本書は昭和戦前期日本の統治組織・議会制度・法制・軍事、行政機構などの実態を分りやすく体系的に記述し、当時の政治・社会を理解する上での基礎知識を提供する。近現代史研究者はもちろん、マスコミ関係者、読書人にも必備。
懐かしい街並み。郷愁を誘う風景。昭和8年、ここに近代東京の原点がある。幻の写真資料集、待望の完全復刻、今では容易に手に入らない貴重な空撮写真満載。
中世の百姓は、自らの主張や怒りをどのように表現しえたのであろうか。「ミミヲキリ、ハナヲソギ」という地頭の威嚇で知られる紀伊国阿弖(あてがわ)庄の片仮名で書かれた百姓申状を、国語学の成果なども導入して綿密に読み解く。中世の村と百姓の姿をいきいきと描き出すとともに、申状の書き手は誰か、なぜ片仮名で書かれたかを解明する。
本書は、若い世代の感覚で、民俗学がおかれた現状を把握し、新しい構想のもとに、今後のあるべき姿を展望する。また、現在にいたる民俗学の成果を意識しながら、問題意識の多様化に対応するため従来取り上げられなかったテーマを開拓し、社会的要請に応える「発言する民俗学」を提示する。
日本はなぜ太平洋戦争に負けたのか。その原因は明治以来の軍備拡張の歴史のなかにあった。近代日本の戦略構想や兵器開発の矛盾、軍組織の特徴などから、軍拡の恐怖と軍備コントロールの重要性を明らかにする。
故郷の記憶。それは、甘美な記憶であり、郷愁をさそうが、同時に傷ましい記憶でもある。都市空間のなかで展開される、故郷の記憶をめぐるドラマが、故郷の数だけ、いやひとの数だけ展開される。なぜにひとは故郷にこだわり、故郷を論ずるのか。一九世紀後半、故郷をあとにした青年たちの都市体験からつむぎ出される、記憶と空間の文化史。
平安王朝の女性は、宮廷を飾る花ではなく、家政をとりしきり、時には政治まで動かす存在だった。生い立ちから結婚、子育て、老いにいたる年齢による家での役割分担、長寿を全うして至福の時を迎えるまでの一生を描く。
平安時代後期の摂政・関白。白河院による関白罷免と籠居を経験、復権後は次男頼長を支援して嫡男忠通と対立、摂関家を分裂させる。その一方で、院や院近臣の圧力に抗しながら衰勢の摂関家を支え、荘園や武力を集積して中世の摂関家の基礎を築いた敏腕の政治家でもあった。失脚と復権を経て保元の乱後の幽閉に至る波乱の生涯と、その人物像を描く。
23歳で白血病に倒れ、妻にも去られ、病室で幼子を育てながらわずか25歳で世を去ったひとりの俳人。生と死、孤独と絶望、その中で懸命に生き、そこからこぼれ落ちる魂の叫び。その人の名は「スミタク・ケンシン」カメラマンをめざす若者と顕信の俳句との新しいコラボレーション。
医療や諸科学の“近代的な知”に不満や限界を感じた人々は、それに代わる“癒す知”=自然食や心理療法を求めた。玄米食を尊ぶ正食運動や、身心の自然機能により神経症を治療する森田療法は、宗教や霊性と科学の知をどのように融合させようとしたのだろうか。痛みや苦しみから解放された「生きがいある生」を探ろうとした、もう一つの精神史。
本書は合気道の初心者を対象に、基本動作と代表的な基本技法について豊富な写真とともに詳細に解説。各技における陥りやすい誤りや、上達のためのポイントなどが丁寧に説明されており、独習、復習に最適の合気道書。また、日英対訳版となっているため、指導者にとっても海外での合気道の普及、指導の際のマニュアル本として必携の書。巻末に、初代養神館宗家・塩田剛三の貴重な説明演武連続写真を収録。
忘れてはならない負の記憶、植民地支配。日本人とアジアの人々との認識のギャップは、なぜ生まれたのか。旧植民地都市の姿から日本の植民地支配の特徴を浮彫りにし、今日のアジアと日本の問題を考える手がかりを示す。
川を遡るサケを下流で取り尽せば、産卵できずに絶滅してしまう。川という資源を共同で管理・利用する制度=コモンズは、どう発展してきたか。現代における公共性や環境破壊の問題解決にもヒントを与える環境民俗誌。
阿久悠(あく・ゆう、本名・深田公之=ふかだ・ひろゆき)さんが2007年8月1日午前5時29分、尿管がんのため東京都港区の慈恵会医大病院で死去されました。ご冥福をお祈りいたします
悪友をもじったペンネームで数々の作品を送り出した。名曲は、昭和という時代を彩り、人々の心を温めてきた。手掛けた作品は5000曲。6800万枚を超える総売上枚数を誇り、オリコンランクインシングルは511作を数え、オリコン作詞家ランキングの頂点に立っていた阿久悠さんが天へと旅立たれました。
作詞家、阿久悠の40年に及ぶ輝かしい歩みをCD5枚組で括った力作アンソロジー。単に時代を追うだけの安易な編集は避け、ディスクごとにテーマを分けて構成。とりわけ興味深いのは、特典盤扱いの[5]。ヒットしなかったが愛着のある曲を中心にまとめられた一枚だ。これらの埋もれた名曲群には、阿久が時代に対して放った“くさび”が突き刺さったまま。そこに時代を超えた生々しさがある。北沢夏音氏によるロング・インタビューと収録曲全曲解説を掲載した分厚いブックレットも素晴らしい仕事だ。
風葬・遺棄から仏教的葬儀・共同墓地へ。中世の葬墓制はいかなる変遷を遂げたのか。触穢・屋敷墓・京師五三昧など葬墓制の諸相から実態を究明。都の貴族・武士らの葬儀が、地方や庶民へ浸透する様相を明らかにする。
明治時代のジャーナリスト。不遇な家庭環境や司法省法学校退学事件など、青年期に雌伏を余儀なくされるが、政界との人脈を得て中央進出し、新聞記者の道を選ぶ。徳富蘇峰らと対峙し、時代の直面した事件に独自の論説を展開する一方、『日本』主宰者として新聞社経営に腐心する。時流に迎合しない「独立新聞」をめざした孤高の人生51年に迫る。