対馬はどのようにして朝鮮との関係を築き、維持していったのか。対馬の古文書・朝鮮史料を精しく分析し、対馬宗氏が朝鮮諸権益を入手独占していった歴史過程を詳述。知られざる文禄・慶長の役の裏交渉にも説き及ぶ。
中世後期、領主は支配のためにいかなる本拠と領域を設定したのか。様々な活動の中心的空間である本拠を論究。領域の境界の「境目の城」から、領主と領域の関係を考察し、本拠・領域における中世城館の性格を展望する。
南北朝期以後、在地領主は多様な社会集団といかに対峙し秩序を形成したのか。村落社会との接点に生まれた「侍」身分に焦点をあてて社会的存在としての性格を浮き彫りにし、戦国期の畿内近国における在地社会の実態に迫る。
近世中後期、近代化の担い手となる人間像は、いかに形成されたのか。関東・近畿・真宗篤信地帯における、仏教や修験道など近世宗教の原構造、脱呪術化に見られる文化改革など、民衆の行動様式を宗教社会学の視点から解明。
中世末期、短期間に多くの日本人が新しい宗教を受け入れたのは何故か。村落と都市における日本人の従来の信仰生活や社会の仕組みに焦点をあてキリスト教布教の実態を克明に追究。キリシタンの光と影の歴史を解明する。
古代から近世への単なる移行期とされてきた中世都市。多様な構成要素のなかから、宗教都市論を基軸にアプローチを試みる。近世都市のあり方や建築と都市の関係にも論及、重層的な「空間」から新たな都市史を構築する。
近世・近代の経済は江戸・東京の発達に大きく左右された。庶民生活の向上を背景に、先進地産の大坂下り商品に代って、関東周辺の地域生産物が成長した。その代表である醤油と織物の市場や商人像を具体的に描き出す。
日本の中世社会ではいかに政治が執り行われ、またいかなる記録が残されたのか。荘園と在地領主の関わり、新田義貞論、室町幕府の性格、古文書の内容とその変遷などを究明。様々な視点から中世の政治と史料を解き明かす。
法による保護がほとんど得られなかった中世では、自力救済の一形態として私戦が行われた。情報収集の人的ネットワークなど自力救済世界の歴史的特徴を具体的に解明。私戦が公戦へと変わる道筋と親族組織の実態を探る。
記紀は編纂に至る過程の宗教思想によって多くの影響をうけている。穀霊信仰・出雲神話・崇神紀伝承などを検証し、伊勢神宮・宇佐八幡宮の成立や古代豪族の宗教的役割にも言及。古来信仰の変遷と政治の関わりを論ずる。
帝国大学創設の歴史的意義とは。著者が発見した新史料を多用し、大学首脳の諸動向、学位制度創設過程などの検討から解明する。また一九一〇年代の大学制度改革の全貌を究明。現代の大学改革課題に、大きな示唆を与える。
豊臣秀吉の天下支配の完結となった奥羽仕置の構造を実証的に究明。城の破却の度合い、藤木久志氏の「刀狩」説の検討、検地の実態、奥羽仕置の政治史的特質など、奥羽の変化と仕置の実態とを横断面的分析から解明する。
戦後日本において、防衛政策はいかに形成されたのか。自主防衛中心か安保依存かという議論の経緯を、未公開史料とインタビュー史料を活用して追究。政軍関係の視点から戦後日本の防衛体制をはじめて体系的に分析する。
平安貴族は、神仏や霊鬼の祟りに対して用いた陰陽師や呪術をどのように認識していたのか。古記録を読み解き、安倍晴明など官人陰陽師や法師陰陽師の実像、医療・呪詛などの職能を解明。平安貴族の心性を浮び上がらせる。
古墳はいつ、どこで、どのようにして発生したのか。出現期古墳の成立や立地・規模、副葬品の質・量などを徹底分析。原始共同体社会が崩壊し、新たな階級社会=原初的国家が誕生する成立過程と実態を鮮やかに解明する。
中世は救いのない騒擾の世界ではなく秩序も存在した。公権力の制定法とは別の次元で様々な緊張関係と調和を織りなした多様な法慣習や民間習俗を解明。騒擾の原因や秩序のあり方を探り、新たな室町社会像を描く。
戦国期、南伊勢に勢力を誇った北畠氏。城下町・多気や中世村落・上野遺跡、有力一族・木造氏に関わる軍記・絵図などをテーマに、北畠氏研究の最前線へ誘う最新の論考十編を収録。今後の戦国史研究に一石を投じる待望の書。
実証史学の王道を歩んできた編者のもとに結実した最新論集。「日の本将軍」論、大河兼任の乱、大宰府政所体制、醍醐寺の年中行事書、後鳥羽追善行事、中尊寺伽藍など多彩な論考を収録。今後の世中史研究に新知見を示す。
実証史学の王道を歩んできた編者のもとに結実した最新論集。税帳勘会制度、鎌倉幕府と東国、足利義政東寺御成、大師勧請起請文、最上氏の系譜、葦名氏の書札礼など多彩な論考を収録。今後の中世史研究に新知見を示す。