将来世代への脅威として死の灰にも匹敵するといわれるダイオキシンの毒性と、その情報の隠蔽を告発。女性の立場から、生命系に支えられた社会模策。
女医・千草の下で働くお国は、お使いの帰り道に奇妙な光景に出くわした。林の奥の誰もいない場所で、お囃子が響いている。すぐさま“甘酒屋”の次郎吉に知らせるが、「番町の七不思議の一つ、『狸囃子』だぜ」と取り合ってもらえない。一方で、狸囃子の噂は、瓦版に載ったために江戸中の評判になる。仕方なく、様子を見に行くことにした次郎吉だったが、そこで囃子方の矢七の姿を見かけて…。大人気痛快時代小説、第7弾。
男子大学生のふりをして気ままに生きるオスの三毛猫・谷中千歳は恋に落ちた。人間(ドーナツ屋さん)の女の子・愛宕椿と。正体を明かせず悩む千歳…けれども椿の秘密の方がもっとすごかった。なんと彼女は歌舞伎町の任侠団体の組長の娘、しかも…!?お互いに秘密を抱えた奇妙なカップルが、運命に翻弄されながらも、自分らしい生き方を選びとる。恋人たちの青春ストーリー。
いつも、人間がたぬきやきつねに化かされていたのではありません。ときには、たぬきがきつねに化かされたり、人間に化かされたきつねさえいたそうです。日本各地に伝わるたぬきときつねの化かし話を36編集めました。
人権問題、戦争責任、高齢化問題、環境保護、臓器移植、セクハラ…。マスコミの報道にも流行りすたりがあるらしい。しかし、そんなトレンドにつきあっていたら、物事の本質を見失ってしまうのも事実である。「報道のあり方」が問われる昨今、情報を受け止める側の私たちは、どんな態度をとるべきなのだろうか。明快な語り口で「自分の立場」を綴る人気エッセイ・シリーズ第2弾。
麻布十番の料理屋「味六屋」は政財界の大物がお忍びで通う名店だ。流れ板の銀次と女房の町子が切り盛りする小さい店に、馴染みの政治家から珍しい注文が入る。接待の相手は右翼の重鎮で、オーダーされたのは戦時中に中国で食べた“狸汁”。銀次はその料理にこめられた男の思いを叶えることができるのかー(表題作)。舌よりも心に残る料理の味わいを描く傑作短編集。