ようやく久留米と恋愛関係になった魚住にアメリカ留学の話が持ち上がる。いまださちの死の影響が大きくPTSDと闘う魚住は大きな不安を覚えるが、久留米との恋が彼の中の何かを確実に変えていた…。幸福も不幸も、出会いも喪失も、強さも痛みも…すべてを見つめる静謐な眼差しの物語、感動の完結。
犯人逮捕が何度もささやかれながらいつまでも終結しない事件がある。一方で、犯人が逮捕されていながらその背景が全く明らかにされない事件がある。それはなぜなのか。迷宮入りする「住友銀行名古屋支店長射殺事件」「ライブドア『懐刀』怪死事件」、そして、すべてが心の闇に隠された「酒鬼薔薇事件」など、解決されざる大事件の深層に圧倒的取材で斬り込んだ犯罪ノンフィクション集。
明治の王政復古とともに復活した役所、弾正台。水干姿の優美な青年・香月経四郎と、同僚の川路利良は、その大巡察として役人の不正を糺す任に就いていた。とあるきっかけから、二人は弾正台に持ち込まれる謎めいた事件の解決を競うことに。いずれ劣らぬ難事件解決の鍵になるのは巫女姿のフランス人美女、エスメラルダが口寄せで呼ぶ死者の証言で…!?明治ものにして本格推理小説。驚天動地のラストが待ち受ける異色作。
星町はごく普通ののどかな町。でも、よく目をこらしてみると、不思議なことが起きている。この町には十六年間も地震がないし、前に何があったか思い出せない空き地がある。サラリーマンが謎の猛獣に襲われる事件は未解決のまま。そして猫はたくさんいるのに、犬の散歩をしている人は見かけない…?可笑しくてほろ苦くて、ちょっぴり怖い、珠玉のショートショート集。
闇に舞え、愛しき者、歳月必ずしも酷ならじ。ああ、妃よ。来世に逢うて与に謀らん。
いま最も注目されるアートディレクターの「ものづくりの手法」とは?「こうすればアートディレクターになれる」とか「これをすれば仕事が成功する」という具体的な方法論ではない、感覚や心の有り様、意識の持ち方に触れていく、ちょっと特殊な方法論。
日本人は「和食」を自然食でとるのがいちばん。栄養豊富なうえ、解毒作用も強い玄米。深い呼吸と腹式呼吸・鼻呼吸が健康のカギに。日光にあたると死亡リスクが低くなる。シャワーのときの塩素の害は、飲むときの100倍。化学物質が経皮毒を引きおこし、環境も汚染する。アレルギーは対症療法ではなおらない。がん治療の基本は、生活習慣を根本的に改善すること…。ウイルス学の権威である小児科医が那須烏山に移住して見つけた、健康に生きるためのシンプルな法則。
瑞燕国で最下層とされる尹族の少女・玉瑛は、皇帝の「尹族国外追放」の勅命により、下女として働いていた貴族の屋敷を追われた。山中を彷徨う玉瑛は追いついた騎兵に斬られ、尹族差別の元凶となった皇帝の側室・柳雪媛への恨みを胸に意識を失ってしまう。意識を取り戻したとき目に入ったのは、見知らぬ女。高価な調度品。そして女が玉瑛に呼びかけた。「雪媛様」と。
「怒らないと勉強をやらない」「友だちとうまくかかわれない」「自分の思いをうまく言えない」「自己肯定感の低さが気になる」…子どもがこんなとき「夫婦の会話」を見直すサインです!
石田さんに手紙を書こうと思った。手紙なら届くかもしれない、と。壮絶な闘病の果てに、夫でラッパーのECDが亡くなった。激変していく暮らしのなかで、残された家族に待ち受けていた未来とはー。
俵屋を継ぎ妻を娶った宗達は、名門公卿の烏丸光広に依頼され、養源院に唐獅子図・白象図を、相国寺に蔦の細道図屏風を完成させる。法橋の位を与えられ禁中の名品を模写する機会を得ると、古今東西の技法を学ぶ。関屋澪標図屏風、舞楽図屏風、そして風神雷神図屏風ー謎の絵師が遺した傑作の舞台裏を描く。
一九八六ー九一年、身近な話題とともに、日本の土地問題、解体した「ソ連」の将来にのこる問題にいたる、激しく動く現代世界と人間を省察。世間ばなしのなかに「恒心」を語る、珠玉の随想集。