無類の毒舌と優しさ、資産家で吝薔、一流好みで食魔、俗物嫌い-宮本百合子との同棲でも知られるロシア文学者湯浅芳子。その稀な個性を、交友三十数年の著者が、深い人間観察と絶妙の表現で、縦横無尽に描き出す。
汚されざる真実のバリを描く不朽の名作。1937年の刊行以来、静かな感動を与え続けている世界的名著、待望の完訳。
泰淳夫人の色、詩人の色、秘密の色…『富士日記』『犬が星見た』『日日雑記』など秀れた文業を残した武田百合子の本当の色とは?鎮魂の思いを込めてその生涯を様々なアングルから探る傑作評伝。
えーっ!?オーストラリアにしろくまが…。なぜって、それはひ・み・つ。
剛毅、優柔、明晰、怯懦…etc。いま、なお毀誉褒貶相半ばする評価をされる徳川十五代将軍・慶喜。幕府立て直しを命としながら、一転、大政奉還を決断、自ら幕府を横転させ、その後、世捨て人同然の半生を送った徳川慶喜とはいったいどんな人物だったのか?豊富な写真、表、マップ等を駆使し、まったく新しい観点からその生涯を見つめ直した画期的一冊。
失明をのりこえて“京都の恩人”といわれ、創設期の同志社を支えた会津武士の生涯。『週刊ポスト』『SAPIO』21世紀国際ノンフィクション大賞優秀作受賞作品。
ヤンネは突然ぼくのまえに現れた。まっ赤な髪の毛をなびかせ、自転車に乗っていた。そばかすだらけの白い肌、女の子みたいにきゃしゃな体つきでも、「ヤンネ」という名の男の子だ。自転車の腕前も度胸も、ぼくたちの仲間の誰にもひけをとらない。ぼくにとってヤンネは、かけがえのない親友になっていくが、ヤンネの正体は謎につつまれたままだった。親も、住んでいるところも、そして名字さえもわからない。その上、ヤンネは、ときどき姿をくらましてしまう。そんなある日、ぼくは街角でデカから尋問をうけることになった。よりによって、ヤンネのことで…。ヤンネの正体をめぐって、物語は急激に展開する。謎が謎を呼び、最後には思いがけないどんでんがえしが…。現代スウェーデンを代表する作家の渾身の一冊。ニルス・ホルゲッソン賞、スウェーデン文学協会新人賞、ドイツ児童図書賞受賞。10代〜。
ついに神秘の島に渡った少年が目撃した、思いがけない光景…。驚愕の完結編。
阪神・淡路大震災の「現場」から、この国を根底から問う。
花田清輝、寺山修司との論争に始まり、ジョン・フォードやマルクス兄弟といった当時日本ではメジャーでなかった監督やコメディ作品にいち早く注目し、論評。“時代”に左右されず、エンタテインメントについての豊かな知識と深い洞察力で秀れた評論を書き続けた著者の30年にわたる映画評論の集大成。
古くから日本人に親しまれてきた観音さまは、人とともに喜怒哀楽の情をあらわす、いわばまだ悟りのきわみにいたらぬ修行途上の仏さま。殺伐とした東京のそこかしこ、そんな風情で、またときに妖艶に、ときにひっそりと慎み深く佇みながら、こちらを見守る観音さまや石仏を巡っての、経惟・日向子の愛の道行き。観音さまひとくちメモ、対談を付す。