ジェナは人工授精で、亡くなった夫の子どもを身ごもった。ところがその六カ月後、病院から驚くべき事実を知らされる。担当者のミスで、ほかの男性の精子と取り違えたというのだ。その男性の名はブレイク・ウィンストン。警備会社のCEOで政治家や有名俳優たちともつながりを持つ大金持ちだった。ブレイクは赤ん坊が生まれたら引き取りたいと主張したが、ジェナは応じるつもりはなく、法廷で争うしか道はないかに見えた。ある日、ジェナは彼の豪奢な屋豪に招かれる。圧倒的な富を目の当たりにして、裁判に負けるかもしれないと心配しはじめたとき、ブレイクが意外な申し出を口にした。“億万長者との恋物語”-リッチで傲慢なヒーローの華やかな輝きと、隠れた素顔の魅力を描いた、ゴージャスな恋。
7年前、25歳で死んでしまった一樹。遺された嫁・テツコと今も一緒に暮らす一樹の父・ギフが、テツコの恋人・岩井さんや一樹の幼馴染みなど、周囲の人物と関わりながらゆるゆるとその死を受け入れていく感動作。本屋大賞第二位&山本周五郎賞にもノミネートされた、人気夫婦脚本家による初の小説。書き下ろし短編「ひっつき虫」収録!
会社員の麻衣の前に、最悪な別れ方をした元カレ・裕也が社長として現れた!イケメンかつ御曹司の彼との関係を周りに知られたくない麻衣はつとめて冷静に接するが、裕也はグイグイ迫ってくる。彼への想いには決着をつけたはずなのに、ドキドキ心が揺れてしまうーあんな思いはもうしたくないのに。だけど裕也に婚約者がいると聞いてしまい…!?
なんて融通のきかない男かしら。ちょっとスピード違反をしたくらいで取り締まるなんて。すてきな人だけど、どうしようもない堅物保安官。チャーミングな女性だ。でも甘い顔を見せるんじゃないぞ。違反は違反。甘やかされて育ったお嬢さんなんだから。地方判事を母に持つ好奇心旺盛なじゃじゃ馬娘リンディと、まじめで仕事一筋の保安官サッドが恋におちた。だが、性格のまるで違うふたりはことあるごとに反発しあう。サッドって人生の楽しみ方を知らないのね。リンディといると決まって面倒に巻き込まれるみたいだ。保安官事務所でシャンペンを手に踊っているのを視察にきた役人に見られ、裸で湖で泳いでいるのを牧師夫妻に見られー。サッドはついに我慢しきれず、リンディへの怒りを爆発させた。
ケイティはひとりきりのクリスマスを迎えようとしていた。五歳の誕生日を前に、息子を病気で亡くして一年。それが原因で新聞記者の夫コナーとも別居中だったが、もう夫とよりを戻すことはないと思っていた。ある事件がもとで、この少年と出会うまでは…。ソーシャルワーカーのケイティは、父親の虐待をうけて家出をした少年を保護していた。少年はおびえきっていて、なかなか心を開いてくれない。みんな孤独なのだ。誰もが心のうちでは温もりを求めているのに。「子供の様子はどうだ?」「傷はそれほどでもないわ。でも口をきいてくれないの」。事件の取材に来ていた夫の、少年を心配する声が、わけもなく懐かしかった。クリスマスー。わたしも奇跡の訪れを祈っていいのかもしれない…。
“あんな人、生徒虐待の罪で、牢屋に入れられるべきよ。”ベン・キンケイドは娘の言葉を思い起こし、首をひねった。不良娘、ティナが通う高校のカウンセラー、キーリー・アダムズは、どう考えても娘の言っているような人物には思えなかった。一方キーリーも彼を前に、これがティナの言う父親とは信じられなかった。ティナの話によれば、彼は大酒のみで、地下室に娘を閉じこめ、鞭打ちや食事抜きの罰を与える、恐ろしい男なのだ。二人は、話し合ううちに互いの誤解をとき、協力して、なんとかティナを立ち直らせることにした。けれど、キーリーの助言がきっかけで口論となり、気まずい別れとなった。翌日、キーリーにバラの大きな花篭が届いた。カードがそえられている。“僕を許してください…もっと助言が欲しいので電話をください、ベン”キーリーはとまどいながらも、とても幸せな気分になった。
イザベルは満たされぬ思いを胸に夜明け前の海岸を走っていた。すばらしい家があり、仕事も順調だったが、彼女はむなしかった。彼女のいちばんの望みは、子供を育てること。なのに三十歳になった今も、子供には恵まれていない。子供など望んでいなかったはずの妹も母親となった。未婚の母とはいえ、とても幸せそうだ。そのとき優しい波のざわめきにまじって赤ん坊の声が聞こえた。どうかしている。きっと猫の声に違いない。次の瞬間、イザベルは呆然として動けなくなった。それは新聞紙の上に置かれた赤ん坊だったのだ。イザベルは無我夢中で赤ん坊を抱えると、通りを走っていた車を止めた。「病院に連れていって。生まれたばかりの赤ん坊がいるの」車を運転していたクレイグは仰天した。「赤ん坊を産んだばかりでこんなところを走り回っていたのか」。