水戸の下級藩士の家に生まれた関鉄之介は、水戸学の薫陶を受け尊王攘夷思想にめざめた。時あたかも日米通商条約締結等をめぐって幕府に対立する水戸藩と尊王の志士に、幕府は苛烈な処分を加えた。鉄之介ら水戸・薩摩の脱藩士18人はあい謀って、桜田門外に井伊直弼をたおす。が、大老暗殺に呼応して薩摩藩が兵を進め朝廷を守護する計画は頓挫し、鉄之介は潜行逃亡の日々を重ねる…。
安政七年(1860)三月三日、雪にけむる江戸城桜田門外に轟いた一発の銃声と激しい斬りあいが、幕末の日本に大きな転機をもたらした。安政の大獄、無勅許の開国等で独断専行する井伊大老を暗殺したこの事件を機に、水戸藩におこって幕政改革をめざした尊王攘夷思想は、倒幕運動へと変わっていく。襲撃現場の指揮者・関鉄之介を主人公に、桜田事変の全貌を描ききった歴史小説の大作。
本書は、大学において動物栄養学を担当講義している著者らが、その経験と考え方をもとにして大学の議義用教科書として取りまとめたものである。栄養学とは生化学と生理学の知識を駆使し、動物と栄養素との関係を、統一した概念で総合した科学ともいえる。したがって、この科学の実用的応用は幅広い学問と関連する。本書では飛躍的に進歩しつつある生化学や分子生物学の概念や情報を豊富に取り入れ、動物栄養をわかりやすく解説した。
天才ガウスが心魂を傾けて書いた整数論の聖典。ラテン語原典からの、本邦初の完訳。
本書は工学系の学生を対象とした電磁気学の入門書である。著者は30年以上におよぶ教育経験から、難解とされる電磁気学をベクトル解析という手法を軸にしてわかりやすく解説する。
明治以来、日本がヨーロッパから学んだものは、技術中心の近代文明であった。人びとは、物質的な豊かさに達することによって精神的な豊かさを手にすることができると信じてきた。しかし、その豊かさを体験した今、人びとが手にしたのは心の荒廃であり、心の貧しさでしかなかった。今こそ私たちは、ヨーロッパの社会と文化を支えてきたキリスト教の精神に注目すべきではないだろうか。中世の修道士たちが聖書をいかに理解し、生きてきたか。その具体的な姿を時代の変化を通して描き、ヨーロッパの心を探究する。
本書は、旧版において組立てた家畜育種学の理念と学問体系をうけつぎつつ、この分野における科学と技術の進歩、発展に対応するために、新しい執筆者の参加を得て、新知見を加え、できるだけ平易に分かりやすく解説することにつとめた。
「アビダルマ」とは、ブッダが説いたダルマ=法・真理を解釈し、仕上げられた壮大な思想大系を意味する。インド諸学派のアビダルマ教義の中で、5世紀ころ、仏教史上最大の思想家ヴァスヴァンドゥ(世親)が著した『アビダルマ・コーシャ』を取り上げて、仏教思想の哲学的側面を根源から捉え直す、画期的労作。
本書では、子どもたちの学習意欲、とくに「自ら学ぶ意欲」を育てるために必要な心理学の知識がわかりやすく解説されています。親や教師の方々が毎日の子育てや教育実践で、子どもの「自ら学ぶ意欲」をどのように育てたらよいのかが具体的に書かれています。さらに、学習意欲についての最新の研究成果も豊富に盛り込まれており、テキストや研究にも役立つよう工夫されています。
本書は、土壌学と近縁のすべての学問分野が今や地球と地域の環境の保全に向けて積極的な取組みをしている中で、土壌学の役割を十分に意識しながら、新しい時代の教科書としてつくられたものである。