蒙古襲来の時代を生きた第8代鎌倉幕府執権。外圧を背景に、自らの権力確立のため、北条一門の名越氏と異母兄時輔を反得宗とみなして誅殺。34歳の若さで没した生涯を、今まであまり利用されなかった『建治三年記』や無学祖元の語録などを通して詳細に描写。蒙古問題の宗教的代弁者、日蓮にも説き及び、歴史の真相を浮き彫りにする。
幕末の長州藩士。吉田松陰に師事。松陰の死後、上海に渡り、欧米列強の植民地と化した清国に、兵備の充実を痛感して帰国。四国艦隊下関砲撃事件に際し、身分にとらわれない士庶混成の奇兵隊を創設、尊攘・討幕運動を推進するが、維新の夜明け前に病没する。短い波乱の生涯を、数々の英雄的エピソードを検証しつつ克明に再現し、その実像に迫る。
東アジアの大変動期である5・6世紀、朝鮮半島から大量の渡来人が日本列島に移住してきた。畿内の有力豪族はなぜ彼らと結び付こうとしたのか。渡来系技術者の掌握をめぐる諸豪族の動向を探り、大和政権の実態に迫る。
敗者は勝者から否定され、歴史から忘れ去られるのか。北朝初代の天皇、上皇となった光厳院は、南朝の後醍醐天皇や足利尊氏に翻弄され、二度も生き地獄を味わった。歴代天皇から外された悲劇の生涯とその時代を描く。
鎌倉時代末期に分裂した王統の対立は、やがて武家勢力の分裂と結び付き、半世紀をこえる南北朝動乱の時代となる。この長期にわたった内乱の時代の政治・経済・外交・社会・文化を、東アジアという文脈の中で描き出す。
本書は、皇室に関する諸般の制度の歴史的沿革を明らかにすることを目的として、皇室制度に関する基本的史料を編目別に編修刊行するものである。
国際社会の波の中で、戦国大名が覇権を争った動乱の時代。関東の北条氏、中国の毛利氏といった広域の地域国家の成立、軍事物資の運搬、交差する謀略やうわさ、民衆の知恵など、群雄と民衆の躍動する時代を明らかにする。
近世の社会経済の実態はいかなるものか。新史料を駆使し、「検地と年貢」「情報」「産業と市場・金融」という視点から村落の経済システムを実証的に論究。農民の具体的な生活を浮き彫りにし、新たな近世社会像を描く。
ペリーの来航により、開国を迫られた幕末日本。緊迫した東アジア情勢の中で、一旦は鎖国に迷い込みながら、それからの脱却を果たした徳川公儀の政権運営を詳述する。外交政策の新しい解釈を試みた日本開国史の決定版。
平安時代中期の天皇。外戚である藤原氏の摂政・関白、とくに道長と協調して政務や儀式を統括し、王権と摂関家の安定を築く。漢詩や和歌、笛に優れ、王朝文化を開花させる一方、定子や彰子などの后を寵愛し、理想的天皇像の原型となった。古記録や文学作品を丹念に読み解いて、31年の短い生涯を辿り、「英主」一条天皇の新たな実像に鋭く迫る。
内気で多感なシーリアは母親や周囲の人々に温かく見守られ、バラ色の子供時代を過ごした。やがて美しく成長した彼女は、ダーモットという危険な魅力の男に惹かれ、婚約を破棄して彼の元に走る。だが、夢見がちなシーリアと現実的なダーモットとの間には次第に亀裂が生じていく。愛に破れた女性の行き着く先とは。
明治維新によって、日本は近代国家へと変貌してゆく。新政権の実態や、廃藩置県・徴兵令や西南戦争など、変革期の政治・社会の動きを具体的に探る。また、天皇の役割、岩倉使節団、博覧会から文明開化の時代を描く。
壇ノ浦で海に沈んだ女房、女性だけで戦った領主層の妻…。女性たちが戦争の被害を受け、加担してきた軌跡を社会状況やジェンダーの変化と重ねて辿る。紛争を平和的に解決した役割にもふれ、女性と戦との関わりを考える。
大江広元は鎌倉時代前期の政治家。もとは朝廷の実務官人であったが、源頼朝に招かれ草創期の幕府の中心的存在となる。政所別当として守護・地頭制の整備に関わり、朝廷・幕府間の交渉で卓越した政治手腕をふるった。頼朝没後、将軍頼家・実朝を支えつつ、北条氏とも協調を図り武家政権の確立に貢献した文人政治家の実像を、新史料を駆使して浮き彫りにする。
今で言う都知事や裁判所長官などを兼任し、激務のために過労死することも多かった江戸の町奉行。その職務と、配下の与力・同心の生活、贈収賄事件などの裁判記録を探り、時代劇のイメージとは異なる江戸の町奉行の姿を描く。