水あそび、それとも森の中をたんけん。おかあさん、いってきまーす。明るくはじけるように楽しい絵と言葉で、おとなも子どもも、だんだん、うきうきしてくるよ。
絶滅の危機に瀕する鳥、心ない人間に迫害される鳥、自然界の厳しさを教える鳥、野鳥の世界は、わたしたちの今を映しているようでもある。さまざまな様相を呈する野鳥たちの生態と、鳥と人とのかかわりを永年の野鳥観察をもとに描く。
倫理の根源から諸問題の地平へ。行為と規範、人格と自由、自己と他者、理性と物神といった倫理学の基本問題を新たな視点から捉えなおし、正義論・生命倫理・環境倫理・近代化論等、倫理学が直面する現代的諸問題とも対決する。
交換と市場、需要と供給、企業・政府などミクロ経済学の基本問題から、国民所得、財政金融政策などマクロ経済学の基礎までを、豊富な例示とたくみな比喩で説く明快な入門書であるとともに、今日の複雑な経済・社会を正しく読み解きたいという読者にむけて、現実の経済・金融問題などを幅ひろくとりあげ解説する、役にたつ生きた「再」入門書である。
ルサンチマンの泥沼のなかで「神」や「超越的な真理」に逃避するのか、あるいは「永遠回帰」という「聖なる虚言」に賭け、自らの生を大いに肯定するのか?二十世紀思想最大の震源地ニーチェの核心を果敢につかみ、その可能性を来世紀に向けて大胆に提示する、危険なほどに刺激的な入門書。
“裸の大将”の目に写ったヨーロッパとは。-ジェット機に乗って「ときどきかじを下に向けないと地球の外へとびだしやしませんか」と心配したり、ゴンドラの町にパンツのほしてあるのを見て日本をなつかしむ。「がいせん門は兵隊のくらいで大将だ」と納得。美しい細密画と訥々とした文章で綴るほのぼの紀行。
タヌキが化け学を駆使して、人間に戦いを挑む。タヌキだってがんばってるんだよォ。
条件づけられた人間が環境に働きかける内発的な能力、すなわち「人間の条件」の最も基本的要素となる活動力は、《労働》《仕事》《活動》の三側面から考察することができよう。ところが《労働》の優位のもと、《仕事》《活動》が人間的意味を失った近代以降、現代世界の危機が用意されることになったのである。こうした「人間の条件」の変貌は、遠くギリシアのポリスに源を発する「公的領域」の喪失と、国民国家の規模にまで肥大化した「私的領域」の支配をもたらすだろう。本書は、全体主義の現実的基盤となった大衆社会の思想的系譜を明らかにしようした、アレントの主著のひとつである。
いまのいまがしあわせだね。たいせつなだれかをおもううれしさとせつなさー「100万回生きたねこ」の佐野洋子が描くもうひとつの静かな愛の物語。
「ごはんですよ」とおかあさんがよんでいます。でも、サムは、「ちょっとまって」とへんじをすると、つみきをならべはじめました。「ぎょうれつぎょうれつ、つみきのぎょうれつ」サムのぎょうれつは、どこまでつづくのでしょう。生活のなかのいきいきした子どもの姿と、おおらかに受けとめるおかあさんの姿をみごとにえがきだした絵本です。
「貞女とは、多くのばあい、世間の評判であり、その世間をカサに着た女の鎧であります」さあ鎧を脱ぎましょう、この大学では、姦通学、嫉妬学、社交学、整形学など種々の講座があります(反貞女大学)。そのあとで男性をじっくり研究して(第一の性)幸わせとは何なのかお考え下さい。三島のユニークな男と女の研究書二篇を収録。
ちょっと江戸を散歩してみませんか。理屈や趣味やウンチクにとらわれるよりも、はとバスにでも乗った気分で出かけてみましょう。名ガイドが、明るく案内する浮世絵、歌舞伎、戯作、怪談、珍奇なものたち…遠い昔の江戸の街が、ホラ、こんなに身近で、愉快なワンダーランドだったなんて…。タイムマシンに乗って、別天地へようこそ。
舞台は、ヨーロッパ、アジアの両大陸から南島、横浜、神戸までー。故国を去って異郷に住む“国際人”の日常にひそむ事件のかずかず。コスモポリタン誌に1924〜29年に連載された珠玉の小品30篇。
マニエリスムとは何か。それは危機の時代の文化である。世界調和と秩序の理念が支配した15世紀は、黄金のルネサンスを生み出した。だが、その根本を支えてきたキリスト教的世界像が崩れ、古き中世が解体する16世紀は、秩序と均衡の美学を喪失する。不安と葛藤と矛盾の中で16世紀人は「危機の芸術様式」を創造する。古典主義的価値をもつ美術史により退廃と衰退のレッテルを貼られてきたこの時代の芸術の創造に光を当て、現代におけるマニエリスムの復権を試みた先駆的な書。