日本の中世史研究は発展の要素のみを追いかけてきすぎたのではないかー。家族史・女性史の史料論、自然と人間の関わりに内在する宗教問題、戦乱と政治・経済との関連から中世史研究を見直し、新たな中世史像を模索する。
豊臣秀吉の天下支配の完結となった奥羽仕置と、政権の展開過程における特質を追究。宇都宮・会津の仕置令、伊達政宗の上洛、一揆と再仕置などを通して、奥羽仕置の内実と総過程を解明する。巻末に奥羽仕置年表を付載。
満州事変は、蓄積された矛盾の限界点として起きたのではない。重光葵の対中国経済政策に焦点をあて、その実態を解明する。満州事変を予期されなかった特異点として位置づけ直し、日中外交史研究の新たな方向性を示す。
一揆や打ちこわしはなぜ起きたのか。押買、米改め、町人のストライキなど、都市騒擾の知られざる実態を発掘。運動に参加した人々が何を真に問題としたのかを追究し、その要因となった政策や社会経済構造を解明する。
江戸時代の仏教は社会の中でいかに存在していたのか。檀家組織の実態など幕藩権力との関わりを探り、寺檀制度や本末制度の構造を分析。近世国家と社会における仏教のあり方の特質に迫り、地域と仏教との関係を解明する。
大陸や朝鮮半島から人々の渡来や文化の伝播は、古代国家形成に重要な役割を果たした。大和政権とも深くかかわる息長氏などの近江の古代豪族と渡来文化の関係や、志賀漢人・依知秦氏の渡来氏族の活動を多角的に解明。
開国日本は欧米諸国と締結した不平等条約といかに対峙したのか。この条約で生じた紛争解決システム=領事裁判制度が、異文化を尊重する制度として効率的に機能したことを検証。負のイメージ=治外法権の一側面に迫る。
立憲政治を理想の政体と信じた明治の日本。その導入から機能障害に至るまで、政治家やメディア、政党の組織方法、天皇や宮中との関係などに着目して解明。様々な側面から帝国日本の立憲政治の意味を考える最新論集。
本書は「神宮典略中篇」とし、「十三祝詞」以下「二十五造宮織殿舞伎職掌」に至る十三巻を収録したものである。
本書は、江戸時代中期より幕末維新期に至る間の、浅草寺寺中の年次別日並記録の集大成である。本巻には、このうち嘉永四年(一八五一)より嘉永七(=安政元)年(一八五四)までの四年間の浅草寺日記八冊を収めた。
美術工芸品として考察が行われてきた従来の漆器研究に対し、近年急増する近世遺跡からの出土漆器を、日常的な生活什器と捉えて分析。近世の社会構造の一側面に迫る新たな研究成果。巻末に貴重な一覧データを付す。
本書は「神宮典略後篇」とし、「二十六齋宮寮官」以下「三十八雜事」に至る十三卷を收録せり。
古代から中世における多種多様な領域を、日中韓の気鋭の研究者三十二人が集いその諸相を描き出した待望の論集第一冊。「史料論の地平」「文学と文化」「仏教と文化」の三部構成からなり、学界注目の最新論文十一篇を収録。