本書は近代インド最大の世界的碩学S.ラーダークリシュナン教授の『インド哲学』の抄訳である。原著は複雑多岐にわたるインド哲学の展開を、上下二巻で思想の一筋の伝統として辿ることで、インド思想の古典的註解を提出している。著者は古代・中世の文献を順に取り上げて、それらが現代の哲学及び宗教の諸問題とどのように関係しているかを明らかにする。彼は個々の文献と哲学の本質的な意味と意義を提示しながら、同時にインド哲学の伝統と西洋哲学の伝統の並行的な発展現象を、比較思想・比較宗教論の手法によって浮き彫りにしていく。上巻では、リグ・ヴェーダの讃歌、ウパニシャッドの哲学、ジャイナ教、仏教、バガヴァッド・ギーターの人格神論の記述を抜粋。
みずうみのまわりにすむどうぶつたちはおたがいにたすけあい、へいわにくらしていました。あるひ、たかのひながにんげんにみつかり、とらえられようとします。そのときみんなは…。
無著の著『摂大乗論』は、大乗の立場からみた全仏教の概論として名高いが、極めて難解なことでも知られる。著者は50年に近い研究を本書で披露、原意を徹底的に追求した和訳に精妙な注解を加え、下巻には克明な索引を付した。著者にして初めてなしえた仏教学界最高水準の書。
『宝性論』は、インド大乗仏教の如来蔵思想を説く論典中サンスクリット原典の現存する唯一のものである。硯学三十余年の研究の成果を傾注してこの原典をチベット訳・漢訳、および多数の経典と対照・検討して和訳し解説を加えた本書は、大乗仏教を学ぶ人々の必読書である。
あらゆる衆生に成仏の可能性を説く如来蔵思想。中観・唯識と並びインド大乗仏教を代表するこの思想の誕生と展開をわかりやすく説明。
激しい動きの表層の中で、何が成長し何が足を引っ張っているのか。長期的な動きの中に現在を置き、人びとの生きる姿をとらえ、激流の中核をえぐり出す。
長期にわたる農業開発と人口増大の過程は、インドの食糧問題、環境問題を深刻なものとするのか。インドの発展が抱える問題を、国際的比較の中で捉える。
ジャータカの精華、仏教説話文学の代表的古典。サンスクリット原典からの初めての邦訳ついに完成。ジャータカ研究をライフワークとして半世紀を越える干潟博士とその門下の高原教授の多年の研究の成果にもとづく本書は、仏教を学ぶ人の必読の書であり、世界寓話文学の上でも逸し得ないものである。
『釈軌論』第四章を中心として、同論が展開する大乗仏説論を軸に世親の「大乗」思想を考察、『釈軌論』において世親はいかなる論法をもって大乗仏説を論証しようとしたのか、その際に世親が考える「大乗」とはいかなるものか、を明解する。
愛妻ハディージャが世を去るとマホメットは俄然、一夫多妻制の実践者となった。しかもその数は9人。聖典コーランによれば「妻は4人まで」と決まっているはずなのだが…。海外の歴史や文化を訪ねるツアーの同行講師として活躍している著者がインド・イスラム圏の自然や歴史・文化の“秘められた逸話”を紹介。