幕府を震撼させたキリシタンの武力蜂起「島原天草一揆」。原城の発掘成果や豊富な文献から戦いを検証。経済闘争か、宗教戦争か、あるいはその問いに問題はないか?近世社会に大きな影響を与えた一揆の歴史的意義を探る。
近代日本最初の対外戦争!国民形成に決定的な役割を果たした日清戦争。朝鮮をめぐる日清の確執から台湾征服戦争まで、戦史を中心に全貌に迫り、近代日本の針路をアジア侵略へと導いた日清戦争を歴史的に位置付ける。
明治政府が推し進めた文明開化政策。華やかさの一方、入墨・混浴などを禁止した違式〓(かい)違条例が施行された。風俗統制は、日本社会に何をもたらしたのか。実態を探り、日本人の文明観に影響を与えた文明開化を問い直す。
鎖国と呼ばれた時代、江戸にオランダ人の定宿、長崎屋があった。将軍謁見に出府したカピタンの宿を、杉田玄白、平賀源内らが訪れ、そこは異文化交流のサロンであった。江戸は本当に鎖国だったのか。長崎屋の全貌を描く。
縄文・弥生から近世までの日本人の動物観の移り変わりを、土製品や石製品、動物骨や動物絵画など、多彩な考古資料で描く。狩猟・漁撈・肉食の変遷や、イヌ・ウマ・ブタ・鳥など、家畜と日本人との深い関わりにも迫る。
儀礼や政治的演出に組み込まれた馬や犬、食料や動力として利用された牛や豚、乱獲と保護の合間で翻弄された鯨や鹿…。歴史上に刻まれた人と動物たちの関係性を多面的に描き出し、新たな歴史叙述の可能性を模索する。
1300年、詩人ダンテがフィレンツェの執政官に任命されたその夜、モザイクの名工が壁画に埋めこまれたまま死体で発見された。そしてそのそばに刻まれた謎のメッセージと五芒星ー。東西交易で繁栄する自由都市フィレンツェには、商人だけでなく叡智を極めた学者や職人たちが集まる一方、教皇の支配を強めんとする勢力も暗躍していた。そんな不穏な空気のなか、殺人に仕組まれた魔術的記号の謎に挑むダンテがつかんだ事件の真相とは?イタリアでベストセラーの衒学ミステリー。
競馬文化導入の背後にあった国家戦略、「自然」な食肉をめぐる生産者と消費者の葛藤、食虫文化が形成する新たな共同体…。近代から現代へ発展・変貌を続ける人と動物のさまざまな関係性を描き、その未来像を模索する。
古代道路研究の第一人者が長年の成果を集大成!多彩な国別地図などを駆使して分かりやすく解説する。畿内、東海道、東山道、北陸道、山陰道、山陽道、南海道、西海道の古代道路ごとの編成。最新の成果をもとに旧国別に駅や国府・郡衙の場所、道路の通ったルートを復原し、古代の地形・景観などの自然環境を推定する。地名・空中写真・条理地割・地図、現地調査など古代道の研究方法を紹介。調査、研究を進めるために役立つ詳細な「注」と「索引」を付す郷土史、古代史研究に必携の事典。
神話や伝承の中を躍動し、信仰の対象となった動物たち。彼らに対する日本人のまなざしは、歴史の中でどう変化したのか。アニミズム、殺生や動物供養などを再検討し、宗教・信仰の視点から動物との向き合い方を問う。
古代中国で生まれた風水は、大地の気の流れと土地の相を判断し、災禍を防ぎ幸福を招くことを目的としている。だが日本では、家屋の間取りの吉凶を占う家相として独自の発展を遂げる。家相判断のルーツと歴史を探る。
近代社会でも深く根付いていた堕胎。しかし帝国主義段階において徐々に消滅し、人間の存在する権利が保証されていく。背景には何があったのか。生と性に光をあて、消えていった“いのち”を描き、近代日本の現実を抉る。
領主館の主マーティが心臓発作を起こして突然の死を遂げ、継娘のジェシカは唯一の遺産継承者として葬儀に臨んだ。そこへ思いがけない弔問客、アンゲロスが訪れる。七年前ジェシカは、馬の飼育係として雇われた彼に恋をしたが、まるで相手にされず、ある夜、下着姿で彼の部屋に忍びこんだ。この件がもとで、アンゲロスはマーティに追い出されたのだった。そんないきさつの彼が、なぜ葬儀の場に現れたの?とまどうジェシカに明かされたのは、継父がギャンブルで破産し、今や遺産は借金を肩代わりしたアンゲロスのものだという事実だった。「きみが相続するものなど、ひとつもないんだ」彼は冷たく告げた。
なぜ、いまなお私たちは小島信夫に魅了されるのか?作家と評論家が縦横に語りつくす等身大の魅力とその実像。小島信夫との発掘対談も併録。
江戸時代後期、文人と呼ばれる知識人たちの寄り合いの場があった。そこでは学問や詩・書・画・狂歌などを楽しみながら、身分を超越した自由な個人を生み出した。サロンに集う文人たちの交遊と風雅の世界を描き出す。
夏目漱石など明治・大正期の若者を魅了した幕末の文人官僚・林鶴梁。十九年に及ぶ日記からその暮らしぶりを描く。家族を慈しみ、誠実に職務を果たす日々。幕府への忠節と新時代への思い。激動の時代と人間像が浮かぶ。
「国語」とは何か。それは明治期に入為的に作り出されたものだった。幻想の「純粋な和語」、内向きの国語教育、侵略戦争と日本語教育、「日本語=日本文化」という図式…。言語の境界を越えた「○○語」への道を探る。
大敗した白村江の戦いの影に浮かび上がる後の新羅王金春秋。彼は日本の朝鮮半島外交にいかなる影響を与え、日本はなぜ戦争を選択したのか。白村江への道を臨場感溢れる筆致で描き、“古代東アジア大戦”の真実に迫る。