タンスから外へ出ると、そこはあした….表題作「あしたへいったねずみたち」ほか、「だるまになる山」「窓のむこう」など、シュールな世界を描く、異色童話集.
「ややっ、か、かげが!」とらざえもんのかげは、ひゅるるるる〜と、とけかかったあめみたいにのびて、足もとから、はなれていくではありませんか。
つもった雪がとけはじめ、そちこちで、せせらぎの音がきこえてきます。山に春がきたのです。ぞうき林の中の山荘にすむ、かわいらいし5ひきのヒメネズミの兄弟たちも、春をむかえ元気いっぱい。おもいっきり外で、たのしいかくれんぼ遊びができるからです。それは、ぞくぞくするほど、こわくて、おもしろい遊びなのです。
むかし、びんぼうなじさまとばさまが、1ぴきのねずみとくらしていた。そのねずみが、となりのちょうじゃどんのふとったねずみとすもうをとって、ころりころりとまかされている。それをみたじさまは、だいじにとっておいた米でもちをついてたべさせると…。この話は、新潟県の松代町に伝わる話をもとに再話したもので、軽快な語りと楽しい絵で、読者をじゅうぶん楽しませてくれます。
とかいのねずみにさそわれてとかいへやってきたいなかのねずみはめをまるくしました。みたこともないごちそうのやま。「どれからたべたらいいんだろう。」そのときとつぜん……。