本書で紹介する「ジェラール曲線」分析は、雇用、実質利子率、および収益率の関係を表すものであり、企業のリストラや海外進出とそれによる産業の空洞化、失業の増大、さらには政府・日銀の進める構造改革や金融政策など、日本経済の当面する諸問題を一つのフレームワークで説明してくれる。また、そこから導かれる政策的議論は、フランスを対象としたものであるが、デフレからの脱却を模索する日本にも当てはまるものであり、とくに公的部門についての指摘は、きわめて示唆に富んでいる。
「帝国」の「戦争機械」が猛威を揮う時代に、未開社会における暴力=戦争の意義を考察する。人間の声に、人間的な言葉に耳を傾けるために。『千のプラトー』において、ドゥルーズ=ガタリが思い出を捧げたピエール・クラストルによる、未開社会の暴力をめぐる哲学的挑戦。
女として女を愛したビリティスの物語。遊び女として、詩人として、古代ギリシャに生きたと、ピエール・ルイスのいう“ビリティス”は、幻だったのか、実在したのか。-21世紀を生きる四人の女たちが全訳に挑戦した。ときにみずみずしく、ときに狂おしく、ときにはかない、女の一生。
最善を尽くすこと。向上すること。「人生の意味」を学び続ける13歳ー彼女の心の叫びが、極貧の村に奇跡を起こした。
国家か、市民か、民衆か。「流産した二月革命」に投げ込まれたプルードンが獄中から語る、ブルジョワジーへの激越な批判と、己が迷妄への痛切な懺悔。破綻しつつある中央集権思想を彼方より撃つ。
史上初のジェット戦闘機同士の空中戦が行われた朝鮮戦争。第二次大戦をうわまわる弾薬が消費され、地上軍が各地で一進一退の攻防を続けていた半島の上空では、MiG-15とF-86が航空史を塗り替えることになった壮絶な空中戦を続けていた。高空から襲いかかる獰猛なミグをF-86で迎え撃ちジェット対ジェットの戦いを征したエースたちを紹介。カラー塗装図/アメリカ航空部隊別敵機撃墜者氏名と撃墜数付き。
弁護士になるには、司法試験に合格しなければならないが、司法試験に合格してもすぐに弁護士になれるわけではない。弁護士になるには、司法試験に合格した後、1年6ケ月間の研修(これが司法修習)をしてから、弁護士登録をしなければならない。もっとも、司法修習を終えた人がすべて弁護士になるわけではない。司法修習終了後、修習生はそれぞれ弁護士、裁判官、検察官の道へと進んでいく。ちなみに、司法修習を終えても弁護士にも、裁判官にも、検察官にもならない人が(ごく稀に)いるーそれがぼく。限られた者だけに許された、日本最高峰の教育プロセス「司法修習」の1年半。
世界史や個人の伝記にまつわる、わけのわからない言葉、間違い、誤綴、莫迦げた考え、大胆すぎる仮説を含む。それに加えてかなりの数の愚かしい言葉、ありとあらゆる種類の狂気や空想、空疎な駄弁もあり。
1993〜1945年、ヒトラー支配の時代12年に限り、告白教会の成立に始まって、第二次世界大戦に及ぶバルトの戦いを、特にナチスの最大の犯罪、ユダヤ人問題に焦点を合わせて、徹底的に追究する。バルトは、ひたすら神の言葉のみに聴従する「今日の神学的実存」を貫徹しながら、ナチズムとその誘惑に傾く教会を相手どって、全身全霊を傾けて戦う。そこから、教会のユダヤ人との共生を生み出す「イスラエルの神学」をはじめ、バルト神学の全体像が鮮やかに深化発展を遂げていく。その戦いの道程を、膨大かつ詳細な資料を駆使して、ダイナミックに描く。
大企業NECの一半導体販売部門がマイコントレーニングキットを世に出し、パソコンへと発展させていった。社内ベンチャーのチームリーダーとしてNECパソコン事業を立ち上げた渡辺和也の人生観、ビジネス観を、その生い立ちから職場における折々の回想を交え綴る。
滴や泡は日常生活においても親しみ深いものだが、ちょっとまじめに考えてみると不思議なことが多く、そんな問題が企業の技術開発においても困難として立ちはだかっていたりする。身近な例をあげれば、たいていの人は、車のフロントガラスやメガネやスキーのゴーグルについたしつこい曇りと格闘したことがあるに違いない。本書は、長年にわたって、このように身近でありながら科学技術とも直結した毛管現象や濡れ現象に取り組んできたノーベル賞物理学者ドゥジェンヌ博士らが著した生き生きとした書である。ごく基本的なことからスタートし、最新の実験や工業での現況を例に、基本原理のみならず最先端の豊富な話題についても解説している。また、複雑な数学的取り扱いをできる限り避け、直感的理解と新しい見方をもたらすことに主眼を置いている。
XMLドキュメントをJavaに自動変換できるEnhydra XMLC(XMLコンパイラ)の詳細な解説書。
ハイド氏が街角で少女を踏みつけて去り、あの有名な『ジキル博士とハイド氏』の奇妙な物語は始まったのだったが、ここではジキル博士ではなく、ハイド氏がすべてを語るのだ。なぜハイド氏はあのような事件を起こしたのか?そして事件の結末は?思いも寄らぬことにそこには、あのシャーロック・ホームズも登場し、意外な展開を見せる。フランスにおけるスティーヴンスン研究、ヴィクトリア朝文学研究の第一人者ノーグレットによる、二重のパスティッシュ。巻末に彼自身による「ジキル&ハイド」論を併録。