本書は、青年期(中学生〜大学生)から成人初期という生涯のうちで最も多様な人間関係を経験する時期に焦点をあてている。この時期の青年はどのような人間関係の中で過ごしているのか、男女差、年齢差、時代による違い、国際比較等、多くのデータと資料をもとに解説。さらに、青年の時期を広くとらえることで、現代の青年の社会参加や結婚における対人関係のつまずきや問題点を、生涯発達の視点から明らかにしている。
地獄の関東大震災から3年後。大正15年。神島桐子は、先代の神島家の当主、兄史人の急死をうけて神島家の当主となった。桐子、わずかに10歳。神島家の使役鬼たる弓生と聖は、桐子の術修業を助けるべく東京にいた。だが、術修業とは名ばかりで、実は中央の術者を呪詛するためであった。命じたのは、桐子の後見役を任じる狩間久義。中央の術者の一部が体制の転覆を謀っているのだという。その数13名。-しかし、事の成り行きに胡散臭いものを感じた弓生と聖は、その背後にあるものを探り出しにかかるが…。感動の名作、後編。
本書は、事故の全経緯を豊富な取材に基づいて検証し、事故の原因をはじめ、常に軍事利用を伴って進められた増殖炉開発の歴史、推進勢力の奢りと腐敗、そのハイテクノロジー偏重体質のもたらした基礎技術の軽視、浪費を前提にしたエネルギー政策、などの問題点を多角的に論じながら、脱プルトニウム社会への方向性を提起する。
犯罪にかかわる落語147題を紹介して現代の「刑法」と江戸の「御定書百箇条」によりその罪状を認定して、刑罰の裁定をする。また、犯罪噺の背景となる江戸の社会のしくみと庶民の生活・風俗を描いた江戸の案内書。
神話と伝説の海“伊勢湾”完全ガイドブック。古代の海上の道に思いを馳せ、大王埼から伊良湖岬まで、伊勢湾・三河湾をぐるりと歩いてみよう。海と港の歴史・文化を再発見する、初めての“海のガイドブック”。
墨東の陋巷とモダン東京を愛した都市の散歩者永井荷風。寂しさのなかに美しさを見た、風景の詩人に捧げる、川本三郎のライフワーク。「東京人」連載時の原稿に大幅加筆、書き下ろしを加えての千枚を超える大作。
本書は、第1部では20世紀前半にアメリカで生まれた行動主義・新行動主義から大きく成長した伝統的学習心理学について述べ、後半の第2部では1960年の後半以後大きく変化した新しい学習心理学について解説する。生得的傾向が学習に対して加える制約、刺激の情報価を重視した古典的条件づけにおける随伴性の考え、さらにそれから発展したレスコーラ・ワグナー理論などについてわかりやすく解説している。道具的条件づけについても、従来の強化理論と矛盾する事実やプリマックの理論など、新しい展開について説明している。「知・情・意」のバランスのとれた伝統的学習心理学を原点にして、それから展開した学習心理学の動的な流れを、興味深いいくつかのエピソードや実験結果などを「コラム」としてまじえながら、わかりやすく解説したコンパクトな書物である。心理学やその関連分野・応用分野を学ぶ大学の学生にとって欠かすことのできない心理学の基礎的テキストの1冊である。
「証言」「精神安定剤」「法の番人」「必要悪」「無関係」「黒幕」「一枚の木の葉」「ある組織」「敵討ち」「安楽死」と犯罪者の心理、人間考察十話。これらの何ともやりきれない事件に遭遇する老八坂刑事は、犯罪者のやむにやまれぬ事情を十分理解しながら「それでも」職務上犯人に手錠をかけなければならない。人間のエゴイズム、国家権力や価値体系からはじき出された人間のはかない抵抗と復讐、権力末端の人間の悲哀が…。
本書では、まず流体力学の基礎方程式の導出から記述し、恒星風や降着流、爆風波の伝播、巨大衝撃波、宇宙の膨張則など、その解を求める手法を系統的に解説する。通常の流体力学の解説書には、ほとんど紹介されていない宇宙流体特有の手法について、学部学生から理解できるよう丁寧に解説した。
2028年、6月。いまや国際政治において絶大な権力を誇る国連は、北極海に核兵器を隠匿するシベリア連邦への制裁のため、基地の空爆を行なった。ところが北極の海底には、温室効果をもたらすメタンガスが大量に閉じこめられていたのだ!爆発のエネルギーで大気中に放出されたメタンは、徐々に気温と水温を上昇させてゆく。やがて夏が訪れ、暑さが最高潮に達したとき、北太平洋にかつてない激烈な風が吹きはじめた…。
北太平洋に発生した史上最大のハリケーンは、ハワイ諸島に深刻な打撃を与えたのち、次々に新たな嵐を生み出しながら、北半球全域で猛威をふるっていた。嵐の発生に最適な気候自体を変えないことには、人類の居住域は破壊しつくされてしまう!この危機に際し一人の宇宙飛行士に託された大胆きわまりない作戦とは…?情報ネットワーク網と地球環境問題を背景に、未曾有の災厄に立ち向かう人類を描く近未来サスペンス。
本書は、「材料解析の現場で実際に役立つような参考書」を目指し、Q(質問)&A(回答)の形式をとり、Qとしてできるだけ具体的な問題を取り上げ、Aはフォーラムにおける演者にお願いし、電子顕微鏡をこれから始める人、あるいは、始めて間もない人を想定する。
明治の初め、国際港となった横浜は、戊辰戦争の後遺症が癒えない東京を尻目に活気に沸いていた。新宿の遊女だったお倉はこの活気にひかれるようにして横浜にたどり着き、関内に料亭富貴楼を開業する。お倉の才覚によって富貴楼は繁昌し、明治の元勲たちもここに集まってくる。金沢八景で憲法の草案を練る伊藤博文もその一人。富貴楼は政治と経済の中心になり、お倉の活躍が始まる。