「ライリー、あなたとは結婚できないわ」結婚式の当日、控え室に投げ込まれた花嫁からの手紙。ライリーは愕然としながらも、彼女の望みどおり、自分が結婚を取りやめたことにして教会を出た。すると、はなからライリーを快く思っていなかった新婦の家族が、ここぞとばかりに彼を追いかけてきた。少女は祝福のための米を投げつけるし、老婆は杖を振り回す。行き場を失った彼の前で、タイミングよく一台の車が止まった。とっさにライリーは言っていた。「頼む、乗せてくれ」冒険を探していたイーデンにとって、それは願ってもないことだった。タキシードを着た、琥珀色の瞳の男性。降りかかるお米に罵声。退屈な日常から抜け出したいのなら、こんなチャンスを逃す手はない。地味でお堅い司書が、冒険のーそして変身の第一歩を踏み出すのだ!!イーデンの胸は期待に高鳴った。「いいわ。あなたが運転して」。
ジューンは、早くに父を亡くし、母とささえ合って暮らしてきた。小学校六年生のとき、ジューンのクラスでは、子どもたちと老人ホームの人々がペアを組んで交流をつづけた。ジューンの相手のフランクリンは、気難しく、心を閉ざしたままだった。フランクリンのかたくなな心をほぐそうとするジューンの懸命な努力が実り、母を含めたつき合いまでになった。しかし、母が入院し、その費用を支払うために家を売ることに。遠くへ引っ越していこうとしていたとき、フランクリンが、空き家にしている彼の家で三人で暮らしてみないかと、申し出てくれた。今日から、フランクリンの家で、新しい生活の第一歩が始まった-。小学5年生以上。
時計の針が午前零時ちょうどを指したとき、新年を迎えるパーティーの会場で、助産師のジョアンナは見知らぬ男性にキスされた。彼の神秘的な魅力の虜になり、知らず知らずのうちに、彼女は大胆に応えていた。しかし耳元で新年の挨拶をささやかれたとたん、はっと我に返り、自分の犯した過ちに気づいてその場を逃げ出した。数日後、仕事で病院を訪れたジョアンナは、予期せぬ再会に息をのんだ。あの夜の謎めいた男性が診療衣に身を包み、何食わぬ顔で彼女の前に立っていたのだ。
ある日、リジーの操縦する気球が大海原に墜落した。幸運なことに近くにいたヨットの船長に救助される。船長は冷淡で人を寄せつけない雰囲気を持っていたが、どこか女性を惹きつける謎めいた部分もあった。船上に二人きり…。リジーの心はときめいた。孤独を愛し、独り航海を続けるホテル王のジャックに災難が降りかかるー空から気球が降ってきたのだ。仕方なく海に投げ出された女性を助けたが、ヨットは故障し、二人で漂流する羽目に陥ってしまう。ジャックは思った。“女性には、特に僕の孤独を邪魔した女性には、興味などない”。
星空の下で異国の王子にすべてを捧げた夜の思い出は、甘く切なくアンドレアの胸で生き続けていた。そして今、変わらぬセクシーな笑みをたたえ、サムが目の前に立っている。「君に会わずにはいられなかった」七年間手紙のひとつもよこさずにいたくせに、なぜ今ごろになって私に近づくの?怒りと動揺を覚えつつも、アンドレアの全身を熱いおののきが走り抜けた。
イモジーンは早急にいい馬が必要だった。大事な顧客の牧場に馬を連れていくと約束してしまったのだ。急いで極上のアラビア産の馬を飼育している牧場へ駆けつけ、経営者のシーク・ラフィ・シェイカーに、馬を一頭貸してくれないかと交渉した。だがラフィは、乗馬技術のない人間には貸せないと言う。せっぱつまったイモジーンは訓練を受けさせてくれと頼み込んだ。するとラフィはセクシーな笑みを浮かべて告げたー三週間牧場に住み込んでレッスンを受けてもらう、と。
トリはある目的を胸に故郷へ戻ってきた。マスコミ嫌いで有名な名門一族ワーナー家の御曹子、ミッチにインタビューするのだ。彼の記事を書くことができれば、雑誌記者としてのキャリアアップにつながる。でも、いったいどうやって彼に近づこう?チャンスは思いがけず向こうからやってきた。バーでミッチにダンスを申し込まれたのだ。はやる気持ちを押し隠して、彼の腕に抱かれた瞬間、トリは本来の目的を忘れてしまった。
ヨーロッパの小国ドリアナの病院で働くため、ケイトははるばるアメリカからやってきた。ドリアナの国王マルクに会えると思うと心が躍る。ケイトとマルクは、大学の同窓生だった。彼にひそかな憧れを抱いていたものの、女性ならよりどりみどりのプリンスが、地味なケイトに関心を持つことはなかった。彼は私を覚えているだろうか?だが、宮殿で再会したマルクは、まるで無関心なまなざしを投げかけてきた。
ケリーは初めてのときめきを覚えていた。バーで知り合ったフォードはたくましく優しく、まさに理想の男性だったのだ。彼にならすべてを捧げられるかもしれない…。伯父グラントにかけられた祖父殺害の容疑をはらうため、フォードはケリーを誘惑しようと決意した。祖父の愛人だった女なら、声をかければすぐになびき、情報を得られるだろう。彼はセクシーな笑みを貼り付け、ケリーに近づいた。
“真夜中の館”と呼ばれる屋敷を見上げながら、シリーニは自分の幸運に胸をはずませた。インテリアデザイナーのシリーニは、住み込みでこの壮大な屋敷の改修を手伝うことになった。館の主エイドリアンは、扱いにくい人だというが、こんなすてきな屋敷に住めるのならそんなことはかまわない。だが、その夜、眠れないままにベッドを抜け出した彼女は男性の声に思わず立ちすくんだ。「暑くて眠れないのか?」幻かとみまがうほどハンサムな男性が、じっとこちらを見ている。なんてすてきな男性。だけど、なぜあんなに悲しそうなの?シリーニはなぜか胸騒ぎを覚え、その場に立ち尽くした。
マロリーは、今日こそ彼に切り出そうと固く決意し、居間で新聞を読んでいるホイットに近づいた。ホイットは昔からの兄の親友で、マロリーは引っ越し先が見つかるまでの間、彼の高級アパートメントに住まわせてもらっている。ホイットとはこれまでずっと、実の兄と妹のような間柄だった。その関係が壊れるかもしれないと思うと不安だが、こんなことを頼めるのはホイット以外にいない…。マロリーは大きく深呼吸をしてから、ついに言った。「ホイット、私と赤ちゃんをつくってほしいの」。
ウエイトレスのヴァレリーは誰にも知られたくない秘密を抱え、半年前にロイヤルの町にやってきた。犯罪者だったと言われる曾々祖母の過去を調べて、自分に呪われた血が流れているのかどうかを確かめたいのだ。この町に越してきて以来、保安官のギャヴィンに引かれているが彼に私の目的を知られるわけにはいかない。なのにひょんなことから、ヴァレリーはギャヴィンの家に間借りすることになってしまった。彼にすべてを知られる前に、早くこの家から出ていかなければ。ずっと彼のそばにいたくならないうちに。