月よう日ー。トムは、教室のまどから外を見ながら、かんがえていました。(きょうの給食は、なにかな?)そのときです。校庭のむこうから、ひょこひょこ、小さなきょうりゅうが、やってくるではありませんか。もう、べんきょうは、そっちのけ。教室じゅうが、大さわぎ。小学校初級〜中級向。
ある夏の夕暮、ひとりの少年が大空に身を投げた。少年は、美しい、謎にみちた詩を残していた。「ぼくは/うちゅうじんだ/また/土のそこから/じかんの/ながれにそって/ぼくを/よぶこえがする」青春一歩前で死を選ばせたものは何か。「ひとり/ただ/くずれさるのをまつだけ…」謎はとけない。多くの人びとに深い感動をよんだ詩集に、今回新たに少年死後の、両親と読者との往復書簡を併収し、決定版とした。
「私」は、ある夏の日、海辺ではじめて「先生」に出合う。足繁く「先生」の家を訪れるようになった「私」には、「先生」の、すべてを諦らめたような生き方を解き明かしたいという気持が次第に強くなる…。友を死に追いやった「罪の意識」によって、ついには人間不信に至る近代知識人の心の暗部を描いた傑作。若い読者の理解を助けるため読みやすい活字で詳細な語注を付した。
仏教の根本精神を究めるにはブッダに帰らねばならない。一貫して仏教の根本をたずねてきた斯界の第一人者が、東洋的思想の根本をなす人としてのブッダの出家から寂滅までの生涯の言行を、一話完結形式で、だれにもわかりやすく説いた入門書。読者の理解を深めるため、数多くの「語注」を付した。
父と兄に見守られて育った幼い日々は、学校に通うようになって、がらりと変った。小さな肩に背負いきれないほどのつらい出来事が彼を襲う。さまざまな衝突をくり返し、死を考える彼をささえたのは、人間のやさしさだった。戦時下の日本に生まれ、敗戦を迎えるまでの一在日朝鮮人少年のおいたちをたどりながら、人間が生きることの意味を考える。
よどんだ水に浮ぶ舟べりから少年は何を見たのか?幼い眼でとらえた人の世のはかなさを描く、処女作「泥の河」。北陸・富山に舞う幾万の螢を背景に、出会い、別れ、そして愛を濃密な情感と哀切な叙情にこめてとらえた「螢川」。ネオン彩る都会の一隅にくりひろげる父と子の愛憎劇を軸に、男たち女たちの人情の機微をからめた「道頓堀川」。川を背景に独自の抒情を創出した宮本文学の原点三部作。