全集未収録の珠玉の随筆9篇、未発表稿1篇、女性との往復書簡、英国博物館宛陳状書など、新資料を満載。
奈良国立文化財研究所、国立歴史民俗博物館で、永年、典籍古文書の調査研究を行ってきた著者の、中世史料に関する論文を集成。数多く原本そのものに接した経験を踏まえた明快な叙述と精緻な考察は、古文書学・書誌学における貴重な成果である。
近代都市ー、それは近代文明がもっとも尖鋭に具現化された世界であった。そして、都市化はそれまでの民衆の生活を大きく変え、彼らはあらたな体験をすることとなる。幕末から戦後までの都市空間の変遷と、そこに生きた人々の姿を、病いと衛生・「市民」の創出・都市騒擾・戦争と都市・戦後の都市生活などさまざまな局面から万華鏡のように描き出す。
多くの謎につつまれた鎌倉時代を、公武関係を中心として、後白河法皇と頼朝、承久の乱、執権政治、得宗専制、人物論、幕府の滅亡、等々に焦点を当て、史実のベールを次々に剥いでゆく。興趣あふれる筆致と簡明で分かりやすい文体の中に、鋭い指摘や新しい見解が随所にちりばめられている。中世史学をリードしてきた著者が描く恰好の鎌倉時代史概説。
一向一揆の最大で最後の戦いとなった石山合戦。信長に惨憺たる敗北を喫した本願寺教団が、この合戦によりさらに発展する理由は何か。中世民衆の心をとらえた一向宗の謎と今まで明らかにされなかった石山合戦の本質に迫る。
日本絵画史上の狩野派は、四百年にわたり強大な勢力を形成し、画壇での枢要な位置を占めてきた。本書はその発端・成立から大成・変容・展開・終焉の史的流れを実証的に跡づけた最初の書。流派活動を後援した支持層を詳述し、独創的な狩野派史論を展開する。
熊野修験は教派修験成立の母胎をなし、中世庶民宗教を主導したが、未だ体系的に論じたものはない。本書は、熊野修験が最も活況を呈した中世期に焦点を当てて、その思想と儀礼、成立、展開、各地での活動等を跡づけた。
自然に畏怖を感じていた中世の人びとは、地震・洪水・戦乱などの災害は神の摂理であり、その前兆があの世から送られてくると考えた。天文・動植物などに見られる様々な異変から、中世人が災害をどう予測していたかを考える。
新宿西口で若い女の上半身だけの死体が発見された。その日、被害者はワインを持って付近にたたずんでいたらしい。数日後、ワインを持った女をマークすれば犯人が現れる、との密告があり、女囮捜査官の北見志穂は犯行現場に張り込むが、その女が高速バスに乗り込んでしまった。やむなく上司の遠藤に追跡を委ねるが、生きて乗車したはずの女は収容トランクに入ったボストンバッグの中で死体となって発見され、遠藤は行方不明-さらに同僚の広瀬と水樹が惨殺され、特被部は壊滅状態に!最後の標的は志穂なのか…。
21世紀間近の現代社会も、さまざまな差別を内包し生成している。身分と差別を生み出した歴史の原点にかえり、卑しい身分とされた人びとが、何故に差別されることになったのか、天皇制や宗教思想などを通して解明。
悪党は武装して歴史に登場した。派手な甲胄、光りきらめく太刀・長刀のいでたちは、綾羅錦繍に通じる反逆の表象でもあった。ゲリラ戦の楠木正成、バサラの佐々木道誉らをまじえ、内乱を生きた人間の意識と行動にせまる。
世界に眼をむけた合理主義者・福沢諭吉、二宮尊徳の高弟で報徳思想の実践者・福住正兄。西欧思想を取り入れながら、伝統の思考でそれを読み替え、世界と地域の視座から近代化を推進しようとした人々の理想と行動を追う。
長い歴史をもち、今も独特の文化を世界に向けて発信しつづけている地・インド。インダス文明の興亡から今日の核問題、海外インド人の活動にいたるまで、様々な側面から、4000年の歴史をつづる最新のインド通史。