安政期幕政改革の最良の息子。機略縦横、横井小楠の「公共の政」理論にみちびかれ、幕府・諸藩の障壁を撒し、改革勢力の全国的連合に全精力をもやしつづける海舟。しかもついにその夢を実現できなかった彼はけだし不遇の政治家というべきだろう。このような視角から、幕末・維新期におけるもろもろの政治コースのなかで海舟の演じた役割を探る。
本巻は、生業・生産関係や技術についてまとめた。特に、縄文時代における採集・漁撈等の生活について、新鋭な研究を紹介するとともに、農業の問題をも、多方面から把握しようとした。また、土器や鉄器等について生産と技術の両面から考えた。さらに、近年各地で発見されている貨銭について渡来銭の問題や、中世経済との関係を課題にした。
スーパージョー!!敵基地攻略と捕虜救出がキミの使命だ健闘を祈る!!
豊かな研究蓄積をもつ鎌倉時代の政治史関係論文のなかから、「鎌倉幕府の成立」「執権政治」「得宗と御家人」「対外関係」の各分野について、重要な問題提起をしている17点をえらび収録した。これらの論文は、いずれも古文書を用いて論証している点が共通しており、今後、鎌倉時代の政治史を研究する上で、古文書による論証法を学ぶ必読の書となろう。
本書は大学で3分の1世紀にわたって日本古代史の授業を担当して来たものとして、その間に発表した論文の中、記紀に関連あるものから、個人的論争の色彩のつよいものや、内容の特殊に偏した如きものを除いて、一書にまとめたものである。
農産物を商品として販売し、その収入で農家経済を支えねばならない農家は今大きな困難と混迷の中にある。「辺境地」九州は一方では西南暖地的諸条件と地帯構成の多様性に規定されて多様な農産物を供給する能力を有し、他方では、日本経済における産業構成と都市消費人口の偏りの中で、域外の遠隔地市場への対応を余儀なくされ、輸送・貯蔵・保管の物流通的コストの高負担を余儀なくされ、さらに、国家の価格政策でカバーされない自由市場農産物の比重が高いこともあって、経済的・政治的差別を受ける構造に置かれていることは間違いない。本書は九州大学農学部農政経済学科農産物流通学講座で高橋伊一郎教授の指導を受けた者が教授の退官を記念して執筆した論文集である。本書に収録されている論文は対象農産物が異なるだけでなく、検討する問題領域も分散している。したがって、九州の農水産物の市場構成と流通の総花的・概説的な分析書ではないが、農産物市場と流通に関する分析と問題提起は含まれていると思う。
インドの民俗的崇拝の根底をなすものは“霊”である。人間をはじめ、自然・樹木・動物・物などすべてに霊が宿ると信じられ、それらは具体的イメージを伴った神の形となり、人々の信仰の対象となって生き続ける。本書は、ヒンドゥー教・仏教・ジャイナ教・イスラム教・ゾロアスター教などの、さまざまなインドの神々を、図版とともにやさしく紹介した「インド宗教入門書」である。
時代区分、それは人間の歴史認識の根幹である。帝紀・旧辞における古代貴族階級の時代区分観を発掘・復原し、これを武器にして古代王朝交替説と万世一系の皇統思想に初めて全面的批判を展開し、記紀の構成論理と五世紀以前史の研究に新しい視野を拓いた画期的労作。上代文学研究者にも必読の好著。一般読者のために高度の内容が平易に叙述されている。
交通史研究会長児玉幸多先生には、昭和61年12月8日をもってめでたく喜寿をお迎えになります。この慶事にあたり、児玉先生より日頃大変お世話になっている交通史研究会の会員諸賢から、近世交通史の論文集を発刊して先生の御恩にむくいようとの気運がたかまり、昭和59年5月26日(土)、文教大学で開催された交通史研究会委員会の発議によりまして、記念の論文集を刊行することに決定しました。
本巻には、享和3年(1803)から文化2年(1805)までの、3年間分の浅草寺の記録11冊を収めた。すなわち享和3年は、別当代の記録「公私日次記」、役者の記録「御用記」、御納戸の記録「日記」、堂番の記録「御本堂日記」の計4冊、文化元年(享和4)は、別当代の「公私日並記」、役者の「御用記」、御納戸の「日記」の計3冊、文化2年は、別当代の「日並記」、役者の「御用記」2冊、御納戸の「日記」の計4冊、以上合計11冊である。
江戸荒事歌舞伎の源流初代市川団十郎より、明治中期の団・菊・左時代を飾った9代目団十郎までの成田屋歴代の芸道精進のあとと、その演劇界における位置を、厳密な史料批判を基礎にまとめた好篇。豊富な引例とエピソードとによって興味深く説き、思わず読みつづけさせる。新装版にあたって、現代に至る10・11・12代目の章を増補し一層の充実を期した。
本巻では、墳墓と経塚とについてとりあげた。この二つの遺跡は、異質的な観があるかも知れないが、日本人の精神史に関する問題として、祭祀遺跡とともに最も重要なものであり、新しい試みとして、一巻の中にとりあげた。墳墓関係において、葬法や墓の築造、遺骸を納める施設に触れ、埴輪の問題を含めた。経塚については、重要な課題である発生や営造の課題を把えた。
本書は、栃木県那須郡小川町大字小川字駒形に所在する、国史跡指定の前方後方墳の発掘調査の報告書である。
大乗菩薩道の実践に努めた高僧行基の伝記を通して、仏教と政治との葛藤を典型的に示す行基の行動と律令国家の対応を考察する。政府はなぜ行基の徒を抑圧したのか、行基の仏教思想はいかなるものか、山林修行者から聚落の朋党仏教へ転換した契機は何か、四十九院の位置の比定など、新見解を随所に示す。
古代国家形成の舞台“飛鳥”。ここには尽きない魅力がある。訪れる者の心によって、見る者の視角によって、その魅力はさまざまに生れる。本書は、最新の発掘成果を十二分に活用し、飛鳥史の諸相とアジア史とのかかわりを、歴史・考古・文学の諸方面から総合的に把握する。-地図・写真を多数収め、飛鳥散策案内を付すなど、現地見学にも最適。
はじめて成る近世仏教史の本格的概説書。創造的中世仏教を継承した近世仏教は、江戸幕府の宗教政策により、全国民を仏教徒として今日に及んでいるが、真に民衆仏教となりえたであろうか。本書は、民衆側の視点から、豊富な新史料を駆使して、近世仏教の諸相を克明に描き、権力を背景とした仏教教団が、民衆の信仰心まで把握できなかった事実を解明した力作である。