どうしても女声だけの合唱は物足りないと感じていたが、こうした童謡のような、優しい心遣いにあふれた曲ならば、ぴったりとくる。東京レディース・シンガーズの合唱は、最上とはいわないけれど、とても温かい。中田喜直は、21世紀に残りうる作曲家だ。
すっかりベテランになった女性アーティストのアルバム。肩の力が抜けた状態から、自然に湧きだしてくるようなやわらかなメロディが魅力的だ。だからこそ、打ち込みの曲においても彼女の歌とピアノが、サウンド全体にアコースティックな響きを与えている。
確かにソレっぽくはあるが、この人の作品を単純に“癒し”で括ってしまうのはいかがなものか。この言葉は便利だが、その音楽の本質、音楽家が語りたいことを曖昧にしてしまう危険がある。細かく神経の配られた音づくりの妙とでもいうものを味わいたい。
それぞれに高い演奏のレベルは、クレジットをみるだけで明らか。日本基督教出版局による同名楽譜準拠ということでもあり、実用的(お手本)ニュアンスを多分に持っているのだろう。通して聴くためのディスクではないが、非常にまじめに作られているのは確か。
すでに2万本をレコードした『機動戦士ガンダム』の最新OAVのサントラ盤。特に今回、椎名恵の歌うOP・EDテーマは、歌詞と作品がみごとにフィットしており、ひさびさにアニソンを感じさせてくれる曲だ。