ソロになって初のベスト盤。洗練された歌謡性とソウルフルな歌唱とを強調したバラード&ミディアム・テンポの曲を聴かせる構成になっている。ちょいと危険だが優しい男の夜の表情を想像させる歌ばかりで、青春の余熱とさめつつある胸の内の寂しさを歌う。
陽水の創造する空間には社会の歪みから生まれる宛先のない怒りがある。それが時代と呼応して何度目かの静かなるブームを迎えてるわけだが…。タイトルの額面通り判断すると本作は、今までリリースされた作品すべてが収録されているように感じるがライヴ音源はパスされてたりする。しかし、アンドレ・カンドレやアルバム未収録曲が収録されているわけだし大全集といっても語弊はない。512ページの超厚ブックレットには歌詞、年表、スーパー語録、50音索引だけでなく歌い出し索引なんてのも付いている。