これは若くして死んで現世を離れ切れぬ女の幽霊の恋物語だ。Z村の貴族屋敷の住人たち、モスク未亡人とその娘二人は、令嬢クリスティナの美しい絵姿を生前の寝室に飾り、さながら聖画像のように渇仰していた。令嬢は未亡人の姉で、ルーマニア全土を震撼させた1907年の大農民一揆に巻き込まれたのだ。まだはたち前だった。死骸は見つからなかった。物語の舞台はそれから30年近く経っていて、貴族屋敷を訪れた青年画家と考古学者は、令嬢クリスティナについて村では身の毛もよだつような噂がささやかれていることを知る…。
友人のニールの古い屋敷に招かれた〈わたし〉は、部屋の鏡に映った殺人現場を目撃してしまいます。それは、友人の妹シルヴィアが婚約者に絞め殺されかけている光景でした。結婚をひかえたシルヴィアを好きになってしまった〈わたし〉は、屋敷を去る前日、思いきって、不思議な事実を彼女に告げます…未来の出来事を予見してしまった〈わたし〉がたどる、その後の運命は、想像もしていなかったほど苛酷なものでした-。表題作のほかに、人形が勝手に動きまわる「人形」と、予知能力をもった男の話「赤信号」の2篇の幻想・怪奇小説を収録。
ゴッホ、ピカソなどの名画からシャネルの衣裳まで、かずかずの華麗なセールで知られる世界最大の競売商クリスティーズ。その元広報部長が世界美術市場の裏側をはじめて明かす美術ファン必読の書。
乱歩最愛の海外ミステリ界の巨匠たち。ポー、クリスティ、クィーン…最良の作家・作品論を網羅。
新聞記者のママが、雑誌ライターになりたくなって、ミュンヘンへ行ってしまった。ウィーンに一人のこされたわたしは、いやいやながら、おばさんの家で暮らしはじめたけれど、一週間ともたなかった。のこるは、ずっと前にママと離婚した、パパのところだけ。なんとか頼みこんでみたが慣れない「父娘生活」には、おたがいに、とまどうことも多い。でも今度は、がまんしなくては。ちょっぴりウルサ型のパパを観察する、いい機会だし…。
十五世紀ヨーロッパ。王位継承権をめぐるイギリスとの百年に及ぶ戦闘で国土の大半を失い、すっかり荒れ果ててしまったフランスに、一人の少女が生を受けた。その名はジャンヌ。信仰深い彼女は神のお告げに従い、軍隊を率いて、見事オルレアンの町を解放する。しかし彼女はその純粋さ、勇敢さゆえに捕らえられてしまうー。祈り、苦悩はしながらも戦い続け、そしてついには火刑台でその命を燃やした少女。フランス再生の旗手となったジャンヌ・ダルクのはかなくも力強い生涯を描いた、壮大なロマネスク絵巻。
遊び好きの若者ジョージ・ローランド君は、とうとう金持ちの伯父に愛想づかしをされ、屋敷から追い出される破目になりました。楽天家で行動的なローランド君は、出世して伯父をみかえしてやるとばかりに、列車にのって旅に出ます。ところが、列車がウォータルー駅を出発する寸前、“わたくしをかくまって”と、美女がとびこんできたことから、イギリスが戦争に巻きこまれかねないスパイ事件へと発展していきます-。表題作のほかに、売れない小説家が主人公の「イーストウッド氏の冒険」と傑作短編として名高い「事故」の二編を収録。
偉大なプリマドンナ、ナツォルコフが演じるトスカが登場して、物語はいよいよドラマチックなシーンをむかえました。トスカのナイフがきらめき、悪党のスカルピアが刺される-プッチーニのオペラ「トスカ」の有名な復讐の場面です。これまで彼女が見せたこともない、みごとな演技でした。聴衆の感嘆のどよめきとともに、カーテンが降ります。だが、悪党役の老優ブレオンは、二度と立ちあがることはありませんでした…。表題作のほかに、ユーモラスな冒険小説「男らしいロビンスン君」しゃれたミステリ「六ペンスのうた」の二編を収録。
バークシャー州の村はずれの古い屋敷を遺産として受けついだ若夫婦は、モンクスウェル荘という下宿屋を開業しました。その日、外は大雪です。予約していた四人の客は、なんとかたどりつくことができましたが、翌朝、警察から電話があって、ここに殺人狂がまぎれこんでいるといいます-若い刑事がスキーにのってやってきましたが、マザーグース「三匹の盲目のねずみ」の歌とともに、やはり殺人事件は起きたのです…。一九五二年ロンドンの劇場で初公演されて以来、今日まで四十年をこえる大ロングランをつづけている芝居の原作。
知識を超える。過去と向き合い、心で感じる写真集。戦後50年記念国際共同出版。94年ドイツコダック賞・出版美術協会賞受賞。
本書は、初めて自転車をもらった少年が、悪戦苦闘の末、乗れるようになる過程を、ユーモアをまじえ、描き切っています。
鳥と話がしたい。限りない愛を生きようとした清貧の若者の物語。一九九三年ドゥ・マゴ文学賞、カトリック文学大賞を受賞したフランスの読書界注目の話題作。
「体系」が放棄され、「普遍的真理」が疑われる今、フランス哲学は複数的な真理の領域の再構築を試みる。人文社会科学・自然科学・芸術の問いかけと結びつく哲学的議論の現状を紹介。
14歳の女の子のゆれる心を日記形式で生き生きと描くネストリンガーの意欲作。
愛と死 官能の恐怖、欲望し戦慄し焼尽する狂気の眼差しが、感性というタブーにバロックの原ーイメージを射る。
Word、Excel、AccessさらにVisual Basicを用いて業務用カスタムアプリケーションを開発するためのノウハウを徹底解説。