第二次大戦下、義弟との不倫な関係を逃れ仏印に渡ったゆき子は、農林研究所員富岡と出会う。一見冷酷な富岡は女を引きつける男だった。本国の戦況をよそに豊かな南国で共有した時間は、二人にとって生涯忘れえぬ蜜の味であった。そして終戦。焦土と化した東京の非情な現実に弄ばれ、ボロ布のように疲れ果てた男と女は、ついに雨の屋久島に行き着く。放浪の作家林芙美子の代表作。
「“失敗”こそ伏せ込み!」やる気になったり落ち込んだり、泣いたり笑ったりしながらも、“現場”にこだわり続けた奮闘記。
この作家のロングセラー“隠し剣”シリーズ第二弾。気難しい読者をこれほど愉しませた時代小説は稀れである。剣の遣い手はさらに多彩に。薄禄の呑んだくれ藩士のくぐもった悲哀を描く「酒乱剣石割り」、醜男にもそれなりの女難ありと語る「女難剣雷切り」など、粋な筆致の中に深い余韻を残す名品九篇を収載。剣客小説の金字塔。
「花鳥風月」に代表される日本文化の重要な十のキーワードをとりあげ、歴史・文学・科学などさまざまな角度から分析、その底流にひそむ「日本的なるもの」の姿を抉出させる。著者一流の切り口が冴えわたる、卓抜の日本文化論。
収録された写真は、一九八四-一九九〇年にわたる七年間、一万枚に及ぶフィルムから選び抜き構成。二〇〇三年の“風の盆”新撮・八頁カラーを加えて「定本」として刊行。
美貌と才能とお金、そして幸せな家庭。全てに恵まれた作家の「私」は、執筆に専念するため、マンションを借りる。それは、担当編集者の三浦くんと甘い蜜の時間を過ごすためでもあった。やがて私は、隣の古アパートに住む、いわくありげな女達をもとに物語を紡ぎ始める。暗い過去を匂わせる101号室の大女。ヒモ男に寄生されている102号室の美女…。妖気と腐臭に満ちた妄執奇譚が、今、幕を開ける。
本書では、ごく身近な限られた食材を使って短時間で作る、高齢者向きの献立や料理の数々をお届けします。食べやすい調理のくふう、栄養の整え方、咀嚼力や嚥下力などが低下した人の食事の注意、また、現場でのいろいろな対応策や、介護にあたるホームヘルパーとしての心得なども、盛り込みました。グループホームなどの施設や、家庭で高齢のご家族の食事作りに携わる人にとっても、参考になるヒントがたくさんあります。
本書は、風景構成法にたいする、そして心理臨床にたいする著者の考えを世に問うたものである。その視角は、端的に、心理臨床の側から、風景構成法の側から「語る」というものである。「対話」というスタイルが随所に取り入れられている。
修行僧29人があつく説いた生きるヒント。
欠陥住宅に泣く人は後を絶たない。その上、原因の究明や解決となると、時間や費用がかかり、極めて困難だ。また、欠陥住宅を建てるような業者は、話し合いにもまともに対応しない。本書は一級建築士らが、建築の素人である一般市民でも闘えるように、業者に対抗する知識とノウハウをQ&A形式でやさしく解説している。