田村藤茂の父・仁三郎は火薬に凝り、強烈な花火を造りあげた。この長野生まれの、近代花火の元祖は、競技会で賞金を稼ぎまくる。そのうち、火薬取締法が厳しくなり、「免許」が必要となった。仁三郎は規制を無視、罰金刑を繰り返す。藤茂は借金地獄から脱出のため、本格的な花火師に…。人の涙と花火の華麗さが行間にも煌めく。
「いいかげんにしてよ!」まりあは激怒した。ミツコさんの胸ぐらを、むんずとつかもうとしたのに、つかめない…だって彼女は幽霊だから。ある日とつぜん、まりあの前に現われた彼女。30年前に死んだけれど、心配ごとがあって成仏できない。そこで天国へ行く手助けをしてほしい、って頼まれて、友達になってあげたのに、恩辺しどころかハッピー真っ最中のまりあの恋をぶちこわしにかかった。さあたいへん、恋の結果は天国?地獄?
本書は、東京に店舗を持って活動する60数店の古美術店を取材しました。美術館や博物館の展示品クラスの逸品を主に扱うところ、日常の楽しい食器を主に扱うところ、書画・仏教美術・西洋アンティークなどを専門に扱うところまで、さまざまなお店が登場します。どれも日本の古美術市場の第一線で活動するお店ばかりです。
澄んだ青空に、教会の鐘の音が鳴り響く。きょうから、あたしは広岡みか子。「浩介サンの奥さんです!」って胸を張って言える…はずはない。だって、あたしは男女交際厳禁の高校に通う3年生。バレたら、もちろん退学。大好きな浩介サンと一緒に暮らせるのなら、卒業まで秘密を守るくらい、へっちゃら。ところが、だれかが学校に密告してしまったからタイヘン。あたしに気がある海原くんが?それとも?結婚生活、早くもピンチ。
ワケありな春休みのある日、冬樅が出掛けようとしたとたん、雨が降り出した。「雨なのよね…」と思わず“詠嘆”しちゃうのは、男女交際らしきことをしていた梶谷くんと会って、こっちから「もうやめましょう、さよなら」って言う日だったから。思えばすっごい舞台設定だ、なんてね。けれど、会ってみれば梶谷くん最後のセリフは、「言いたいことはよくわかったよ。じゃーな」。“わかったような口をきく”の決定版だ。カッコワリィ。「あたしにさえよくわかんないことが、なんでわかんのよー」と怒る冬樅、17歳の春は、雨音とともに始まった…。川崎ぶらVS吉田戦車が放つ、“キテる少女小説”。
仕事も、恋も、結婚も、ライフスタイルも、何にも決まらないあなたへ。
実の妹と夫が浮気。その非道さに娘も置いて、身ひとつで大阪に流れついた志麻は、ひと旗あげようともくろむ。美容師時代のその腕と、ひょんなことから習い覚えた無免許マッサージの腕を元資に、法すれすれの男性専科の風俗店を開業する。世界の裏街道を巧みに生き抜き、ついに念願の自分のビルをもつまでに成りあがるのだが、そこに落とし穴が。