クリエイターのための国際的なグラフィックデザイン誌特集:佐藤晃一の自由研究
企画・構成=大西隆介(direqtion Q)+アイデア編集部
デザイン=大西隆介(direqtion Q)
協力=佐藤晃一デザイン室
本特集は2016年5月に逝去したグラフィックデザイナー,佐藤晃一の代表的なグラフィック作品を
独自の編集でまとめたものである。
佐藤は視覚的しじまをまとった箱の連作に代表されるポエジーに溢れたグラフィックを用いた作品で知られ,
世界的に高く評価されている。
また多摩美術大学において教育活動にも注力し,その薫陶を受けたデザイナーは数多い。
佐藤晃一がデザイナーとして活動はじめた1970年前後は,60年代末の学生運動,それに続く日宣美解散,
大阪万博など戦後デザインの啓蒙期が終焉した節目の時期にあたる。
また,多くの若者は既存の社会体制と新たらしい若者文化の価値観のあいだで悩んでいた。
新しい思想としてのロックミュージックやポップアートの影響のただなかで,佐藤の創作上の大きなテーマとなっていたのが,
日本的なポップアートの可能性を探ることであった。
しかも,佐藤の関心は伝統美術ではなく「納豆や豆腐やお茶やご飯」といった日常の世界にあった。
ここでは,横尾忠則の模写や,初個展「アブラアゲからアツアゲまで」など日本的なモチーフを
ポップアートの手法で描くことに挑戦した初期の作品群にはじまり,箱のモチーフやグラデーションの表現によって
独自の境地を開拓した中期,俳句とグラフィックデザインを融合させた「俳グラ」など晩年に至るまでの代表作を
約100点にわたり掲載。
そのほか,佐藤が80年代に雑誌「ミュージック・マガジン」に連載したエッセイ『佐藤晃一のYES EYE SEE』抜粋や
作品解説など,佐藤自身の言葉を混じえて紹介する。
日本的なるものをめぐって
箱の研究
技術からアイデアを
重力からの解放
琳派の遺伝子
冷奴からメザシまで インタビュー=若尾真一郎
デザインとビジュアルコミュニケーション
佐藤晃一の精神と自然(文=佐藤良明)
佐藤晃一さんが亡くなられた。重たい空洞を感ぜずにはいられない。(文=菊地敦己)
多摩美術大学での佐藤先生(文=田口敦子)
抄録『佐藤晃一のYES EYE SEE 1982-83』
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