その日の朝、少女タワンと弟のクウェーは、期待に胸をはずませて学校へむかった。都会の学校で勉強がつづけられる奨学金の発表があるのだ。両親は男の子のクウェーに期待をかけていたが、1番になったのはタワンだった。女の子だからと両親からもまわりの人からも反対されたタワンは…。タイの農村を舞台にした少女の自立の物語。
ソ連対外交渉専門家のブルトヴァは、一度失脚して強制収容所に入ったことがある。折しも、ソ連からノーベル文学賞候補が出た。文化相は選考委に授賞を迫り、作品の映画化権を売る口実で、作家に西側諸国の講演旅行をさせることにし、保護者役をブルトヴァに命じた。かつての仇敵の罠を感じとったブルトヴァの、生残り策とは?独特の雰囲気が遺憾なく発揮された、重厚な陰謀小説。
多種多様なプラズマの状態を、一目でわかる絵記号で表現するなど、工夫をこらしたプラズマ技術の入門書。
少年拘置所で悪逆な監督官に命を狙われたネイサンは、身を守ろうとして彼を死なせ、脱走。忍びこんだ家のラジオで、自分が一方的に断罪されていることを知り、自らトーク番組に電話を入れる。トーク・ジョッキーの“ザ・ビッチ”はネイサンの擁護に回り、彼は一躍メディアの寵児となるが、捜査を開始した警察とともに、暗黒街の黒幕が送り出した第二の殺し屋が彼を追っていたー。
癌で夫を亡くし、暗い日々を送っていたジャネットは、あるパーティーで魅力的な男性シェリダンと出会う。二人はやがて、結婚の約束を交わすまでの仲に。が、幸福の絶頂で事件は起きた。シェリダンがレバノンでテロリストに誘拐されたのだ。しかも、彼の正体はCIAのスパイ。人質解放交渉は遅々として進まず、CIAの対応に業を煮やしたジャネットは、単身、中東へ飛んだが…。
オファレルは46歳のCIA暗殺工作員。妻には身分を偽り、他人の記憶に残ることを極力避ける。家族を愛し、酒はマティーニを一日一杯。週末には必ず車を洗う。そんな彼の原則が徐々に崩れ始めた。娘の離婚騒動、孫を襲った麻薬疑惑、そして殺人という行為への罪悪感…。だが、家族のためにもう一度だけやらねばならない。彼は最後の標的、駐英キューバ大使リベラの元へと向かった。
ロッキー山脈上空。130名の乗客と乗務員を乗せたエアブリッジ90便の機内放送は、ハイジャックの発生を告げた。要求はある少女殺害犯の逮捕と起訴。当局が迅速に要求を満たさなければ、機は爆破されるー。交渉役を命じられたFBI女性捜査官キャットは、実業家の自家用ジェットで追尾するが、ハイジャッカーの正体は想像を絶するものだった。激情と絶望が交錯する高空の対決。
男に隷属する以外、女性に生きる道はなかった時代に、『女性の権利の擁護』などというとんでもない本を著し、一大スキャンダルになった女。「結婚は公認の売春」と言い放ち、いくつもの恋をした女。何度も落ち込み、何度も蘇り、常にまっすぐ前を見つづけた女。今の女性の自由は、この人なくしてはなかった-その女、メアリーの38年間の生涯を、当時の生々しい風俗と共に活写した長編。
謎の閃光を調査するキャットは、ジャンボ機を追うように飛行していた小型ジェット機の存在を突き止める。そして鍵を握る物理学者の存在が明らかに!それはマッケイブのパソコンに自殺した友人が送った暗号化されたメモに隠されていた。キャットは、その学者を探すべくアイダホ州へと急行する。そこで彼女は航空業界を震撼させる驚愕の事実を知ることに。新航空テロ時代の到来か。
「食い意地クン」が恥ずかし気もなく食い意地丸出しで食いまくる26品。
衝撃的WTC崩壊から生じた無残な跡地グラウンド・ゼロが、同時代に向けて発信し続けるメッセージとは何か。ビル倒壊を見たいと願った人々の真情とは。9・11の勃発をアメリカ文明に内在する病理として鋭敏に予見した存在とその根拠とはー。大胆で重層的視座から浮き彫りにされる、事件の数奇な宿命と必然。画期的な考察。