これこそ望んでいた家だわ!とグエンダは思った。ディルマスで見つけた小さなヴィクトリア朝風の売家。ニュージーランドから来たばかりの若妻はその別荘をすでに隅から隅まで知っているような気がした。そして、家の中の階段をおりかけたとき、いい知れぬ恐怖が体をかすめた。家には幽霊が出るのでは、あるいは誰か亡くなった人がいるのでは?部屋の戸棚の中から現われた古い壁紙を見て、彼女はさらに動揺した。この古い壁紙の模様をなぜわたしは頭に想い描くことができたのか…。回想の中の殺人を今に甦らせるミス・マーブル最後の事件。
これは若くして死んで現世を離れ切れぬ女の幽霊の恋物語だ。Z村の貴族屋敷の住人たち、モスク未亡人とその娘二人は、令嬢クリスティナの美しい絵姿を生前の寝室に飾り、さながら聖画像のように渇仰していた。令嬢は未亡人の姉で、ルーマニア全土を震撼させた1907年の大農民一揆に巻き込まれたのだ。まだはたち前だった。死骸は見つからなかった。物語の舞台はそれから30年近く経っていて、貴族屋敷を訪れた青年画家と考古学者は、令嬢クリスティナについて村では身の毛もよだつような噂がささやかれていることを知る…。
通りで遊んでいた3人の少年に近づいてきた車から降り立ったのは、警官を思わせる男だった。男は3人を叱りつけ、デイヴを車に乗せると、相棒とともに走り去る。あとに残されたジミーとショーンは、遠ざかる車の中に囚われたデイヴを呆然と見送った。四日後、誰もが内心ではデイヴの帰還を諦めていた時、彼は自力で脱出してくる。だが、囚われの4日間に何があったかは、誰の目にも明らかだった。ジミーもショーンも、それを痛いほどに感じていた。25年後、いったんは犯罪社会に身を落とし、今は更生したジミーを、悲劇が襲った。彼の19歳の娘が、何者かに惨殺されたのだ。事件の捜査を担当するのは、刑事となったショーン。そして捜査線上には、かつての友人デイヴが浮上した。必死の捜査を展開するショーン、犯罪社会のコネを使って復讐をはかるジミー、妻にも告白できない秘密を抱えるデイヴ。そして、彼らの家族もまた苦悩する。親を、夫を、子供を、友人を失う畏れに苛まれながら。新たな悲劇の幕は、すでに上がっていた…。
アレトゥサ暗号の謎を追うローレンスは進撃する米軍に同行、暗号電文の発信地フィリピンへ向かった。彼は、その地で日本軍が隠した莫大な金塊とアレトゥサの意外な関係を知ることに…半世紀後、ランディもアレトゥサに挑んでいた。彼は資金難のデータヘブン事業を救うため、祖父の遺した記録をたどり、日本軍の金塊探索に赴くが…!?半世紀の時をへだて、幾重にも交錯してきた謎と冒険の物語は、今ここに大団円を迎える。ローカス賞受賞。
自宅で殺されたエッジウェア卿の妻は、美貌の舞台女優ジェーン・ウィルキンスンだった。彼女は夫との離婚を望んでおり、事件当夜屋敷で姿を目撃された有力な容疑者だった。しかし、その時刻に彼女はある晩餐会に出席し、鉄壁のアリバイがあった…数多の事件の中でももっとも手ごわい敵に立ち向かう名探偵ポアロ。
ソリストの許可がおりず、やっと出たアルバム。演奏は素晴らしい。強弱、硬軟、濃淡など、音楽がどのように変わろうとも、ツィマーマンはその磨き抜かれた技巧で、ものの見事に描き分けている。小澤の伴奏もソリストにぴたりとつけ、響きもほぼ理想的。録音も良い。★
「ミステリの女王」として知られるクリスティーは「美食の女王」でもありました。その作中にはじつに魅力的な料理が登場します。名探偵ポアロがたらふく腹に詰め込んだ、ステーキとキドニー・パイ。ミス・マープルをうっとりさせた、ブレックファースト。トミーとタペンスも驚いた、魔性のいちじくのサンドイッチなどなど…。美しい写真とともに、料理の作り方と秘蔵料理エピソードを収録しました。クリスティー・ファン必携。見て、作って、味わう、クッキング・フォトエッセイの決定版。
2001年、9・11テロの翌月に発表されたiPod。白いイヤフォンが街中を闊歩し、音楽流通のしくみが塗り替えられるまでに何があったのか?ITと社会との関わりを伝える一線級ジャーナリストの最新話題作。
平和で牧歌的なロンドン近郊の村セント・メアリ・ミードで、思いもよらぬ凶悪な殺人事件が起こった。牧師館を舞台に、地元の名士である治安判事が殺されたのだ。初めは単純に思われた事件の捜査は難航し、疑惑の霧が村中に立ちこめるようになったとき、その鋭い観察眼と明晰な頭脳で事件の真相に迫ったのは、意外にもおしゃべりでせんさく好きな老嬢、ミス・マープルであった。
逸脱した性問題行動がある知的障害者への治療・教育のためのワークブック。
身近な素材を使った定番の一杯から、ちょっとかわったフレーバーを使ったスペシャルな一杯まで、さまざまな目的やシーンに合わせた500のレシピを紹介。もちろん美味しく、ヘルシーなものばかりを集めました。
無人のままを漂う巨大クルーズ船。現場を通りがかったカブリーヨたち“オレゴン号”の乗組員たちは、船から数百に及ぶ大量の死体を発見した。人々は出血性ウイルスに冒されて死亡したように見えたが、感染経路が不明だった。カブリーヨたちは船内から唯一の生存者の女性を救出し、クルーズ船をチャーターしていたのが、地球の人口を抑制することを目的とする巨大組織“レスポンシヴィスト”であると知るが…。
船にウイルスをまいたのは“レスポンシヴィスト”の犯行か?なぜ同じ組織のメンバーまで大量に虐殺したのか?折りしも“オレゴン号”の機関長の息子が行方不明になるという事件が発生。彼が組織に洗脳され、拉致されたことを知ったカブリーヨは奪回のため、島にある組織の施設に乗り込む。が、恐るべき陰謀の時は刻一刻と近づいていた!海洋冒険小説の王者が放つ“オレゴン・ファイル”シリーズ第3弾。
マダム・ジゼルは死んでいた…。パリからロンドンへ向かう定期旅客便プロミシュース号の後部客席で、なぜか蜂が機内を飛び回った後しばらくして、死体が発見されたのだ。推理作家や伯爵夫人、考古学者父子らと乗り合わせていたポアロが捜査を開始した。魅力的な若い娘ジェインの恋愛は事件に絡んでどう展開するのだろうか?飛行機内という完全密室の謎にポアロの推理が挑む。
がちょうのヨランテとかめのグリズラは大のなかよし。本をよんだり、スポーツしたりなんでもはなしあう、とびっきりのともだちです。ところがある日、クリズラのすがたがみえなくなってしまいました…「クリズラ、なんでいなくなっちゃったの?」。
フェルマーの最終定理やポアンカレ予想のような大問題は、どのように生まれ、どのようにして解かれたのか。クレイ数学研究所が設けたミレニアム賞の対象である7つの未解決問題は、なぜ解くことができず、どこまで解決の糸口が見えているのか。数学を進化・発展させてきた大問題と、未だ解くことができない偉大な問題を、イアン・スチュアートが難しい数式を使わず平易に解説し、現代数学の最前線を明らかにする。
女の子は座席で眠っていた。途中駅でホームに降りた母親を置いて列車は出発、終点で確認したときには、女の子は消えていた…。捜査にあたったストックホルム市警の敏腕警部は、少女の母親の別居中の夫に目をつけた。どうやら母親は、夫に暴力をふるわれていたらしい。だが彼の部下フレデリカは違和感を感じていた。世界27か国で刊行、大好評を博したデビュー作シリーズ第一弾。