ノーベル経済学賞受賞者センが共著者ドレーズとともに、急成長を遂げるインドが抱える経済・政治・社会の歪みを鋭く分析。貧困・格差の深刻化と民主主義の機能不全に陥る日本社会への警鐘ともなる、必読の書。
明治時代、在家から僧となり、サンスクリット学、仏教学の世界的権威となった人がいる。荻原雲来と渡辺海旭である。この二人はドイツに留学して起居を共にし、ドイツの師が菩薩と呼んだほど刻苦精励した。本書は当時ドイツに留学した人びととこの二人のドイツ体験を追ったものである。
インドとパキスタンの思惑や国際社会の駆け引きに翻弄され、絶望的な分離・独立運動を闘うカシミール地域。錯綜する紛争の背景を説き明かし、「民主大国」インドによる知られざる人権侵害の事実に迫る渾身のルポルタージュ。2005年カシミール大地震の詳細なレポートを含む。
豊かな消費市場として発展を始めたアフリカが、18・19世紀の世界経済の興隆に果たした役割とは。奴隷貿易史観をこえ、現地の動向からインド綿布への旺盛な需要がもたらしたインパクトを実証、グローバル化の複数の起源を解き明かし、西アフリカの人々の主体的活動に新たな光をなげかける。
モンパとは誰のことか?ブータン・中国(チベット自治区)の国境地帯に住む、インドの指定部族モンパの現在を、衣装・伝統文化・言語・自治要求・観光の視点から明らかにする力作論考。
7世紀、戒律を学ぶため、海路によりインドに渡った中国人(僧侶)義浄三蔵が、留学先ナーランダー寺での衣食住にわたる戒律の実態を報告した第一級史料『南海寄帰内法伝』を、正確かつ平易に現代語訳した画期的労作。
ショーペンハウアーとニーチェー「無」と「ニヒリズム」によって西洋哲学の近代の扉を開いた二人の、インド思想との関わりを文献学的に論証する。
非暴力の善の連帯を世界へ!精神の大国・インドが生んだ“偉大なる魂”ガンジーの希望の哲学をめぐる語らい。
科学者による古代ヨーガ聖典の解説。心の法則をコンピューター理論で解く。マハーバーラタの聖戦を舞台にしたクリシュナ神とアルジュナの物語。
今から1500〜2000年前のインド・スリランカを舞台に、輪廻転生、因果応報の世界観に基づき繰り広げられる人と動物たちと仏教の摩訶不思議なおはなし。
腰布とサンダルしか身につけなかったガンジーは、なぜこのように有名なのでしょうか?職業ももたず、財産とよべるものは、何ひとつもつことがなかったガンジー。しかし、ガンジーが暗殺されたとき、その葬儀には、世界の半数以上の国の代表者たちが参列しました。ガンジーは、イギリスから、その帝国の宝石であったインドを、戦争もなしに手放させ、独立に導いたのです。ガンジーは、現代の聖者でした。その信念のうち、何よりも大切なのは、非暴力主義で、不正とたたかうには暴力を使うほかないのだという迷信をやぶり、不正をうちくだき、勝利をもたらしたのです。小学中級から大人まで。
タゴールが崇拝した15世紀インドの宗教詩人。機織りとして生きたこの詩人の、ヒンドゥーでもイスラームでもない独自で苛烈な宗教思想の全貌を語録=詩句集の綿密な読解により提示。
ヒンドゥー教から仏教への集団改宗から半世紀、「父なる指導者」亡き後の不可触民解放運動の現在。自己尊厳を希求する活動家たちの闘争、改宗後もヒンドゥー教の神を信仰する在家信者、被差別者の中から被差別者が生まれる矛盾、アンベードカルの意思を継ぐ佐々井秀嶺の宗教実践。ナーグプル市の反差別運動を巡って立ち現れる「対立と寛容」を仏教徒(元不可触民)の視点から描き出す。
移民女性看護師の生活世界に迫る境界侵犯的エスノグラフィー。著者が10歳のとき、彼女の母親は、彼女と幼少の弟二人を心優しい夫の手に託し、看護師としての技能をいかすためにアメリカにわたった。そして、その二年後、四人は新天地で母親と合流することになる。本書は、この旅路の社会学的意味を明らかにするものである。