人口統計学の立場から、ローマ帝国の崩壊、中世黒死病の惨禍、そして未曽有の混迷期を迎えた今日にいたる世界史の波動を成長とデカダンスの歴史的パースペクティヴにおいてとらえ、人口政策(産児制限)が文明の破滅を招くと説く。アナール派歴史家の警世の書。
本書は、極めて早熟かつ批判精神に富み、つねに時代の前衛として現代史を駆け抜けた思想家が、自らの足跡を振り返ったユニークな回想録である。シュールレアリストたちの群像、その理想と現実、ブルトンとの相克、文学とコミュニズムの関係など、興味津々たる現場からの報告・証言に満ちている。シュールレアリスムを中心とした現代芸術・思想を解読する上で必ずリファーされる一冊。
薬草治療法、不老長生術、食餌療法、ヨーガ陰陽思想、気の理論、鍼治療学-。時を超えて生きつづけるアジアの伝統医学の秘密を探りその全体像を体系的かつ簡潔明快に論述する。
戦後間もない頃に始まる稀有の撮影ドキュメントとして、いまや古典的な位置をしめる日記の初訳。物資の欠乏と身体疾患に悩まされながら、夢とフィルムの間に介在する困難と格闘するコクトーの情熱が胸を打つ。
溝口健二がデビューした関東大震災の年に撮った『血と霊』-それはどんな映画だったのか?日本における表現主義受容の歴史と、革新の波にあらわれる当時の映画状況の両面から、失われた映画に肉迫する。
『ボーイ・ミーツ・ガール』および『汚れた血』のたった二作によって「ゴダールの再来」あるいは「フランス映画の恐るべき子供」という〈神話〉を生み出したカラックス。新作『ポンヌフの恋人』が完成するまでの苦難の道のりと作品自体がはらむ力強い可能性を中心に、さまざまな角度からカラックスの世界に挑む本書は、彼とともに歩む映画の未来への運動を指し示している。