ローマの共和政末期に、政治家・弁論家・哲学者として重要な役割を演じたキケロは、ヘレニズムの知性と精神をも自ら体現し後代に伝えて、西洋思想の形成に多大の影響を与えた。その生いたちから毅然たる死に至るまでの劇的生涯を語り、その人と思想を見事に浮き彫りにする、本邦初刊のキケロ評伝。
ジュラ期の恐竜、ブラキオサウルスの25メートルよりもさらに10メートル以上も長い、現存する地球最大の哺乳類、クジラ…そのクジラが目の前でジャンプする姿を見ることが、面白くないはずがない。好奇心のかたまりのキューソク氏が、自ら体験したクジラの魅力と不思議をたっぷり語る、汗と涙と笑いの体験的事始め探鯨エッセイ集。鯨図鑑+探鯨ポイントガイドも付いて、この一冊で、居ながらにして、今日からあなたもクジラを丸ごと楽しめます。
死の衛星の破壊計画をすすめるローダンのもとに凶報が届いた。衛星カリストに設置されたアッカローリーの住居が事故で失われたというのだ。たまたまローダンと共にいたアクトロンは無事だったが残った反酵素はわずかに7日分。それが尽きれば反物質生物のアクトロンは確実に死ぬ。ローダンは異宇宙の友をアッカローリー船に送り届けようと決意し、グッキーらミュータントを非常召集すると『アルノ・カルプ』で出撃した。
シュルレアリスムの写真芸術におけるパイオニアとして、また攻撃性のなかにユーモアを秘めたオブジェの制作者として著名であるのみならず、柔軟な創造力によって絵画、版画、映画など既成のジャンルを常に挑発し続けた芸術家、マン・レイがその晩年にフランス人作家を相手に真率にーいささかのエスプリとともにー自らの芸術哲学を披瀝する貴重な対話。
風まかせの旅、というのはどうだろう。ヨーロッパの田舎を、まったくでたらめに歩き、日が暮れたらそこで泊まる。その町が地理的にどの位置にあるかわからなくてもいい、いやむしろわからないほうがいい。
『死者の時』『けものたち』でゴングール賞受賞、博物学者のビュフォン、フンボルト等、幅広く評伝も手がける著者の植物と人間の共存を問いかける哲学エッセイ。
若くして戦前ドイツの巨匠となりながらナチスの協力要請を逃れたラングが、亡命先で撮った二十二本の「アメリカ映画」について、ボグダノヴィッチのインタヴューに答える。
生き残った機長が明かす衝撃の真実。事故の真相はかく隠蔽された。ハイテクシステムの予期せぬ欠陥と巨大企業と国家の黒い思惑-。名パイロットが綴る孤独な闘い。
花には、淑女も悪女も美青年もいる。サディストやフェティシストだって、ちゃんと存在しているのだ。ダイエットする植物もいれば、毒をふりまく植物もいる。トウダイグサにいたってはストリップまでやってしまう。虫や鳥、そして仲間の植物を相手に、「恋の手練手管」を磨きあげ、進化させてきた花たち。植物の世界は、不思議な出会いやロマンティックな物語でいっぱいだ。動物よりもあやしく、人間よりも情熱的な、植物の愛情生活に喝采。
TIME元日本支局長、ベストセラー『MADE IN JAPN』の著者が描く現代日本の隠された素顔。
大生産力を支える環境がない、資源がない、マーケットがない。そして、職がない-しかし、“四無”を現実に救う道を日本人はすでに発見している-常に科学的に世界に先駆けた著者が、生命をかけた21世紀大予測。
“怒れる若者たち”の映画が世界中を席巻していった。60年代末の時代状況を背景に、二人は何を目指したか、作品の成功は二人に何をもたらしたか、インタヴュー証言を織り込みながら追うドキュメント。
クジラに逢いたい。クジラと一緒に泳ぎたい。こう思い続けるのは、著者ばかりではないはずだ。夏の北大西洋から冬のカリブ海へ。アラスカの餌場からハワイや沖縄、小笠原の繁殖海域へ。そして、たっぷりと餌のある南氷洋から暖かいオーストラリア近海へ。餌を求め、伴侶を求め、子孫を残するために何千キロメートルにも及ぶ大移動を行なうザトウクジラたち。こんな彼らとともに著者も七つの海で旅してきた。
悪魔としてのドン・ジュアン、「父」の否定、ドン・ジュアンという貨幣と全面的交換の時代。17世紀フランスが生んだ傑作『ドン・ジュアン』の歴史的意味を、ポスト・モダン的状況を媒介として読み解く。近代のヒーローは死んだ。
現代の具象絵画をリードする13人の画家が、自らの作法を語る。作品を深く理解するために欠かせないエッセンスがちりばめられている。作品を決定づける配色とマチエール。この原理を20項に絞って、実作に即して具体的に紹介した。バルールやトーンとは何か、どう扱えば、どんな効果が得られるのかが一目でわかる。