繭里は結婚適齢期だと自分でも思うのだが、恭平との結婚になかなか踏み切れずにいた。親威の若夫婦が助力を惜しまず、いろいろと働きかけてくるが、それでも彼女の心には彼に対する好意以上の、恋の炎は点火しない。その原因の一つは、幼ない項から繭里につきまとう“影”が邪魔をするのだ。心の奥底に巣喰うその“影”と戦いながら、あるとき突然、克服し、彼女はめくるめく愛の充足に身をこがす。現代女性の愛の心理を克明に描破。