源頼朝によって樹立された鎌倉の武家政権は、承久の乱を経て京の公家政権を凌駕するまでに成長する。日本の中世が形作られる、この時代の政治・社会・文化・宗教等の動きを京と鎌倉との二つの王権という視点から描く。
戦後の進歩的知識人の代表、思想史学のリーダーであった丸山真男。超国家主義、「原型」・「古層」を追究し、山崎闇斎学派、荻生徂徠、福沢諭吉らの思想構造を解明する丸山思想史学を再構成。丸山に対する論評を詳述。
北条氏は源氏から鎌倉幕府を乗っ取った悪党だったのか。北条政子と源頼朝、源平合戦、承久の乱、蒙古襲来、後醍醐天皇らの挙兵などから、鎌倉幕府と運命を共にした北条氏の興亡を辿り、今までの北条氏像を一新する。
弘法大師空海の高野山、大和から紀伊へ人をつなぎ、文化を生み出した紀ノ川。高野参詣、雑賀衆と信長、城下町和歌山、天誅組の乱など、紀ノ川周辺の歴史を再現。和歌の浦の歴史と景観保存や、華岡青洲ら偉人にも光をあてる。
江戸と京都を結ぶ「海つ道」=東海道の吉原宿から亀山へ。四日市を起点に伊勢路で神宮へ向かう。今川・織田・徳川氏の動向や、伊勢神宮などの歴史を訪ね、東西文化の伝達路として重要な役割を果たした特質を探る。
幕府の財政構造を解明した画期的大著。『徳川宗家文書』などから、新たに近世中・後期の幕府の収支決算書を発掘して徹底分析。全国の米蔵と江戸御金蔵の管理・運営や役割・機能を追究する。巻末に「収支決算書」等を付載。
一揆や打ちこわしはなぜ起きたのか。押買、米改め、町人のストライキなど、都市騒擾の知られざる実態を発掘。運動に参加した人々が何を真に問題としたのかを追究し、その要因となった政策や社会経済構造を解明する。
鎖国から開国へと向かう大きな時代の流れを、人びとはどう感じていたのか。情報操作により民衆心理のコントロールをはかった幕府、独自に情報を入手した村人たちを通して、異国情報を求め奔走した幕末日本の姿を描く。
今で言う都知事や裁判所長官などを兼任し、激務のために過労死することも多かった江戸の町奉行。その職務と、配下の与力・同心の生活、贈収賄事件などの裁判記録を探り、時代劇のイメージとは異なる江戸の町奉行の姿を描く。
江戸時代、旅人が行き交う街道で栄えた宿場町。宿場の財政、旅籠屋で春をひさいだ飯盛女、人馬を提供した周辺の村、朝鮮通信使への豪華接待など、知られざる宿場運営のシステムとは。宿場を支えた人びとの姿が、いま蘇る。
幕末維新の英雄=西郷隆盛。薩長盟約、江戸無血開城、廃藩置県など近代化の基礎を築きながら、なぜ西南戦争を起こし悲劇の最期を遂げたのか。多くの日本人を引き付けた西郷の魅力に迫り、波瀾の生涯と激動の時代を描く。
武家の都として知られる鎌倉の、宗教都市としての側面に光を当てる。僧侶や暗躍する陰陽師の実像を描き、多くの怨霊鎮魂の寺がある、知られざる宗教世界を解明。寺社を宗派別に収録・網羅した、格好の散歩の手引き。
一匹、一双、一振…。日本人は物をどう数えてきたのか。中国の史書や正倉院文書に源流を探り、数え方の作法、方言など、日本独特の表現法を育んだ歴史を現代までたどる。数の世界を分かりやすく説いた“数え方事典”。
明治以降、戦死者は神として祀られた。個々人の死を慰霊・追悼・顕彰の対象とするシステム、あるいは柳田国男『先祖の話』に集約される知はどう形成されたのか。メディアによる報道や、郷土の栄光としての公葬から探る。また郷土の藩主や戦国大名の顕彰が、ナショナリズムへと再編成される様相を検証。祭祀行為がはらむ多様な政治的力学を考える。
独断の違勅調印、安政の大獄など、“独裁者”と評された大老井伊直弼。だが、実像はまったく違った。埋木舎から彦根藩主、そして桜田門外に斃れるまで、茶道から会得した、凛とした信条に生きた政治家の新たな個性に迫る。
江戸時代に生きた数多い農民たち。その日々の暮らしや村の環境はどのようなものだったか。近世史の泰斗が蘊蓄を傾け、分かり易く農民と農村の実態を解き明かす。半世紀を超えて読み継がれた不巧の名著、完整な新版で甦る。
士農工商の江戸時代、少しでも上の身分への“身上り”を望んだ人びとがいた。同時に、他人に出し抜かれたくないという“上下無し”願望も存在した。これまでの身分制の見方を超えた社会を描き、自由と平等の関係を考える。