ベストセラー作家・福井晴敏が描く、壮大な新ガンダム神話がついに終焉を迎える。『ラプラスの箱』の謎を解き明かす最終座標<インダストリアル7>のコロニービルダーを舞台に、壮絶なる最終決戦が始まる。
青空のかなたへ、大きな弧を描くーー央学高校ラグビー部の奇跡
かつて強豪と謳われた央学高校ラグビー部は、
いまや勝ちなし、メンバーすらも集まらない危機に瀕していた……。
「来るんじゃなかった……」倒れた母親に代わり、
部員たちが暮らす白虹寮の代理・寮母になった山田瑞希にも、
覇気のない少年たちにしか見えなかった。
ーーあのプレイを見るまでは。天才肌のスタンドオフ・逸哉と人知れず努力を重ねるウィング・龍之介。
それぞれの夏に心揺さぶられる瑞希。
いつしかラグビーへの想いが、前へ進むことを躊躇っていた三人を変えていきーー?
第一話
四月の終わりーー 心奪うような、その独走
第二話
五月の扉ーー どれほど雨が降ったとしても
第三話
八月の夜空ーー 二人を載せた脆い天秤
第四話
十一月の決戦ーー 虹の軌跡のその果てに
火事に見舞われて死んでしまった春吉は、妹のおはなが気掛かりで成仏できないでいた。妹が奉公先の若旦那に悪さをされそうだからだ。事情を知った同じ幽霊の志保は、弟の定町廻り同心樫原七之助に、おはなを助けるように頼むのだが…(「雲雀鳴く」)。新月の深夜、組屋敷への帰り道で七之助は黒ずくめの一団に襲われる。志保の協力でかろうじて退けるが、彼らの目的は七之助が検死した死体の印篭に隠された文だった。それはある藩の行く末を左右するのだが…(「紫陽花の庭」)。独り立ちした若き同心の活躍に、姉の霊はついに成仏できるか。人気シリーズいよいよ完結!
少年ユウタがタイムスリップした1970年代の田舎の村。ケンゾーとさえ子というかけがえのない仲間とともに過ごす最高の夏休みも、終わりに近づいていた。元の世界に帰らなければならないユウタ。そして、幼い少女さえ子にも、隠された秘密があった…。失われゆく美しい日本の夏の風景の中、物語は感動のクライマックスを迎える。ラスト、涙がとまらないー。誰の心にもある永遠の夏休みを描いた、懐かしくも切ない感動ファンタジー、完結編。
日本商社海外駐在員の娘として中国漢口に生まれる。恵まれた租界地での少女時代。満洲国大連での女学校時代。一転して敗戦、ソ連軍の侵攻と厳しい戦後の暮らし。そして、祖国日本への引き揚げ…。大陸での青春と苦難を綴った戦後60年目の回想記。
椅子作りの才能があるのに、地元で修理屋をしている徳井。椅子への情熱を持て余し、都会の大手工房を飛び出した魚住。タイプの違うふたりが、学生時代の約束のもと、小さな工房を始める。不器用な彼らは、友情でも恋でも仕事でもギクシャク……。海沿いの町の小さな椅子工房で夢の続きを見ることにした“こじらせ男子”の、胸アツ青春物語。
菊太郎の恋人・お信が娘のお清を連れ、神妙な面持ちで「鯉屋」へやってきた。源十郎を筆頭に店の者たちは、すわ別れ話かと気を回すが、お清の進路の相談だった。女だてらに公事師になりたいのだという。その申し出を源十郎は受け入れたが…。大人への階段を上る娘の姿を心温まる筆致で描く表題作ほか全六編。人気シリーズ、待望の第二十一集!
里中満智子のライフワーク「持統天皇物語」舞台は古代大和。人々は真の国づくりに情熱を燃やし続ける。そして、その激動の歴史をあざやかに生きぬいた気高く美しい女性がいた!
主人公の春子は卒寿を過ぎた老女である。彼女の夫勇二は海軍航空隊の士官として太平洋戦争で最前線に立ってきた歴戦の勇士だった。戦争の長期化に伴い、零戦搭乗員の訓練を担う教官として内地勤務を命じられた。
春子の守る留守宅には二人の一粒種の南海子がいる。昭和二十年の六月、二人のもとに勇二が突然帰宅する。それもいつもの背広ではなく、第一種軍装の凛々しい姿だった。
それから三夜、二歳の南海子と戯れながら、夫婦は尽きせぬ会話を繰り広げる。続く空襲への不安を訴える妻に、軍人の夫は一部軍機に関わることまで
交えながら、いかに若者たちが懸命に戦っているかを伝えるのだった。勇二は特別攻撃に飛び立つ若者たちを守る直掩機に搭乗していた。
その別れの朝以来、夫からの連絡は一切なく、ついに終戦の日を迎える。それでも夫からも海軍からも何の音沙汰もなかった。戦後の混乱を必死に生き抜く母娘のもとに、夫の戦死公報が届けられたのは終戦から一ヵ月以上が過ぎたある日のことだった。春子は一時は茫然としたが、南海子のことを思い、強く生きなければならない覚悟をする。
終戦から一年以上が過ぎた頃、春子のもとにある婦人が訪ねて来た。彼女の息子は特攻に散った一人であったが、勇二が最後まで教育に携わった「教え子」であり、彼の遺書から、夫勇二の最後の日々を垣間見ることができたのだった。
婦人は靖国神社に行けば息子に会えると思い、上京を決心した人だった。彼女の話を聞いた春子は、自身も靖国参拝を決意し、以後は年に何回か靖国神社を訪れるようになった。そんなある日、神社の奥まったところにある神池庭園で、亡き夫と幻想的な対話ができることになった。
戦後七十年を迎えたある日、曾孫の美咲が家にやって来た。春子は美咲に自分の半生と戦争について、戦後自ら学んだ事実を交えて諄々と語り聞かせるのだった。もちろん平和への願いを込めて。
生きがいである歌を禁じられた龍の巫女・七彩は、封印されていた最高位の龍神・晴虹を解放したことで故郷の「水の国」を追われ、晴虹の統治する「虹の国」に逃げ込むことになる。七彩は晴虹と婚約を交わし、溺愛されることによって傷ついた心は癒えていったが、正式な結婚をするには晴虹の力を奪った水の国の龍神・蒼太朗から力を取り戻す必要があったーー。最強の龍神と伝説の巫女が運命の出会いを果たす、溺愛ファンタジー開幕!
■著者プロフィール
湊祥(みなと・しょう)
宮城県出身、都内在住。「一生に一度の恋」小説コンテストで最優秀賞を受賞した『あの時からずっと、君は俺の好きな人。』(野いちご文庫)でデビュー。以降、各出版社で次々と作品を刊行し、2023年には「余命100食」がポプラ社小説新人賞ピュアフル部門賞を受賞。
日本初の全文訳・訳註付『赤毛のアン』シリーズ第7巻
アン・ブライス41歳が家族と暮らす美しい村に、新しい牧師一家がやって来た。妻を亡くした美男子の牧師と母のない子どもたち。彼らは、家なき子メアリ、ブライス家の子どもたちと「虹の谷」で幸福にすごす。中年男女の恋も芽ばえる。第一次大戦が影を落とす前の平和な時代を描いた長編小説。アン・シリーズ中の異色作。
●タイトルの「虹」
虹は、夢のように美しく楽しく、しかし永遠ではなく、いつか消えていく。本作では、プリンス・エドワード島の緑豊かな「虹の谷」ですごす子どもたちの無邪気で愉快な少年時代、少女時代と、その終わりを伝える。
●特徴1-日本初の全文訳
米国詩人ロングフェローの詩「失われし青春」の一節に始まる日本初の全文訳。モンゴメリは献辞で、彼女が暮らす村から第一次大戦の欧州戦線へおもむき、命を落とした三人の兵士に本作を捧げた。日本で初めて原書の全文を訳したカナダ文学。
●特徴2-訳註付。作中の約400項目について解説
作中に多数引用される聖書の名句とキリスト教、シェイクスピア劇や英詩などの英文学、不可思議な伝説(さまよえるユダヤ人、プレスター・ジョン、聖杯伝説)、料理、衣服、植物、歌、踊り、諺、カナダの歴史と戦争など、小説に描かれる約400項目についてわかりやすく解説。モンゴメリ文学の奥深い魅力を楽しむ。
●特徴3-口絵写真10点、地図2点
カナダ、米国、スコットランド、ドイツで訳者が撮影した本作ゆかりの写真10点(プリンス・エドワード島の虹の谷のモデル、フォー・ウィンズの内海、モンゴメリが本作を書いたオンタリオ州の牧師館、ドイツのハーメルンで「笛吹き」が歩いた通りなど)。プリンス・エドワード島北海岸とカナダ東部の地図付。
●特徴4-くわしい訳者あとがき……小説をより深く味わうために
一、モンゴメリの十冊目の単行本『虹の谷のアン』、主人公はメレディス牧師一家
二、『虹の谷のアン』のエピグラフは、米国詩人ロングフェローの詩「失われし青春」
三、牧師館の子どもたちとメアリ・ヴァンス〜名作『ストーリー・ガール』を踏襲
四、魅惑の虹の谷のモデル、魔法がかかった泉
五、中年男女二組の恋〜「白魔術」の出逢い、昔の恋人との再会と愛の復活
六、「ハーメルンの笛吹き」〜若者たちを戦地へ連れていく「笛吹き」、近づく戦争の影
七、第一次大戦中に執筆された『虹の谷のアン』、モンゴメリ日記より
八、アンの明るく誠実な心、アンの幸せの在りか
●美しいカバーと装丁
本作に登場するドイツの伝説「ハーメルンの笛吹き」。地模様のかえでの葉は、やがて戦地へむかうカナダの青年たち。風にゆれて死者の魂がそよぐ黄水仙、長靴下(ストッキング)。
【2025年5月現在、新本が定価(2,400円+税)で購入可能】
「絶望もここでは王冠のように輝いていた。」(「蝕まれた虹」より)
この世のあらゆる不幸を味わい尽くし、精神病院での5年間の闘病生活から放たれた祈りの小説群。自らの狂気を見つめる目は緊迫感に満ち、聖痕のごとく、清らかに輝きつづけている。中上健次が「むごたらしいほど美しい小説」と絶讃した「髪の花」など8篇を収録。
同人誌仲間だった中上健次、勝目梓らと切磋琢磨する日々をおくり、中上初期の傑作「十九歳の地図」に登場する「かさぶただらけのマリア」のモデルとしても知られる異才、小林美代子。
精神病院の病棟で綴った処女作「幻境」では、自らの狂気を題材に独自の境地をつくりあげ、精神病院内の虐待の実態をえぐった中篇「髪の花」で群像新人文学賞を受賞、そのわずか2年後に自死して果てた。自宅の机の引出に残された遺稿「蝕まれた虹」では、鬼気迫る狂気の日常から不思議な聖性がこぼれ出し、まさにマリアのように、あらゆる不幸を幸福に変えてしまいそうな力がみなぎっている。
※七北数人氏を監修者に迎えた「シリーズ 日本語の醍醐味」は、“ハードカバーでゆったり、じっくり味わって読みたい日本文学”をコンセプトに、手に汗握るストーリーではなく、密度の濃い文章、描写力で読ませる作品、言葉自体の力を感じさせる作品を集成してゆきます。
蝕まれた虹
幻境
灰燼
さんま
女の指
老人と鉛の兵隊
髪の花
芥川龍之介「歯車」における狂気と私の狂気
解説/七北数人
江戸は浅草川に浮かぶ島、箱崎。多くの船や荷が行き交うこの地の川辺で、お涼は女将として小さな船宿を切り盛りしている。父親譲りの見えてしまうたちのせいか、面倒見の良い人柄からか、お涼はいつのまにか集まってくるあやかしたちの世話をつい焼いてしまうのだった。探し物をしている片目片足の小僧、小さな蹴鞠の神様たち……。あちらとこちらの世界をつなぐ不思議な船宿を舞台に贈る、愛おしいあやかし譚。待望のシリーズ第二弾。