浮遊している無数の音から 〈虹の七色〉 ならぬ 〈旋法の七音〉 を抽出してメロディの房を作っていく空想の 〈プリズム〉 をイメージしたもの。 ピアノがぽつんぽつんと音を並べ始めると, それによって虹色の音達がキラキラ光りながら集まってきて, 蒸留水のように, 或いは水晶のように溜って行く... そんな楽想を曲にした十分ほどの音の夢だ」という。長らく作曲者の手元に眠っていた手書き清書を版下に使用、30年の時経ての初出版。そのイメージ豊かな楽譜は、演奏者・ファン必見だ。
虹色プリズムII Op.19
奴隷と巫女で天下を目指す。剣戟と戦略、異能の爆ぜる【教育系⁉ 戦記】
時は戦国。〈大和国〉の大将軍・義虎(よしとら)は、己から人生を奪った大和朝廷へ叛逆すべく暗躍していた。人であることを捨て虎と化し、才なき奴隷兵から武官の最高位まで這い上がってきたが、14歳の新兵・碧(みどり)ら教え子をもって、捨てて久しい人間らしい心を取り戻しつつあった。
そんな中、隣国の〈高句麗民族〉が圧政からの独立戦争を決行し、義虎は大和朝廷より、その援軍の総大将に任じられた。この戦は、碧とともに誓い直した己の叛逆の地固めとなると確信し、義虎は心を込めて般若心経を唱えながら出陣する。
そして巨大な戦略を練り込みながら、この戦で化けてみせなと、甘えん坊だが過酷な宿命を背負う碧へ《風の巫女》の異名を贈る。同時に自分も、大好きだった父親代わり、大和朝廷に謀殺された英雄《雷神》の業を継ぐ戦人として、天下へ名乗り上げることを覚悟する。
敵は強い。自称《美少女将軍》ナタ、強大な《四神》青龍、白虎、朱雀、玄武らによる、神々の競演するような異能と戦技が襲いくる。
ほぼ接近戦しかできぬ身で修羅の場数を重ねに重ね、圧倒的な戦闘力、超人的な洞察力、絶対的な精神力を叩き上げた義虎や、彼が鍛えた碧らは、友となった高句麗を救えるか⁉
そして碧は、朝廷に村ごと家族を奪い取られた幼い日から、ずっと生き別れとなっていた母との絆を目撃する⁉
ここに、朝廷という人間社会へ牙をむく宿命と革命が動き出す。
これは、陰謀と因縁の渦巻く列強諸国に命を狙われながら、己の限界を遥かに凌駕する灼熱の戦へ咆哮し力を磨き、来るべき叛逆の日を信じて暗躍し、時代の猛威を斬り伏せていく大河戦記である。
宇宙から降ってきた一滴のしずくが虹になるまでの絵本。
◆家族への賛歌
新潟の海近い家の夜空。庭でご夫婦が仲よく満月を見ていると、二階のバルコニーから長男の声が降って来る。どうしたと聞くと、親父たちの声がしたからさと答えが返って来る。長男家族は二階に住んでいるのである。なんと仲睦まじい素敵な日常生活だろう。
本詩集は、我が家族に捧げるというサブタイトルをつけるのがふさわしい。いや、実は、我が妻に捧げるという方がもっと、もっとふさわしい。
美しい虹のような詩集の誕生に心から拍手を送りたい。
(帯・以倉紘平)
◆虹*目次
誰がやさしい
パパがいない
虹
七五三
とびっきりの笑顔
巣
節分
ある休日
キジバト
小さく鳴く声が
母の誕生日
おふくろの味
月
再会
家の声
祈るように枝先に
あと七年ー金婚の日までー
幸せ海岸
七十年
弥彦公園もみじ谷
しばた市いじみの公園
小さな失敗
私の呼ばれ方
わたしがそばに
それはよかった
それでいいの
父の決断
どうしたの?
今日は楽しかった
ペイン、ペイン、ゴーアウェイ
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