明治末期に“発見”され日本領に編入された中ノ鳥島、一攫千金を夢見る冒険商人たちが探検を重ねたグランパス島…。実在はしないこれら日本列島南方海域の島々の、“誕生”から“消滅”までのミステリーを解きほぐす。
桜の化身とされる女王が治める和桜国。“いろは”はその日が女王の観桜会と知らず、桜の枝を切ろうと騒ぎを起こして捕らえられてしまう。罪を償う代わりに「女王に謁見でるようなレディ」となるよう告げられたいろはは、宮廷魔術師である強面の男・紫乃宮圭人の邸で淑女教育を受けることに。まずは読み書きからいろはのレディへの一歩が始ま…る!?
経済学者シュンペーターは「資本主義の欠点は自ら批判されたいと願っている点だ」と述べた。批判すらも飲み込み自己変容を遂げていく「未完」の資本主義。とりわけ近年は、テクノロジーの劇的発展により、経済の形が変わり、様々な矛盾が噴出している。本書は、「テクノロジーは資本主義をどう変えるか」「我々は資本主義をどう『修正』するべきか」について、国際ジャーナリスト・大野和基氏が、世界の「知の巨人」7人に訊ねた論考集である。経済学、歴史学、人類学…多彩な視座から未来を見通し、「未完」のその先の姿を考える、知的興奮に満ちた1冊。
あの地下鉄線が大きく進路を変えた理由は?専用ホームだけつくって用途変更した通勤新幹線計画って何?現在準備中の新交通システムは意外な方向へ延びる!?高度経済成長からバブル期、そして21世紀へ。時代が選んだ路線と選ばなかった路線、それぞれの事情は?まだまだ広がる鉄道網は、どんな理由でその形を決めるのか。人気鉄道アナリストが膨大な資料と綿密な取材をもとに、昭和40年代から現在までの消えた鉄道計画と未来予想図を明かす。
時代劇に見える宮廷を彩る女性や武士の装い、住居と乗り物、合戦シーンを、永年ドラマの風俗考証に携わってきた著者が、豊富な図版を用いて平易に解説。舞台裏エピソードもちりばめ、読むほどに時代劇が楽しくなる一冊。
二世紀に成立した倭国は、東アジア諸国との交流で発展すると同時に、戦いにも巻き込まれてゆく。倭国大乱、百済・加耶諸国の紛争、白村江の戦への過程を検証。激動の国際情勢のなかで、倭国が経験した戦争と外交を描く。
北近江を舞台に、亮政・久政・長政と三代にわたる繁栄を誇った戦国大名浅井氏。「国衆」から下剋上して領国支配を展開。小さな戦国大名でありながら織田信長と互角に戦い、軍事的に敗れはしたが、畿内近国ゆえに中央政治史に大きな影響を与えた。北近江の地域社会が生んだ戦国大名浅井氏の足跡から浮かび上がる、新たな戦国大名像とその時代を描く。
太閤秀吉の妻=北政所と淀殿の確執が、豊臣家を滅亡させたのは真実か。北政所の役割や諸大名との関わり、秀頼の母としての淀殿に注目。大坂の陣までの二人の動向から、近年見直されつつある“女の戦争”の真相に迫る。
カンナとラヴ、再びスウシャイへ。今度はクトゥルフ神話マニアの司書ネアも同行し、孤島に建つ古い城へ辿り着く。そこで三人は、舌鋒鋭く次々と物語を酷評していく記憶を失った少年ビアスと出会う。彼を仲間に加え、一行は海を渡って芸術の国ウルタールへ。そこで待っていたのは、謎の猫耳老人ワイルドと飼い猫のパラレロピペドン、美的感覚を狂わせた芸術家たち、街を支配する無数の猫、奇妙なメダルを売り歩く黄色いジャケットの商人、禁書『黄衣の王』。新たな冒険の舞台で、ラヴは猫に萌えまくる!クトゥルフ神話の祖・怪奇小説作家ラヴクラフトを美少女化!名状しがたき暗黒冒険ファンタジー第2巻。
絵画とは何か。描くとはどのような行為なのか。アトリエで、記憶の中から、人や物との出会いの瞬間ー創造への道は開かれる。日常の中で問い続けた独自の思索を集成する、横尾忠則的現代美術への旅。
隅田川沿いでの生い立ちを反映した最初の小説「老年」、以後、芥川は多彩な短編小説、小品を織りなした。素朴な娘の愛情の表現に、憂鬱な感情を忘れる「蜜柑」、中国古典に拠った夢と詩情を描いた掌篇「尾生の信」…。愚ともいえる素朴で正直な人間にも、作者は優しいまなざしを向ける。芥川の佳作二十篇を選んで収める。
漢字の音訓や外国語のイメージを無理に組み合わせた“読めない”名前が増えたのはなぜか。変則的な読みの名前で日本語が変化していく可能性や、漢字と人名の歴史を探り、名づけと漢字の用い方を文化の問題として考える。
その死体は、三重の密室の最奥に立っていた。異様な形で凍りついたまま…。そのとき犬神館では、奇怪な“犬の儀式”が行われていた。密室のすべての戸に、ギロチンが仕込まれ、儀式の参加者は自分の首を賭けて、“人間鍵”となる。鍵を開けるには、殺さねばならない。究極の密室論理。これは三年前に発生した事件の再現なのか。犯人からの不敵な挑戦状なのか。瞠目のミステリー。