カラヤン以後あまり使わなかった「スタイリッシュな演奏」という言葉が浮かんでくる。こんなにも毒がなく音響的に美しい「革命」は他にないだろう。ショスタコーヴィチの現代性は、もしかしたらこうした演奏のなかにあるのかもしれない、とすら思えてくる。
テンポが遅い分スケールも大きく感じるが、それだけでなく、古典的な造詣のしっかりした、非常にバランスの良い演奏だ。このテンポ感と構築力が、ドイツ的な堅固さを生み出している。精気に満ちたハイドン。
“ショパン・プラス”とも評された強靭な表現力で迫るアラウのショパン。勢いのある年齢(50代)の演奏で、唯一のエチュード全曲録音。自らエッセイを著すほどに精神分析にも精通したアラウの作品分析も強く主張される。耳慣れた音楽越しに見えるショパンの実像か。
十代最後のムターの録音。アッカルドのロマンティシズムがムターに移ったかのような、甘美でロマンティックなバッハ。隅々まで気の入った細やかなニュアンスが、すでに大家の片鱗を見せている。
こちらと思えばまたあちら。エジプトの民俗音楽とモーツァルトの音楽がアナーキーに入れ替わり立ち代わり、時には相互に重なり合い交じり合う。何ともケッタイな仕掛けからくりだが、異国の街角に立って聴こえてくる音のように不思議にリアルなトキメキがある。
全集のうちの1枚。中では最も充実した演奏と言われているもの。重く脂っこくないラフマニノフながら、ロシア的抒情とのバランスも絶妙。オーケストラの精妙な響きも、この演奏の独自性を高めている。
フレーニによる若き日の名唱で、1963年スカラ座で「ラ・ボエーム」のミミを歌って、“史上最高のミミ”と絶賛された彼女の当たり役を収録。気品にあふれ、のびのびとした歌唱。
名手アンドレの得意なレパートリーを収めたもので、ムーティ/フィルハーモニア管弦楽団とは初共演。超絶技巧と美音をきかせてくれる好アルバム。
アンコール・ピース集だが、どの曲もワイセンベルクは手を抜かず、キリッと仕上げていて、決してイージー・リスニング的な甘さに陥っていない。むしろ硬質な肌触りで、各曲の佇まいは実に端正。
99年にリリースされたものの、権利上の問題でこれまで日本ではリリースされなかった幻のアルバム。プロディジーはもちろん、ケミカルやビースティ、ファットボーイといった大物の名曲をリアム・ハウレットがミックスしたエキサイティングな内容だ。
前作から約3年ぶりとなる5作目のスタジオ・アルバム。独自のインスト・ギター・ロックを表現してきた彼らが丹精した自信作だ。日本人ヴォーカリストTetsuya Fukagawaがゲスト参加。
'83年1月発表のサード・アルバム。ヘヴィ・メタルだからといって荒っぽいだけじゃない。ライヴは迫力で押しまくっていても、アルバムでは結構細かな細工をちゃんと施している。二井原のシャウトするヴォーカルとギター・サウンドを楽しませる。