戦国乱世を駆け抜けた甲斐の虎=武田信玄。信濃侵攻から川中島の戦い、西上作戦に至る軍事、その基盤である領国経営としての棟別役、甲州法度などの内政、さらに家臣団編成に及び、信玄のすべてを詳細かつ巧みに描く。
「大岡越前」として名高い江戸中期の幕臣・大名。将軍吉宗の信頼の下、若くして江戸の町奉行に抜擢され、防火対策や物価政策など、首都江戸の機能を強化。また、地方御用・寺社奉行を歴任し、幕府最高の司法・立法機関である評定所一座に加わり、各地の紛争を裁定する。全国各地の史料を博捜し、享保改革を支えたその実像に鋭く迫る、本格的伝記。
明治時代の半ばから、日本人の主食=米は不足し始めた。凶作による米価暴騰、輸入米の増加、残飯屋の繁盛、流通の変化、産米改良の動向、節米生活下の家計を辿る。米不足との闘いが、「米過剰」の現代に伝えるものを考える。
大きく変貌して倭国に伝来した仏教は、どのような姿だったのか。時の東アジア世界、倭人社会、「聖徳太子」において仏教とは何だったのか。日本仏教の夜明けと「太子」の仏教を、世界仏教のなかに甦らせた古代仏教史入門。
美術は誰のため、何のためにつくられ、どこに向かうのか。東西の「美術史」展示の比較、戦後の日本美術の社会構造の検証などから、「美術」「美術史」そして「人間」存在の現在と、アイデンティティーを捉え直す注目の書。
資本主義の「外部」とは?革命観のコペルニクス的転回とは?『国家と革命』、『何をなすべきか?』という二つのテクストから立ち現れる、「リアルなもの」の探求者の思考の軌跡。資本主義の純粋化が進む現在、レーニンという思想史上の事件を捉え直す。
徳川二百数十年の幕藩体制を支え、経済・文化にまで影響を与えた参勤交代。膨大な諸藩の史料から例を博捜、道順や行列規模、費用等を解説。制度の成立以前から、窮乏大名の道中状況まで、参勤交代をくまなく知る一冊。
「お父さんの仕事って、どんな?」もしも子供からこう質問されたら、あなたはどう答える?本書は、実際に子供に説明するときのためにはもちろん、自分自身の仕事を見直すために、また新人が仕事を理解するためにも有用である。
近松門左衛門=心中物禁止、英一蝶=三宅島流罪など、江戸時代は、筆禍事件の続発ときびしい言論統制、弾圧の時代であった。市民的な文化活動の盛行と幕府による統制・弾圧の実態を当時の世相を交え、わかりやすく描く。
江戸のガイドブック『江戸名所図会』などの木版印刷物には、現実にはない虚構の江戸が描かれていた。消える江戸城と成長する場末。近世的「平和」の表現。江戸の人びとは自らをどう知らしめようとしていたのか。
日本民俗学の父、柳田国男は、その後半生を新しい学問“民俗学”の開拓に捧げた。日本の名もなき人々の生活の中に歴史を発見しようとした柳田の民俗学の成果と限界を示しながら、今後の民俗学の方向性を展望する。
日本人は、何を食べてきたのか。各時代の食の移り変わりや、伝統をつくりあげ、支えてきた人々にも視点をあて、食材の種類や生産法、調理法・調味料・食器など食全般にわたり、古代から現代までの食生活の歴史を詳説した。
山東半島の利権をめぐり第一次世界大戦に参戦した日本。ドイツとの開戦、英・中国との外交交渉の過程からその国家的意志を追究。シベリア出兵へ続くヨーロッパの政治状況の構造変化を、反戦思想家の足跡から検証する。
『古事記』はひとつの完結した作品として把握されねばならない。「高天原」「葦原中国」「黄泉国」「根之堅州国」の位置付けに新たな見解を示し、『古事記』が上中下巻を通して構築する独自の世界観・主張を解明する。
原産地探しや世界に広まった歴史調べから、食べ方、栄養分析まで、やじ馬精神を丸出しにして綴った、有用植物たちの物語。資料漁りは古典から最近の単行本までおよそ100冊を中心に、新聞の切り抜き、各種パンフレットに及ぶ。お茶や紅茶、海苔や昆布、オリーブオイルも加え、76種を収録。
おじいちゃんのみかん畑をけんめいにてつだうあやこのさわやかな笑顔がひろがるものがたりー。第15回遠鉄ストア「童話大賞」受賞作。
江戸時代の大名・旗本や幕府の役人が一覧できる名鑑=武鑑。紋所や大名行列の道具が絵入りで描かれ、二百年以上もの間、ロングセラーとなったその魅力に迫り、出版をめぐる須原屋と出雲寺の百年にわたる攻防を追う。