オー・ヘンリーほど庶民の哀歓を多彩に描いた作家は少ない。大都会でけんめいに生きる貧しい人々、なぜか憎めない悪漢や詐欺師など、彼の人生の中に見出したさまざまな人生模様を卓抜な手法でくりひろげる。「アメリカのモーパッサン」とまでいわれる彼の三百篇余の短篇の中から、「二十年後」「献立表の春」等、広く愛読されてきた定評ある作品を選んで収録。12篇。
「パパはいいな〜、先に天国行っちゃって…」。三歳の末っ子タマキが、笑顔でポツリと呟いた。世界的ウィンドサーファー飯島夏樹が、肝臓ガンで天国に召されたのは2005年2月。残された妻にはハワイで4人の子供を育てる日々が始まった。将来に対する不安、支え合いながら深まる家族の絆、そして夏樹の思い出。空から見守る夫のもとで綴った、明るく時に切ない子育て奮闘記。
わたしと航ちゃんは幼稚園から高校まで、ずっと一緒。そして、わたしはずっと航ちゃんのことが好き。まっすぐで、純粋で、むこうっ気が強くて、がんばりやの航ちゃん。いつだって、わたしの目には彼しか映っていなかった。だけど、航ちゃんは、そんなわたしの気持ち、わかってくれないみたいなの…。