巨大なキノコ雲の写真は核兵器の威力を誇るものであっても、それによって有無をもいわせずに殺されたり傷つけられたりした人たちの惨状を伝えるものではない。むしろそうした犠牲者の姿を隠蔽するもののようにもみえる。…生身のこの人たち一人一人が、キノコ雲の下でどのような目にあったのか、また大火傷を負って生存した人たちがどのようにその後を生きたのか、原爆投下当日から現在に至るまで、多くの写真家らによって撮られた写真をもとにたどってみよう…。
近代国家の担い手たちが目指したものは何か。幕末・明治の開明に関わる事件や人物の事跡を近代史・開明史の視点で考察。
ひとは、老いて死を迎える瞬間まで発達し続けることができるのかー。「発達」の概念をとらえなおし、よりよく生きるとは何かを問う。
中国語訳をはじめ各国語に訳出され、お茶に関するバイブルともいうべき世界的な名著ALL ABOUT TEA(1935年刊行)は、なぜか日本語訳だけがなかった。そこでこの全訳に先駆けて、日本に関する3章分を訳出し、詳細な注と関連する論文や情報を付して提供した待望の書である。「日本の茶道」では、茶の湯文化の歴史的・精神的背景を説明しつつ実際のお点前や茶道具を解説し、世界の茶文化のなかでも際だった独自性があることを紹介する。「栽培と生産」では、気候、土壌から肥料、病虫害まで栽培の過程を詳しく説明し、生産については手作業と機械作業の違いや玉露や紅茶の製造、さらに日本茶の種類についても説明される。「茶貿易史」では、貿易の始まりから各地の茶貿易港の実態、貿易振興策から輸出量の変遷、さらに貿易に携わった内外の人物や商会について解説し、明治以降、生糸とならんで日本の戦略的な輸出品であった茶貿易の実態を明らかにする。
市民社会、国家(国民国家)、グローバリゼーションの三つの領域の代表的な論点にそって今日的な課題に応える。
戦争の内部化過程の問題は、大きな戦争(major wars)の終焉とともに終わった訳ではなく、むしろ二一世紀初頭の情況に照らしあわせてみると、小さな戦争(small wars)の常態化と共に新しい局面に入りつつあるように見える。フーコーたちが指摘したような戦争の国家ー社会への内部化の問題は、グローバリゼーションに伴う主権国家体系の大きな変容と連動しながら、新しいステージへと進みつつある(著者「序」より)。
“暴力”をめぐる言葉の支配権が争われている国際関係学/国際政治経済学。ファルス中心主義が蔓延する言論政治への介入の書。国際関係学を超えて-“暴力”はいかに議論されてきたか。言葉の意味が決められていくメカニズムを問い直す。
災害、疾病、犯罪などから子どもを守るために。自分の置かれた状況を把握して対処したり、適切な人間関係を維持したり、相手を深く理解できる力を育成する。